有名夫婦3組に見る、それぞれの愛のかたち。ジェシー・バックリー主演『ハムネット』『ザ・ブライド!』 ケイト・ハドソン熱唱『ソング・サング・ブルー』
2026/04/02 更新
ジェシー・バックリーがアカデミー賞主演女優賞を受賞した『ハムネット』
「恋の始まりは、晴れたり曇ったりの四月のようだ」
「明けない夜はない」
「今が最悪と言える間は、まだ最悪ではない」
世界史上もっとも有名な劇作家ウィリアム・シェイクスピアは、数々の名言を残している。16~17世紀の英国で活躍したシェイクスピアだが、彼の妻だったアグネスにまつわる記録はほとんど残されていない。そのシェイクスピア夫妻を主人公にしたのが、クロエ・ジャオ監督の新作『ハムネット』(4月10日公開)だ。アグネスを演じたジェシー・バックリーは、今年のアカデミー賞主演女優賞に輝いている。
同じくジェシー・バックリーが主演した『ザ・ブライド!』(4月3日公開)では、クリスチャン・ベール扮するフランケンシュタインの怪物の花嫁というぶっ飛んだ役に挑戦している。振り幅の大きい主演作が続けて公開されるが、どちらもジェシーの女優としての旬の輝きを感じさせる作品に仕上がっている。
結婚生活を描いた夫婦ものとして、ヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソンが共演した『ソング・サング・ブルー』(4月17日公開)も、味わい深いドラマとなっている。3本のハリウッド映画から、夫婦の在り方を探ってみよう。
「明けない夜はない」
「今が最悪と言える間は、まだ最悪ではない」
世界史上もっとも有名な劇作家ウィリアム・シェイクスピアは、数々の名言を残している。16~17世紀の英国で活躍したシェイクスピアだが、彼の妻だったアグネスにまつわる記録はほとんど残されていない。そのシェイクスピア夫妻を主人公にしたのが、クロエ・ジャオ監督の新作『ハムネット』(4月10日公開)だ。アグネスを演じたジェシー・バックリーは、今年のアカデミー賞主演女優賞に輝いている。
同じくジェシー・バックリーが主演した『ザ・ブライド!』(4月3日公開)では、クリスチャン・ベール扮するフランケンシュタインの怪物の花嫁というぶっ飛んだ役に挑戦している。振り幅の大きい主演作が続けて公開されるが、どちらもジェシーの女優としての旬の輝きを感じさせる作品に仕上がっている。
結婚生活を描いた夫婦ものとして、ヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソンが共演した『ソング・サング・ブルー』(4月17日公開)も、味わい深いドラマとなっている。3本のハリウッド映画から、夫婦の在り方を探ってみよう。
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妻の視点からシェイクスピアを描いた『ハムネット』
シェイクスピア(ポール・メスカル)は8歳年上のアグネスと恋に落ちる
『ノマドランド』(2020年)でアジア出身女性として初のアカデミー賞作品賞&監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督は、そんなアグネスの悪妻イメージを一新している。16世紀の英国の小さな村ストラトフォード=アポン=エイヴォンで暮らすアグネス・ハサウェイ(ジェシー・バックリー)は、ハヤブサを自在に操る鷹匠であり、自宅で過ごすよりも森を散策することを好み、薬草の知識に詳しいミステリアスな女性として描かれる。
ハサウェイ家をラテン語の教師として訪れた青年ウィリアム・シェイクスピア(ポール・メスカル)は、野生的な魅力にあふれるアグネスにひと目惚れしてしまう。アグネスも教養のあるシェイクスピアに、他の男たちとは違う魅力を感じ、ふたりは恋に落ちていく。
周囲はふたりの交際に反対するも、アグネスが身籠ったことから結婚が認められることに。年の差を気にすることなく、アグネスとシェイクスピアが情熱的に愛し合う様子が描かれる。この序盤パートを観ていると、森を好むアグネスの風変わりな様子は『マクベス』に登場する魔女のようであり、男性に媚びることなく毅然と振る舞う姿は『ヴェニスの商人』のポーシャを思わせ、両家の反対に屈することなく運命の恋に身を投じるくだりは『ロミオとジュリエット』のジュリエットそのものに感じる。
シェイクスピア作品で描かれる女性像の源泉や作品の多くのモチーフは、妻のアグネスにあったのではないかというユニークな解釈となっている。
一家を襲った悲劇をシェイクスピア夫妻はどう乗り越えたか?
3人の子どもに恵まれ、幸せな時間を過ごすシェイクスピア一家
家族のつながりを、聡明な双子のハムネットとジュディスが担っていたが、そんな折に村でペスト病が流行し、まだ幼い兄妹は相次いで感染してしまう。一家を襲った悲劇をどう乗り越えていくのかが、物語後半の見せ場となる。
大事な家族の一員を失ったシェイクスピアは、創作に打ち込むことで胸に空いた喪失感を埋めようとする。「生きるべきか、死すべきか。それが問題だ」で知られる悲劇『ハムレット』の誕生だ。それまで演劇に興味を示さなかったアグネスも、この舞台に引き寄せられていく。
物語は、亡くなった人を虚構の世界で甦らせることでその魂を慰め、同時に残された側は喜びや悲しみを他者と分かち合うことで心が癒されるーという役割を神話時代から負ってきた。物語のそんな原点に、アグネスは夫の創作劇を通して触れることになる。
恋する女の熱い情熱と母親としての愛情の深さを、ジェシー・バックリーはたっぷりと演じてみせている。オスカー受賞も納得の結果だ。
フランケンシュタインの花嫁を主人公にした『ザ・ブライド!』
『ザ・ブライド!』より。墓場から甦ったブライドとフランク(クリスチャン・ベール)
アイダ(ジェシー・バックリー)はパーティー会場を盛り上げるエスコートガールだったが、シカゴの裏社会の事情を知りすぎたため、あっさりと命を落としてしまう。哀れ、人知れず墓場に埋められるアイダだった。
そんな折、フランケンシュタインの怪物こと、フランク(クリスチャン・ベール)が天才科学者のユーフォロニウス博士(アネット・ベニング)の研究室を訪ね、「伴侶をつくってほしい」と懇願する。かくして墓場から掘り出されたアイダは、フランケンシュタインの花嫁=ブライドとして甦る。
ジェシー・バックリーは『ロスト・ドーター』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされており、マギー監督とは2度目のタッグ。フランケンシュタインの花嫁を楽しそうに演じている。フランク役のクリスチャン・ベールも特殊メイクで顔がほとんど分からない状態で、カメレオン俳優ぶりを遺憾なく発揮している。
他にもマギー監督の実弟であるジェイク・ギレンホールが映画スター、マギー監督の夫である演技派俳優ピーター・サースガードが刑事、スペインの名花ペネロペ・クルスがその部下と、実に華やかなキャスティングとなっている。
ジェンダー作品への出演が続くジェシー・バックリー
ナイトクラブで踊り狂うブライドとフランク。生を実感するふたりだった
だが、フラッパーたちの自由を求める熱気は、1930年代には冷え込んでしまう。世界が新しい戦争へと向かい始めたためだ。そんな時代の流れに逆行するように、ブライドは自由奔放に踊り、叫ぶことになる。フランクも彼女と一緒に踊り出す。アツアツの新婚カップルの誕生である。
『ロスト・ドーター』で仕事と育児の両立に悩む母親を演じたジェシー・バックリーは、他にも『トーキング・ウーマン 私たちの選択』『MEN 同じ顔の男たち』(2022年)などジェンダー問題を扱った作品に意欲的に出演している。沈黙を強いられた死体から自由を求める花嫁として甦ったブライド役は、ジェシーにとってまさに適役だろう。
実在した歌まね夫婦の物語『ソング・サング・ブルー』
ニール・ダイヤモンドを熱唱するヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソン
ニール・ダイヤモンドの歌まねシンガーとしてステージに立つマイク(ヒュー・ジャックマン)は、思うようなショーができずに悶々とした日々を過ごしていた。だが、そんなある日、同業者のクレア(ケイト・ハドソン)と出会い、ふたりは意気投合。ニール・ダイヤモンドのヒット曲「スウィート・キャロライン」をデュエットしたところ、大人気となる。
マイクもクレアも結婚歴があり、再婚したふたりは、ステップファミリーとして暮らすことに。クレアの明るい性格もあって、賑やかな家族となる。パール・ジャムとのライブ共演を果たすなど、仕事も家庭も順調だった。
ところが、クレアが交通事故に遭うという悲劇に見舞われる。怪我の後遺症と服用する薬の副作用から、クレアはネガティブな性格に変わってしまう。マイクもアルコール依存症から、なかなか立ち直ることができない。それでも、マイクもクレアも歌うことだけは諦めようとはしなかった。
お互いの長所と欠点を理解する熟成した夫婦像
ケイト・ハドソンは本作の演技で、今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた
今回のヒュー・ジャックマンは「ウルヴァリン」シリーズのようなかっこいいヒーローではないし、かつて「ロマコメの女王」と呼ばれたケイト・ハドソンも年相応のふっくらした体型となっている。でも、そこが『ソング・サング・ブルー』という作品の魅力だろう。オッサンとオバサンがありのままの姿をお互いに受け入れ、長所も欠点も理解し、支え合うことになる。お互いの連れ子たちの協力も欠かせない。
出会った頃のような熱い情熱はすでに去り、新しくできた家族の中で求められる役割も変わっていくが、相手のことを愛しむ気持ちは忘れずにいる。そんな夫婦の関係性が熟成されていく様子が、ニール・ダイヤモンドのヒット曲と共に描かれていく。
最後にもうひとつ、シェイクスピアの結婚にまつわる名言を。
「輝くものは、必ずしも金とは限らない」
シェイクスピアの喜劇『ヴェニスの商人』のヒロインであるポーシャが、結婚相手に求める条件としてこの言葉が語られる。外見や財産などに惑わされて、大切なものを見落とさないようにと諭したものだ。
夫婦が共に暮らしていく中で、輝くものを見つけることができれば、それこそが幸せな生活ではないだろうか。
文=長野辰次
『ザ・ブライド!』『ハムネット』『ソング・サング・ブルー』作品情報
原作/メアリー・シェリー 監督・脚本/マギー・ギレンホール
出演/ジェシー・バックリー、クリスチャン・ベール、ピーター・サースガード、アネット・ベニング、ジェイク・ギレンホール、ペネロペ・クルス
配給/東和ピクチャーズ、東宝 4月3日(金)より全国公開
(c)2026 Warner Bros.Entertainment Inc. All Rights Reserved.
https://thebride-movie.jp/
『ハムネット』
原作・共同脚本/マギー・オファーレル 監督・共同脚本/クロエ・ジャオ
出演/ジェシー・バックリー、ポール・メスカル、ジョー・アルウィン、エミリー・ワトソン
配給/パルコ、ユニバーサル映画 4月10日(金)より全国公開
(c)2025 FOCUS FEATURES LLC.
https://hamnet-movie.jp/
『ソング・サング・ブルー』
監督・脚本/クレイグ・ブリュワー
出演/ヒュー・ジャックマン、ケイト・ハドソン、マイケル・インペリオリ、エラ・アンダーソン、キング・プリンセス、ハドソン・ヘンズリー
配給/ギャガ 4月17日(金)より全国ロードショー
(c)2025 Focus Features LLC. All rights reserved.
https://gaga.ne.jp/song_sung_blue/
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