「勝男武士」に「子生婦」! あなたは読める? 縁起を担いだ当て字12選

おやくだち 結婚式ルール・マナー

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皆さん、当て字ってますか?

当て字と聞くと「『四露死苦』でしょ? ヤンキーやだ怖い」と思ってしまう人も少なくないかもしれません。しかし最近では外国人観光客の間でも当て字が流行っています。

某「YOUは何しに系番組」でも拝見したのですが、自分の名前を当て字にしてハンコにしてくれるお店が大人気なのだとか。

たとえばキャサリンさんだったら「貴椰沙琳」。マイケルくんは「舞蹴」といった具合だそうで、ちょっともう意味が分かりませんが、ともかく今は空前の当て字ブームに間違いなさそうです。

でも、ご存じでしたか? 結婚式の前にとり行われる"結納"では、今よりはるか昔、それこそ「四露死苦」なんて書かれるずっと前から、縁起を担いで結納品を当て字で表現することが風習となっているんです。

ということで、今回は当て字ブームの古株・結納品の当て字とその意味を紹介したいと思います!

結納品の当て字

茂久録→目録(もくろく)

目録は、結納品の内容が書かれたもの。

「茂久録」という当て字は、末長く幸せになり、草木が生い茂るように、と子孫繁栄を願ってつけられています。
いいネーミングセンスですが、もし新郎の名前が「茂久(しげひさ)」とかだったらちょっと不思議な雰囲気になる気がします。まあ、どうでもいい話なんですけど。

寿留女→スルメ

日持ちがするスルメは、長く幸せな家庭でいて欲しいという願いを込めて贈られます。また、噛めば噛むほど味がでることから、味のある仲の良い夫婦になってほしいという意味もあるのだとか。
この意味に合わせて、「寿を留める嫁」と書いて「寿留女」という当て字。読みだけでなく意味までキレイに揃って縁起が良い......!

友白髪、友志良賀→共白髪(ともしらが)

共白髪とは、白髪に見立てた白い麻糸の束のこと。

これだけ聞くと、「糸? ごめんいらない」と思うかもしれません。ですが、共白髪には夫婦ともに白髪になるまで添い遂げる長寿と、麻糸のように強い絆で結ばれた円満夫婦でいられるようにという願いが込められています。
当て字では、「友白髪」と書くのが一般的ですが、「友志良賀」と、全て当て字にする場合も多いです。

子生婦→昆布(こんぶ)

昆布にある生命力と繁殖力から、子宝に恵まれて、元気な子どもを授かるようにと願いを込めて贈られます。

そのため、当て字も子宝に恵まれてほしいという思いから、「子生婦」とかなり強引かつストレート。ちなみに婿養子の場合は、「子生夫」や「幸運夫」と書くこともあるのだとか。

また、昆布はおせち料理にも見かけるとおり、「よろこぶ(よろこんぶ)」の語呂合わせから、お祝い事には欠かせない食べ物です。二人が別れないように奇数個贈るのがマナーとなっています。

勝男武士・松魚節・勝男節→鰹節(かつおぶし)

昔から鰹節は、保存食や非常食として常備され、武士が出陣する際に、武運を祈って贈られていたそうです。
このことから、「勝男武士」というカッコイイ当て字になりました。また、鰹節の切り口が松の樹の年輪に似ていることから「松魚節(まつおぶし)」と呼ばれることもあるそうです。

寿恵広・寿栄広→末広(すえひろ)

末広は、純白の扇子のこと。

その色のとおり、潔白や純真無垢を示しているほか、扇は末広がりで子孫繁栄を象徴します
末広のままでも十分縁起が良いような気がしますが、「寿に恵まれる・寿が栄える」などの当て字をして、縁起の良さをさらに求めるストイックな方もいらっしゃいます。

家内喜多留→柳樽(やなぎだる)

柳樽って、普段の生活では全く馴染みがない言葉ですよね? 胴と柄の部分を全て漆で塗られた樽にお酒を入れたものを指します。最近は、「酒料」として現金を包むことが多いのだとか。

当て字では「家内喜多留」と、文字数が倍以上になってしまいましたが、家の中に喜びが多く留まるという意味が込められています。

お酒は、一生と一升をかけた縁起物だそうです。私事ですが、これからはお酒を渡されたらプロポーズだと思うことにします。


馴染みのあるものの当て字

これらのほかにも、結納品は地域によってもさまざま。今度は日常生活で馴染みのあるものの当て字をピックアップしてみました。

増利→草履(ぞうり)

「利益が増える」という意味に当て字。草履を結納品にするのは、奈良県の風習です。
草履の他に、化粧品も結納品としてあります。お嫁さんが使用している化粧品を聞いて、それを贈るそうです。実用的ですごく羨ましい!

優美和・結美和→指輪(ゆびわ)

結納品と言えば指輪。
こちらは、美しく結ばれるという意味を込めてこのような当て字にします。
当て字のほうが良いのでは......? と思うほど美しい漢字ですよね。

久美飾り→首飾り(くびかざり)

「末長く美しく」という意味を込めた当て字です。
また、「耳飾り」は「美々飾り」とします。もらう側としては、プレッシャーがすごい。

十慶・登慶恵→時計(とけい)

新婦から新郎への結納返しの定番になりつつある時計。

慶び(よろこび)ごとに恵まれますように、という意味が込められています。


以上が日常生活でも馴染みのあるものの当て字でした!


では、ここまで読んで当て字にすっかり慣れた皆さんに向けて、最後にクイズを出題します。

「御知家」

これは、何の当て字でしょうか?

正解して、当て字のスペシャリスト「アテジスト(いま作りました)」になりましょう!







正解は......


「お茶」!


小さい"や"までも漢字にしているので、難問だったかもしれません。
お茶は、九州地方に伝わる結納品です。普通の緑茶ではなく、"何度も出ないように"と番茶を贈るそうです。
また、お茶の木は忍耐強く、困難に負けないという願いが込められています。
そして、何度摘んでも芽が出てくるため、「お芽出たい→おめでたい」という語呂合わせもあって、お茶を贈る風習になったのだとか。

正解した方、見事にアテジストになりましたね! おめでとうございます!


数十年前と比べて、結婚に対する感覚が大きく変わったこともあり、結納をしないカップルも増えてきました。

正直、私も結納の内容を詳しく知りませんでしたし、「古臭い儀式」というイメージすら持っていたところです。
しかし、執筆していると、結納品に込められた想いや、当て字で縁起を担ぐ心づかいに、日本ならではの趣き深さを感じました。

当て字ブーム、きちんとそのひとつひとつに意味まで込められていたとしたら、すてきだと思いませんか?

それでは、これからも家恋音をよろしくお願いいたします!

■「大安」で縁起いい日を選ぶカップルも!

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