こんにちは、ライターのカツセマサヒコです。
みなさんは、「結婚式」と言われてイメージするのはチャペルでの教会式と神社や神殿での神前式、どちらですか?
僕は根っからの教会式派なんですけど、でもそれって神前式に一度も出たことがないからなんですよね。
そもそも結婚式は一般的に、「教会式」と「神前式」のほかに、出席者の前で愛を誓う「人前式」やお寺で仏様に向けて行う「仏前式」などがあるそうです。
一般的な結婚式がこの4種類であること自体そもそも知らなかったんですけど、それぞれどんな式なのかも知らないで、勝手に「根っからの教会式派」と決めつけるのもよくないと思いませんか?
そこで今回は、4つの結婚式の中でもとくにマイナーとされている「仏前式」について、お寺の住職さんに、どんなことをやってるのか聞いてみようと思います!
ということで、東京都新宿区にあるお寺「毘沙門天善國寺(びしゃもんてんぜんこくじ)」にやってきました!
善國寺は開運・厄除けのお寺として400年前から親しまれています。2007年には国民的アイドル「嵐」の二宮和也さんが出演したドラマに登場し、それがきっかけで「毘沙門天で願掛けすると嵐のコンサートチケットの当選確率が上がる」という噂が広まり、今でもたくさんの嵐ファンが訪れるそうです。
たしかに絵馬を見ると、「嵐」の文字が一生分拝めるくらい願掛けされている。
住職さんに話を聞いてみよう
本日お話を伺うのは善國寺の住職・嶋田堯嗣(ぎょうじ)さんです!
ーーよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
ーーお寺での結婚式ってあんまりイメージがなかったんですけど、どのぐらいの頻度で行われているものなんですか?
昔は月に2回くらいあったんですけどね、いまは年間3回ぐらいかなあ。だいぶ減ったよねえ。
ーーえ! 少ない! そんなに減っちゃったんですか! 仏前式の内容は昔から変わっていないんですか?
いや、最近は指輪交換とかもやるようになったんですよ。仏教とは関係ないから昔はやってなかったんだけど、そこは時代の流れだろうねえ。
ーーちょっとずつ時代の変化に合わせていくようにはしてるんですね。そもそも、お寺と神社では結婚式の内容も違うんですかね?
全然違いますよ。雅楽(楽器演奏)は一緒だけど、舞(踊り)とかはお寺ではやらないし。お経を読むのもお寺だけでしょ。あとお寺での挙式は最後に曼荼羅(まんだら)の花びらをまきますね。
善國寺さんでの結婚式は、以下の流れで行われているそうです。
住職さんにあえて教会式の結婚式について聞いてみた
毘沙門天は外観が華やかでしょう? これは平成5年に建物の色を変えたんですよ。当時はこげ茶色だったんですけど、神楽坂(かぐらざか)の明るい街のイメージに合うようにって朱色にしたんです。当時は竜宮城みたいだって言われてね。
ーー確かに目立つ色してますよね。
神社はパワースポットとかよく言いますけどね、うちの寺こそまさにパワースポットですよ!
ーー急にグイグイとアピールしてきた。
堂内での撮影も特別に許可をもらえました。
ーー嶋田さんは教会式の結婚式に参列したことってありますか?
あります、あります。
ーーもちろん仏前式とは全然違うと思うんですけど、どんな気分で参列されているんですか?
いやあ、「愛について」とか、牧師さんが言うでしょう? ああいうの聞くの、少し変な気分ですよね。
ーー牧師さんの言っている「誓いの言葉」ですよね。
"健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか"
ってやつです。たしかに、仏教ではこういった誓いの言葉って言わなさそうですね?
うん、あと、ブーケトスも、よくわかんないよね(笑)
ーー言われてみると、なんでアレやり始めたんすかねえ......。
あ、でも、ヴァージンロードとか、父娘で歩くのはイイよね。うちは娘がいないから、羨ましいな。
ーーそうか、仏前式だと新郎新婦が同時に入場ですもんね。息子さんはいらっしゃるんですか?
うちにはイクメンの息子がいますよ。寺の仕事もあまりしないで孫の面倒ばっかり見てて困ってて(笑)
ーー2代そろって子煩悩なことだけはわかりました。
結婚式は儀式的な場ではなく、お互いの覚悟を見せる場だと思ってほしい
ーー仏前式では新郎新婦にどんな言葉をかけるんですか?
うちは日蓮宗(にちれんしゅう)なんですけど、日蓮聖人の遺文から抜粋してお言葉を伝えています。たとえば
「女人となることは、物に随って物を随える身なり」
これは「おおよそ女性と言うものは、一見相手に従っているように見えて、実は相手を動かす力を備えた存在である」という意味を表しており、結婚生活における女性の立場をうたっているものです。今だって男性の立場が強い社会が続いていますが、実は女性とは力を持った存在であると、鎌倉時代から日蓮聖人が説いていたんですね。
ーー昔の人ってそういうこと言う人少ないと思ってたから、意外ですね。
また、柔軟性が大事だよという意味を表している言葉でもあります。外見にだけ影響されていては困る。いくら変化してもいいが、元に戻れるような柔軟性を大事にしなさいとうたっているものです。
ーーかっこいいなあ......。
縁があって出会った二人だから、応援してあげたいっていう想いをこめているんです。
ーー嶋田さんご自身は、結婚ってどういうものだと考えてるんですか?
結婚生活は好きだ、惚れた、だけじゃ暮らしてはいけません。暮らすということは、お互いの素の部分をさらけ出すこと。素の部分も含めて尊敬し合えるように成長していかなければならないと思います。お互いのことを尊敬し合える関係を作ること。それが結婚というものだと思います。
ーーなるほど確かに。今まったく妻に尊敬されてない気がするなあ......。
そのうえで、結婚式は出逢った二人が固く結ばれて、お互いの努力でほどけないようにする場所なのではないでしょうか。儀式的なものでなく、覚悟を見せる場だと思ってほしいですね。
ーーついつい華やかな面ばかり目に見えちゃいますけど、実際結婚生活、楽しいことばっかりじゃないですもんね。確かに覚悟は必要なのかもしれない。
こうして取材が終了しました!
最初は仏前式ってちょっと暗いイメージがあったんですけど、結婚式を覚悟の場と考えるのは納得感がデカすぎて感動しました。
また、結婚式場には結婚式のときしか行きませんが、お寺や神社は七五三や厄除け、新車の購入や家を建てるとき、出産の際にも訪れることになるので、生涯寄り添う場所になります。そういった自分と深いつながりを持った場所で結婚式をするというのも、ひとつ大きな価値があると思えませんか?
結婚式場をどこにするか考えている皆さん、一度お寺での結婚式も考えてみてはいかがでしょうか!
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