こんにちは、ライターのカツセマサヒコです。
のっけから不自然にニヤニヤしてすみません。
なんでそんなにニヤニヤしてるかと言いますと、
今日は結婚式の常識を覆すかもしれない話が聞けそうだからです。
結婚式っていろいろとしきたりみたいのが多くて、何かとメンドクサイって話を聞きませんか。そういう古い慣習とかを取っ払ったらどんなパーティができるのか、昔から興味があったんですよね。
そしたら先日、一緒に飲んだ友人が「かなり斬新なウエディングパーティをやった」という話をくれたので、今日はそれがどんなパーティだったのかを聞きに来たというわけです。
こちらが結婚式を挙げたおふたり! 奥さんの鈴木実歩さん(左)と、旦那さん(で僕の友人)の松田然(もゆる)さん(右)です。写真がさわやかすぎるし、奥さん美人すぎる。
おふたりは海外留学中に出会った共通の友人が企画したホームパーティで出会ったそうです。そこからしばらくはFacebookでつながっている程度のゆるい関係だったそうですが、実歩さんがカナダへ一人旅をする計画を考えていたときに、ちょうど然さんが極寒のカナダを一人旅しているFacebookの投稿に目が止まって連絡を取ったことが、急接近するきっかけだったとのこと。「旅好き」という共通の趣味から関係が始まっているのも、なんだかうらやましい。
「今日はよろしくお願いします。以前、然さんからおふたりの結婚式のお話を伺ったとき、スポンサーを付けたことや、出欠管理の方法が斬新だなって思ったんですよ。そのへん詳しく教えてください!」
「よろしくお願いします。ふたりだからできたこともあるかもしれないけれど、できるだけ誰でも活用できるように話すね」
「ちょっと聞いた限りではめちゃくちゃおもしろかったですからね。楽しみです」
「よろしくお願いします!」
海外挙式は王道に、そのぶんお披露目パーティはオリジナリティを!
「おふたりは結婚式とお披露目パーティを別日でやったんでしたっけ?」
「そうですね。昨年末にグアムで親族だけの結婚式を挙げて、年明けの私の誕生日に、神宮外苑のレストランでお披露目パーティをやりました。だから1.5次会みたいなものなのかな?」
「オリジナリティがある式をやったのは、お披露目パーティの方ですよね。何人くらい集まったんですか?」
「100人くらいでしたね。お互いの学生時代の友人と、旅仲間や仕事でお世話になった方たちを呼びました」
「100人いると結構にぎやかですよね。1.5次会って招待状出すときもあればLINEとかだけで招待されるときもありますけど、おふたりはどうしました?」
「僕らはPeatixでイベントページつくって、そこで管理してたね」
「PeatixってIT系のイベントとか行くとよく使われてるやつだ。あれって振込とかを事前にできるし、参加者が誰くるか見えるんですよね」
「そうそう。参加費を事前に集められたから受付がかなりスムーズだったし、あと参加者への連絡が一斉送信できるんだよね。紙の招待状だとみんなに連絡するのは大変だし、LINEでグループ作るのも手間だし、出欠管理がかなり楽だった」
「当日に妻へのサプライズもいくつか用意してたんだけど、妻に内緒で参加者全員に協力呼び掛けたりするのも、Peatixだからできたことだと思う」
「完全に商業利用のイベント向きだと思ってましたけど、Peatixって実はプライベートでもかなり使えるのか......」
「結婚式って言うと招待状のイメージが強いですけど、あんまりそういうのに左右されずに自分たちでやりやすい方法、楽しい方法を選ぶようにしてましたね」
Peatixはデザインから自分たちで作れるらしいですが、凝りすぎててすごい。
紙の招待状にこだわりがない人は、こういうサービスを使うのがてっとり早そう。
「会場探しはどうやったんですか?」
「グアムでの式をリゾートウエディングの会社にお願いしたんですけど、そのときに1.5次会用のイベント会社を何社か紹介してくれたんです。その中から2社ほど話をしてみて、提案力のある方に決めて......(笑)、その会社さんが提携してるお店を選びました」
「『提案力のある方』って企画コンペってことですか? シビアすぎません??」
「一生に一度のイベントなので、あっちから2つ、3つとアイデア出てこないと、任せたくなかったんだよね......(笑)」
「海外挙式はアレンジとかがあまりできなくて、式の流れがほとんど決まっているんです。だからお披露目パーティのほうは自分たちの個性をできるだけ出したいと思っていて。3時間弱、ぜんぶ自分たちで決められるわけだし、フレキシブルなぶん、相手からはいろんなアイデアや成功例を教えてもらいたかったんですよね」
「たしかに一生に一度って考えると、妥協したくないですもんね。でもこれ、僕がウエディングプランナーだったらお腹痛くて泣いてると思う」
スポンサーを付けるには「テーマ」が大事
「ウエディングパーティにスポンサーを付けたっていうのは、どうやったんですか?」
「それね。そこを聞きたくて来たよね」
「うん、超画期的だった。すごいと思いました」
「たしかにスポンサーを付けたんだけど、でも別に、お金を浮かせようとしたとか、そういう発想じゃないってことだけ先に伝えておきたいかな」
「え、そうなんですか?」
「そういう目的で集めることもできたかもしれないけれど、僕らはお金集めのつもりはなかったんだよね。ただ、イベントとしてのクオリティを考えたときに、スポンサーが付いていたら盛り上がるし、ゲストも喜ぶかなって思った」
「そうか、完全にヨコシマな気持ちしか持ってなかった」
「そういうところよくないと思うよ?」
「反省します」
「スポンサー付けるのって、営業力とか提案力がめちゃくちゃ必要だと思うんですけど、どうやったんですか?」
「うーん、でも僕ら、ふたりとも営業経験なんてないんだよね。ただ、スポンサー付けるうえで必要なポイントはなんとなくわかってた。僕は自営でライターをやっていて、自転車で日本を周りながらスポンサーを集めて、いろんな企業の記事を書いて生計立てていたこともあったし」
「スポンサーを付けるポイントってどんなところですか?」
「まずはイベントと企業の共通点を見つけること。『普通の結婚式です!』って言ったら、企業も『楽しんでね!』で終わっちゃうんだけど、僕らは結婚式に『旅』というテーマを持って企画してたんだよね。だから旅に関連しそうな企業に話をすれば、理解してもらいやすかった。『旅がどれだけ好きか』って想いならいくらでも語ることができたし、そこで熱意が伝われば、企業は動いてくれることがあるんだよね」
「そうか、企業にとっては上手にPRしてくれる場に感じますもんね」
「そうそう。だからまずは自分たちの決めたテーマに当てはまりそうな企業をリストアップするところから始める。で、次にその企業に対して、自分たちのパーティのスポンサーになることで得られるメリットを伝えてあげるんです」
「それ難しそう......メリットってどんなことですか?」
「たとえば僕らのパーティの場合、ふたりとも自営業だから集まるゲストも経営者が多い。あとふたりとも30歳を過ぎているから、ゲストも30代が多い。そしてもちろん、旅好きな人が多く集まる。これだけでも企業からしたら『狙いたいターゲットが集まっている場』となっていることがあるんだよね」
「なるほどー! 自分たちのパーティにどんな人が来るかアピールすることで、企業のターゲットとしてる層とマッチングする可能性があるんですね」
「たとえば自動車配車アプリのUberとかは、旅とはちょっとズレているかもしれないけど、移動って観点ではまさに旅のようなものだから声をかけたんだ。そしたらちょうど中小企業の経営者層にサービスを広げようとしていたから、スポンサーになってくれたんだよね」
「でもどうやって企業とコンタクトを取ったんですか?」
「最初はフェイスブックでその企業とつながっている人を紹介してもらうとか、すでに自分と取引のある得意先に直接交渉するとか、自分の手の届く範囲のところから声をかけたね。あとは、旅系のイベントで企業の担当者に会ったら『実は、今度結婚式をするんですが......』って、はじめましてなのに交渉してみたり(笑)。それ以外は、企業のアカウントや広報窓口にかんたんな提案書を送ったかな」
「どのくらいスポンサーになってくれるものなんですか?」
「直接話ができたところは大体OKしてくれて、広報窓口とかに提案書を送ったところは、返信率が3割くらいかな。やっぱり一個人のイベントでスポンサーになってくれるところってそんなにないんだよね」
「話したところはほぼOKってすごい! 返信率3割のうち、何社ぐらいスポンサーになってくれたんですか?」
「1社だけかなあ」
「見ず知らずの夫婦のスポンサーになるんだから1社でも十分すごいですよ......。スポンサーになった企業からは、現物やサービスが支給されるんですか?」
「そうだね。たとえば、スポンサーになっていただいた企業にクーポンコードを発行してもらって、先ほど紹介したPeatixで参加者に一斉にメールしたり。一例を挙げると、ビルの屋上などの非日常空間で本格的なBBQが体験できる『Real BBQ』さんからは、BBQの幹事無料券のクーポンをいただいたりとか。
ウエディングパーティで知り合って仲良くなったゲスト同士がまた集まれる場を作りたいという想いもあったので、それを伝えたところ企業も協力してくれました。 ほかにもゲームの景品にしたものがいくつかあるんだけど、やっぱり『企業からの提供です』って言うとそれだけで盛り上がるよ」
「たしかにそうだろうなあ、いいなあ。変わった景品とかもあったんですか?」
「レジャー・アクテビティの予約サイト『そとあそび』さんからは、アウトドアレジャー体験チケットをスポンサードしてもらって。今度、ゲームで当選したゲストと一緒に、僕もMTBのダウンヒルを体験しに行ってきます。
ほかにも、個人的に日本の旅先で大好きな高知県からは、『高知家 エクストリームトラベル社』がスポンサードしてくれて、『おもてなしタクシーで巡る"仁淀ブルー"に出会う旅』という、水質日本一を誇る仁淀川へのツアーチケットを提供していただきました。
ゲストも旅好きが多かったから、そういう人たちに喜んでもらえる景品がないかなぁと考えて、旅好きの僕自身が個人的にいつも利用しているサービスの担当者に無理言って、協力をお願いしたかたち(笑)」
「あとは、"プロスタイリストのスタイリング同行サービス"がおもしろかったかも。私の友人が雑誌や芸能人のプロスタイリストなんですけど、その方が経営者向けにスタイリング同行のサービスをやっているんです。1日目にヒアリングをしてコンセプトやイメージを決めて、2日目にショッピング同行をしてくれる。
下見も事前にしてくれていて、自分に合いそうなものをどんどん提案してくれるんです。普段はサービスとして10万円で提供されているんですが、そのときは特別に無償で協賛してくれました」
「おもしろい! そんなサービスがあること自体知らなかったです。PRの場にもなるんでしょうね」
想いをかたちにするためなら、自分たちで企画する
「これまでいろんな結婚式に参加したんですけど、参加者としては物足りないなって感じるときもあって。ゲームはビンゴで、景品はテーマパークのチケットっていう定番ももちろんいいんですけど、私たちは少しでもゲストの思い出に残るものがやりたいと思った。二次会代行業者から提案してもらったゲームも、あんまり個性的なものはなくて、それも結局自分たちで企画することにしたんです」
「どんなゲームにしたんですか?」
「テーマの『旅』に絡めつつ、できるだけ多くの人たちが交流できるゲームを企画しようと思いました。結果、47都道府県を書いた紙をゲストに配って、『会場内でできるだけ多くの県の出身者と出会ってください』というルールにしたんです」
「100人が一斉に動くの、大パニックになりそう」
「おもしろかったですよ、やっぱりゲストの中でも社交性が高いなあって前から思ってた人がそのまま上位に来たりして」
「ゲストにフリーランスや経営者の方が多いと、社交性の塊みたいな人もたくさんいそうですもんね」
「その場をどんな空間にしたいかっていう想いが大事だったし、私たちは二人とも自営で働いているから、周りの人がいなければこれまでやってこれなかった。お世話になった人たちにしっかり楽しんでもらって、それぞれも交流できるような場にしたかったんです。その想いがテーマである『旅』にもマッチしていたこともあって、すべて軸をブラさずに企画を行うことができたと思います」
「想いをかたちにするためにとことんこだわった結果の、スポンサーだったりゲームだったりしたんですね。たしかに、ゲストの顔ぶれを想像して、どんなことをすれば喜んでもらえるか、楽しんでもらえるかをイメージすることはパーティを成功させるポイントっぽいですね。これは誰でもまねできることかも」
「そうだね、二次会代行業者などは知見もたくさん持っているから、確かなアドバイスをくれるんだけど、でも人生で一回しかない大イベントなのに、業者や式場の言いなりになっているのはもったいないと思ったなあ。
ただ、式の準備はやることが本当に多いので、仕事が忙しいと全部お任せにしちゃいたい気持ちもわかるし、そもそも全部がはじめてのことで、自分たちにノウハウがまったくない!」
「そうなんですよね。結婚式にベテランなんてなかなかいない(笑)」
「でもだからこそ、自分たちが楽しめるテーマを設定し、夫婦で協力するのはもちろんのこと、友人や仕事の関係者、企業までいろいろ巻き込んだプロジェクトにしちゃえばいいんじゃないかな。
僕らはそれが『旅』をテーマにしたかたちになったけど、これから結婚式や二次会をやる人にも、何か想いを持ってもらって、それをいちばんイイかたちで実現できる方法を考えてほしいと思います」
「古いしきたりとかもいろいろありますけど、確かにオリジナリティを求めると、そういうものはどんどん取っ払っていったほうが自由にやれるんでしょうね。それもひとつのウエディングのかたちなんだろうなあ」
「そうそう。本当にそう思う。もちろん型にハマった結婚式も、それはそれですてきだけどね」
こうして取材は終了しました!
王道、定番の結婚式にばかり出席していると、然さんたちのようなご夫婦はとてもまれに感じるかもしれません。
でも1.5次会のような自由度の高い形式と、想いをかたちにしたいというバイタリティがあればウエディングパーティの可能性はまだまだ広がると実感させられたエピソードでした。
これからウエディングパーティを考えているみなさん、これまでのしきたりなどに捉われすぎず、自由な発想で企画してみてくださいね!
■定番のパーティ・演出もいいよね
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