水晶の産出からはじまった「宝石のまち」甲府のヒストリー ーPRー

甲府市は、ジュエリーの事業者数、出荷額ともに全国トップクラスにあり、企画、デザイン、原料の調達、研磨、彫刻、貴金属加工そして流通まで、ジュエリーを完成させるすべての工程がそろっている集積産地であることから、「宝石のまち」と呼ばれています。
なぜ、甲府市は宝飾産業が盛んになったのでしょうか? この記事では、甲府の水晶の始まりから現代までの甲府のジュエリーの歴史を解説します。

【はじまり】金峰山周辺から良質の水晶が産出

「宝石のまち甲府」の歴史は古く、甲府市の北部に位置する金峰山一帯で水晶の原石が発見されたことがはじまりとされています。この地域にはもともと、水晶の鉱脈が豊富にあり、旧石器時代・縄文時代の住居跡からは水晶を加工した「石鏃(せきぞく)」や「ナイフ」などが見つかっています。


【江戸時代】京都の職人から水晶研磨の技術が伝わる

甲府で水晶細工がはじまったのは、江戸時代。それまでは、主に原石のままの水晶を置物として飾っていましたが、京都から水晶原石の買い付けに訪れていた玉造り職人が、甲州御岳・金桜神社の神官に砂を用いて水晶を研磨する方法を教えたことが、水晶の加工のはじまりとされています。
甲府の水晶は見事な透明で、品質もよかったことから、高い価値があったとされ、甲府市に残る古い記録には、安政年間(1854年~1859年)に水晶を使った数珠や帯留、根付などの注文があったことが記載されていることから、江戸時代後期には水晶研磨技術が発展していたことがわかります。





【明治時代】水晶加工の機械化などで技術が飛躍的に発展

明治時代に入ると鉱山の採掘が解禁になり、甲府でも甲州水晶の採掘が盛んになっていきます。この頃、江戸時代から伝わる錺(かざり)職人の技術と、水晶彫刻の技術が結び付き、より市場性の高い製品づくりができるようになりました。

特に明治時代から昭和初期は、職人などによる研磨機の開発など、技術革新によりその技術は飛躍的な発展を遂げました。

甲府の水晶細工を全国区に広めたのは、通販カタログと行商人でした。明治36年に創刊した通信カタログ「甲斐物産商報」には、「ぶどう酒」や「水晶細工」などが掲載され、同じ年に甲府―東京をつなぐ国鉄中央線の開通や、峡南地域の行商人が甲州水晶の新たな販路を開拓したことから、水晶細工の認知度も生産量も拡大していきます。
この隆盛期により甲州の水晶は少なくなってしまいますが、大正時代に入りブラジルからの水晶が輸入されたことで、生産を続けることができました。



【大正時代~昭和初期】「金指輪」など貴金属工芸の製造も盛んに

第一次世界大戦で日本は大戦景気を迎えます。水晶細工をより華やかにみせる貴金属工芸が好まれるようになると、甲府の職人は金を主体とした装飾品「金ぶち眼鏡」「金指輪」「時計の金ぐさり」などの製造も行なうようになり、時代のニーズとともに貴金属工芸の基礎がつくられていきました。
それまでの手作業から機械化が図られたことで、生産効率が向上し量産化へと移り変わっていきました。
昭和に入り第二次世界大戦がはじまると、宝石に輸入制限がかけられ、装飾具としての水晶加工が困難になりますが、研磨宝飾業者は、水晶発振子、光学レンズ、絶縁体といった軍事産業に組み込まれていきました。
この企業整備の強行により、軍需要工場が広がったため、研磨技術自体が衰えることはなかったといえるでしょう。その後、焦土の中で再建してきた水晶工芸こそ、現代の基盤です。


【昭和~現代】復興から日本一のジュエリー集積産地へ

ゆめ・きら・リング 協同組合 山梨県ジュエリー協会

終戦後、宝飾品産業の基盤が確立すると、宝飾品の需要は増大し、装身具や室内装飾品など国内向けの本格的な生産が始まりました。高度成長期を迎えると、更に装身具に対する嗜好は高級品へと移行してきました。ダイヤモンドをはじめとする宝石に、ゴールドやプラチナなどを使用した加工にも取り組むなど多様なニーズに対応し、デザインの進歩も相まって甲府のジュエリー産業は目覚ましい発展を遂げてきました。
現在では、ジュエリーの生産量は国内トップクラスを誇り、甲府市内には、ジュエリー産業に関わる職人やアトリエが集積。デザインから加工まで一貫してジュエリーが作れる環境が整う集積産地となっています。


まとめ
いかがでしたか? 甲府市は質のよい水晶が多く採れたことがきっかけで、水晶研磨と貴金属工芸が発達し、「宝石のまち」として発展を遂げてきたことがわかりました。
このような歴史に裏付けされた伝統技術をもっているのが甲府のジュエリーの特徴です。
マイナビウエディングでは「甲府ジュエリーラブプロジェクト」として、宝石のまち甲府から、新たなジュエリー文化を提案していきます。日本が誇る甲府ジュエリーをぜひチェックしてみてください!


出典:甲府商工会議所(1968)水晶宝飾史

出典:ジュエリー今昔物語 (協同組合 山梨県ジュエリー協会)
https://yja.or.jp/history/



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