【文例付】結婚式のキャンセル・中止・延期時のお詫び連絡とマナー

ゲストへ結婚式の延期・中止の連絡をするときに守るべきマナーとは

結婚式を延期・中止することになったら、招待を予定していたゲストへの連絡は迅速に行いましょう。自分たちの結婚式に出席するために予定を空けてくれているのですから、まずはその予定をはずしていただき、「新しい予定をお入れください」と伝えるのがマナーです。

一般的には、中折りの書面に、きちんとしたお詫び状を作成し封書でお送りするのが正しい方法ですが、災害などにより急遽延期・キャンセルになってしまったなど緊急性がある場合は、まずメールやチャットなどすぐに連絡が取れる手段で一報を入れ、後日改めて封書をお送りするという流れでも問題ありません。特に予定していた挙式日まで1か月を切っている場合はスピードを優先しましょう。なお、はがきは受け取った側の家族の誰もが文面を見ることができるため、利用は控えましょう

また、誰の名前で連絡するのかというのも気になるところですが、本人同士の恋愛結婚なら本人の名前で、親主導によるお見合いなどでの結婚なら親の名前でというように、その結婚に誰がどう関わっていたかで判断するとよいでしょう。なお、とにかく“急いで”連絡することが重要なので、お詫び状の文章は印刷でも失礼にあたることはありません。

お詫び状の書き方・文面は、次の章で詳しく解説します。

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ケース別、結婚式の延期・中止に関する連絡・お詫び状の文例

ここからは、「結婚式の日程を変更する場合」「結婚式が延期で、次の日程が決まっていない場合」「結婚式自体を中止する場合」のシチュエーションごとに、お詫び状の文例を紹介します。文体は、目上の人や会社の同僚、親しい友人など、どんな関係性の人が読んでも失礼にあたらない“フォーマル”な文面でまとめましょう。

＜日程を変更する場合の文例＞
謹啓
△△の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、先般ご案内申し上げました
毎名美　太郎
毎日　花子　
の結婚式は○年○月○日○時の予定でご案内申し上げましたが
都合により(※1)△年△月△日△時の開宴に変更となりました。
ご迷惑をおかけ致しますが是非ともご出席くださいますようお願い申し上げます。　謹白


延期になったことを知らせる一文と、変更した日付を追加し、改めて招待状として作成。返信用の封筒を同封し、再度出欠のお返事をいただきます。招待状のため、ふたりの連名となります。

※1…日程変更の理由がポジティブなら、上記「都合により」の部分に、たとえば「私、毎名美　太郎が社運をかけた海外プロジェクトの命を受け、△△へ長期にわたる海外出張のため」など詳しい理由を書いてもOKです。


＜延期で、次の日程が決まっていない場合の文例＞
謹啓
△△の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたび
毎名美太郎
毎日花子
の婚礼に際しましてはご祝福をいただき
ご臨席のお返事を賜り誠にありがとうございます。
ここに突然のことでございますが、やむなき事情(※2)により
○月○日予定の挙式の日時を延期いたしますことに、相成りました。
予定では、○○頃に結婚式を挙げたいと考えておりますが
改めて日にちが決まりましたら、またご連絡いたしますので
その時はぜひともご光臨をお待ち申し上げております。　謹白

※2…次の予定が立たない場合、病気や仕事の都合など差し支えない範囲で理由を書いてもOKです。


＜中止の場合＞
謹啓　
△△の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたび
毎名美太郎
毎日花子
の婚礼に際しましてはご祝福をいただき、ご臨席のお返事を賜り誠にありがとうございます。
ここに突然のことでございますが、やむなき事情(※3)により
○月○日予定の挙式の日時を中止いたしますことに、相成りました。
日時が迫ってからの中止の連絡となり、ご迷惑とご心配をおかけいたしますが
何卒今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
略儀ながらお詫び申し上げます。　謹白

※3…破談などの理由で結婚式をキャンセルする場合は、たとえ結婚相手に非があったとしても、非難するような理由を書いてはいけません。とにかく、誠実かつ簡潔な内容にまとめることがポイントです。

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お詫び状とあわせて検討したい、結婚祝いへの対応

結婚式についての連絡をする際、あわせて検討したいのが結婚祝いを既にいただいている場合の対応です。親族や親しい方は特に、新居で使う記念品やご祝儀を式の前にくださることがありますよね。その場合は、前述のお詫び状を送る際に記念品についても一筆添えるのがマナーです。ここでは、結婚祝いをそのまま受け取るのか、もしくは返すのかで対応が異なります。

＜ご祝儀や記念品をお返ししなくていい場合＞
結婚式の次の日時が決まっているときや、日程は決まっていなくても、おおまかな目処が立っているときは、結婚祝いをそのまま受け取っておいてよいでしょう。日程が決まっているのに一旦お返しするのは先方にも手間ですし、たとえば「1年間だけ急な転勤で、帰国後早々に式を挙げようと思っている」などの具体的な理由があるならいただいたままにし、「大切に保管させていただきます」と一筆添えてお詫び状を送ります。

＜ご祝儀や記念品をお返しする場合＞
結婚祝いをお返しするのは、結婚式が白紙になったときです。たとえば、ふたりのどちらかが病気で闘病期間が1年以上かかるなどで日程の目処が立たない場合には、一旦終止符を打ってお返しするのがよいでしょう。また、破談などで結婚式（結婚）そのものがキャンセルになった時も同様です。

「記念品」をいただいた方へお返しするとき
“新居で使ってほしい”などの気持ちのこもった記念品をそのままお返しするのは、とても失礼なことです。この場合は、いただいた品物を調べてみて、【見合った金額に少し上乗せした金額の商品券】に【ちょっとした品物】(※4)をお詫び状に添えて返すとよいでしょう。たとえば7,000円程度の記念品だったら、7,000円分の商品券ではなく【10,000円分の商品券】＋【ちょっとした品物】のように上乗せします。

「ご祝儀」をいただいた方へお返しするとき
ご祝儀をいただいた場合も、記念品と同様に現金をそのままお返しするのは失礼ですので、お詫び状に【現金分の商品券】＋【ちょっとした品物】を添えてお返しするのがよいでしょう。

※4 …ここでの【ちょっとした品物】の選ぶ基準は、多くの人が好むもので「自分で買うのは少し贅沢かな」というものがベター。アルコールや地方の名産品など嗜好品に寄せすぎると、人それぞれの好みもあるので、ふさわしくありません。このようなフォーマルなケースでは、日持ちするお菓子などがオススメです。お詫び状と合わせて、たとえば「最近、母が好んでおります△△△△の羊羹です。お口汚しですが、どうぞ召し上がってください」など、一筆書いたものを添えてお送りすれば、記念品やご祝儀を返された側の気持ちもやわらぐかもしれません。

なお、お返しを送る際には「いただいたものから見たら、本当に不足かもしれませんが……」といった“ひと言”を添え、相手からいただいたものが当然“高い”という姿勢でお詫びをするのもポイントです。

最後に

準備してきたことを白紙に戻したり、先延ばしにするということは、とてもエネルギーのいる作業です。さらに、楽しみにしていた結婚式が延期・中止にという一大事に見舞われて、たとえ気持ちが落ち込んでいたとしても、ゲストへ連絡する際には決して感情的な側面を表に出してはいけません。人としての真価が問われる時だと自覚し、誠実にひとつずつ対処していきましょう。

＜お話をうかがった方＞
株式会社オフィース・マリアージュ　代表取締役
安部 トシ子先生

プロフィール
1983年に東京都南青山にウエディングプロデュース会社｢オフィース・マリアージュ｣を設立、オリジナル結婚式を多数手掛ける。1989年には、日本で初めてクイーンエリザベスⅡ世号における本格的なブライダルプロデユースを任される。現在はホテル・式場のスタッフ教育、オリジナル挙式の構築などのかたわら執筆や講演などの活動も行っている。2015年10月一般社団法人WPA代表理事に就任。主な著書･監修書に『大事なところをきちんと押さえる結婚式の段取りとしきたり』（マイナビ）、『安部トシ子の結婚のバイブル』（アシェット婦人画報）、『結婚の段取り＆しきたりのすべてがわかる大事典』（永岡書店）など多数。