フィンランド発の爆笑ロードムービー第2弾! BABYMETALも参戦『ヘヴィ・トリップII』
2024/12/16 更新
世界幸福度ランキングで7年連続の堂々1位に輝くフィンランド。公共サービスが整い、治安もよく、大自然に恵まれ、1日の疲れはサウナでのんびりと癒す……。フィンランドには、そんな穏やかなイメージがある。だが、それはフィンランドの一面であって、とんでもない過激さを求めるフィンランド人も少なくない。
その象徴といえるのがヘヴィメタル熱。北欧メタルと称され、ノルウェー、スウェーデンと並び、数々のフィンランド出身のメタルバンドが活躍している。
フィンランド人のメタル好きが昂じて生まれたのが、コメディ映画『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』(2018年)だ。地元フィンランドだけでなく、日本でも予想外のスマッシュヒットとなり、第2弾『ヘヴィ・トリップII/俺たち北欧メタル危機一発!』が12月20日(金)より劇場公開される。冴えない、女性にモテない、ド田舎のメタルバンドの物語は、なぜ国境を越えて熱狂をもたらしているのだろうか?
その象徴といえるのがヘヴィメタル熱。北欧メタルと称され、ノルウェー、スウェーデンと並び、数々のフィンランド出身のメタルバンドが活躍している。
フィンランド人のメタル好きが昂じて生まれたのが、コメディ映画『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』(2018年)だ。地元フィンランドだけでなく、日本でも予想外のスマッシュヒットとなり、第2弾『ヘヴィ・トリップII/俺たち北欧メタル危機一発!』が12月20日(金)より劇場公開される。冴えない、女性にモテない、ド田舎のメタルバンドの物語は、なぜ国境を越えて熱狂をもたらしているのだろうか?
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野外フェスへの出場を渇望するローカルバンドの物語
『ヘヴィ・トリップII』より。ドイツにやってきた「インペイルド・レクタム」
12年間にわたってバンド練習に明け暮れた彼らだが、まだ一度も人前でライブ演奏したことがなかった。ライブをやるにはオリジナル曲が必要だということで、苦悶苦闘の末にロットヴォネンが秀逸なギターリフを考案する。実家のトナカイ屠殺場で働いている際に思いついたアイデアだった。このギターリフをもとにして、初のオリジナル曲「溢れ出る分泌物」が完成。バンド名も「インペイルド・レクタム(直腸陥没)」に決まる。ノルウェーのメタルフェス出場を目指し、盛り上がる4人だった。
観客の前でライブ演奏をしてみたいという無名バンドのせつない願いを描いた前作は、メタルファン以外の層にも大いに受け、日本では「ヘヴィ・トリッパー」と呼ばれるリピーターが映画館に詰めかけるなど異様な熱気に溢れる人気作となった。前作から5年、その続編となる『ヘヴィ・トリップII/俺たち北欧メタル危機一発!』がフィンランドから届いた。前作よりもバカバカしく、さらにスケールアップしたエンタメ作品に仕上がっている。
若い世代が「インペイルド・レクタム」に惹かれる背景
前作『ヘヴィ・トリップ』。左から2人目が初代ドラマーのユンキ
メタルオタクのベーシストのパシこと、デスメイクが特徴のクシュトラックスと並んで、前作で実にいい味を出していたのが初代ドラマーのユンキだった。サイテーサイアクの状況こそが、メタルバンドにはふさわしいと逆転の発想ができる超ポジティブ思考の持ち主。ライブをやろうと言い出し、フェスのプロモーターにデモテープを渡したのも彼だ。彼の能天気さと行動力が、バンドの運命を大きく変えていった。
レッドツェッペリンのジョン・ボーナム、ザ・フーのキース・ムーンなどの天才ドラマーの夭折伝説に準じるように、ユンキは第1作であの世へと旅立ってしまう。「インペイルド・レクタム」が野外フェスに参加できたことを誰よりも喜んだのは彼に違いない。死んだはずのユンキが意外な形でフェスに参加したシーンは、笑いと涙を同時に誘う名場面だった。
内気な性格のはずだったボーカルのトゥロだが……
トゥロ(右端)はおしゃれキャラに変貌。真ん中は二代目ドラマーのオウラ
内なる恐怖に打ち勝ったトゥロは、迫真のライブパフォーマンスを披露するだけでなく、ミーアにしっかりと自分の想いを伝えることにも成功する。小心者のトゥロの精神的な成長ぶりは、片想いでお悩み中の方たちも参考にしてほしい。
第1作ではシャイボーイだったトゥロだが、第2作では過剰なまでに自信を持ち、「インペイルド・レクタム」に最大の危機が訪れることに。意外なきっかけで、人間はけっこう変わってしまうものなのかもしれない。
バンドのオリジナル性か、それとも商業的な成功か
続編では獄中生活を送ることに。ノルウェーの刑務所は居心地がいい?
囚人相手にダンス音楽を演奏していた4人だったが、彼らの武勇伝を知ったドイツの巨大フェスから出演オファーが届く。また、トナカイ屠殺場を経営するギターのロットヴォネンの実家が地上げ屋に狙われており、借金返済用のお金が必要となる。フェスに出場し、そのギャラでロットヴォネンの実家を救おうと、刑務所脱獄を決意する4人だった。だが、彼らの前にノルウェー国境警備隊を率いていた因縁のドッケン大佐が立ち塞がる。
前作ではライブ演奏できることに純粋に喜びを感じていた「インペイルド・レクタム」のメンバーが、今回は商業ロックの波に飲み込まれてしまう。巨大フェスの主催者の意向に従えば、売れっ子バンドとしての道が約束されている。しかし、バンドとしてのオリジナリティーまで捨ててしまってもいいのか。トゥロたちはその判断で大いに悩む。
売れ線の曲を歌うのか、それとも自分たちが本当に演奏したい曲をやるのか。このテーマは、みうらじゅん原作コミックを峯田和伸&麻生久美子で実写映画化した『アイデン&ティティ』(2003年)と通じるものだろう。
ドタバタコメディの中に、音楽業界の普遍的な問題が盛り込まれているところも『ヘヴィ・トリップII』の注目ポイントとなっている。
「BABYMETAL」は欧州でも大人気
劇映画に初出演となる「BABYMETAL」
2025年には欧州アリーナツアーが決定している「BABYMETAL」が、メタル王国でも高く評価されていることが伝わってくる。「BABYMETAL」が出演した第2弾が日本でも盛り上がれば、シリーズ第3弾の可能性も浮上してくるのではないだろうか。
メタルフェスの熱狂ぶりと爆笑コメディが同時に楽しめるお得な『ヘヴィ・トリップ』シリーズ。12月20日(金)の新宿シネマートでの初日舞台あいさつには、ユーソ・ラーティオ監督と「インペイルド・レクタム」のメンバーが来日して登壇することが決まっており、劇場が熱狂化することは間違いないだろう。年末年始のスケジュールに、「直腸陥没」をぜひ加えておきたい。
今回紹介した『ヘヴィ・トリップ』『ヘヴィ・トリップII』の作品情報
「インペイルド・レクタム」の初来日も決定!(ただしライブ演奏はなし)
監督・脚本/ユッカ・ヴィドゥグレン、ユーソ・ラーティオ
出演/ヨハンネス・ホロパイネン、マックス・オヴァスカ、サムリ・ヤスキーオ、チケ・オハンウェ、アナトー・タウプマン、ヘレン・ビースベッツ、ダーヴィト・ブレディン、JUSSI69、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALほか
配給/SPACE SHOWER FLIMS
12月20日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー
(C) 2024 Making Movies, Heimathafen Film, Mutant Koala Pictures, Umedia, Soul Food
https://heavytrip-2.com/
『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』
監督・脚本/ユッカ・ヴィドゥグレン、ユーソ・ラーティオ
出演/ヨハンネス・ホロパイネン、ミンカ・クーストネン、ヴィッレ・ティーホーネンほか
12月13日~12月19日(木)、シネマート新宿ほかにて再上映中 R15
(c)Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018
http://heavytrip-film.w-lab.jp/
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