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「水引の生産量日本一」の街の専務がやたらとクリエイティブだった

2025/09/18 更新
この記事は2015年にKekoon powered by マイナビウエディング にて配信されたものです。
こんにちは、ライターのカツセマサヒコです。

突然ですが、皆さんは結婚式のご祝儀袋などで使われている水引(みずひき)が、主にどこで作られているかご存知ですか?



正解は、長野県飯田市です!

飯田市は現在流通している水引の約70%を作っているらしいです。作りすぎだろ。

そんなわけで今回は、水引を作りまくっている飯田市の業者を見学するために、電車で片道5時間かけて長野県飯田市にある飯田駅に行ってみました。

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Google検索で一番上位にくる水引業者に行こう


飯田市の中にも水引業者はいくつもあるようですが、今回はGoogleで「水引」を検索して、一番上にあがってきた会社を取材することにしました。(2015.11.17時点)

Google検索が上位ということは、絶対にいい会社ということですからね。

ということで、
明治元年創業「水引屋 大橋丹治」さんにお邪魔しましたー!



取締役専務の5代目 大橋丹治さんに、作業場の様子を案内してもらいます。

5代目ということは、「3代目 J Soul Brothers」より2世代ぶんカッコいいということですね。

ーー本日はよろしくお願いします!

「よろしくお願いします!」

まずは作業場を見せてもらうことに。



ここでは主に出荷や仕上げ、手直し、梱包作業などをやっています。

ーーあ、ここで水引を作っているわけではないんですか?

「水引自体は内職の方たちにお願いしているんですよ。」

ーーなるほど。内職の方たちって何人くらいいるんですか?

「100人は超えるんじゃないですかね。」

ーー完全に舐めてた。7人くらいかと思った。

「全国の問屋から発注受けてますからね。」

ーーそれで内職の方たちが作ったものをここで梱包してるわけですね。

「そうですね。」

水引ができる工程を見てみよう


続いて水引職人の東谷さんに、実際に水引を作るところを見せてもらうことになりました。

ーーよろしくお願いします!

「よろしくお願いします! まずは一番オーソドックスな「あわじ結び」をやってみますね。」



これが水引。紅白のものと、金銀のものの2種類があり、ご祝儀袋に巻かれる前はこんな風にまっすぐな状態で保管されているそうです。

「では、やってみます。」



グッ......!!



ヒュバッ!!!!



シュルシュルシュルシュル......!!!!



キュゥゥゥ......!!!!



スッ......



ピタァッ......!!

「これでひと段落です。」

ーーぜんぜんわからん。




ご祝儀袋からはみ出た部分をハサミで切って、裏面から固定してしまえば完成だそうです。

ーー手際が良すぎて全然わからなかったんですけど。

「あ、じゃあもう一度やりますね。」

今度は動画で撮りました(動画の公開期限が過ぎてしまいました......)。Vineで見ると、丁寧に一本一本そろえていくことがわかります。

ーー完全に「手に職」って感じの動きでしたが、一カ月にどれぐらい作られるんですか?

だいたい2~3,000個ですね。ご祝儀袋だけでも100種類くらいあって、それぞれに水引が必要になりますから。

ーーそれらを全て手作業でやってるんですもんね、すごい世界だ......。



ほかにも水引一つでいろんなものが作れると言うので見せてもらったら、本当に細かい作品がめちゃくちゃでてきました。



このカブトも、全て水引でできている。



事務所の入り口にあるやつも全部水引で作られてました。細かすぎる。

やたらとクリエイティブな専務だと思ったら、キャリアが異色すぎた


せっかく水引業界をけん引する企業に来ているので、専務にも再び話を伺ってみようと思います。

ーー水引って、職人さんの手作りなんですね。機械でやってるかと思いました。

「ずいぶん前に機械化を一度は検討したんですけど、技術的に難しいのと、コストを考えたときに人がやった方が効率いいことがわかったんですよね。」

ーー確かにあの細かい作業を機械化したらやたらとお金かかりそうですね。

「あと、水引を結ぶのは、心を結ぶってことだと思うんですよね。ご祝儀袋って安いものは安いですけど、こうやって人の手がかかってると、なんだか温かいものに感じられると思うんですよ。

ーーいきなりめちゃくちゃいい話がでましたね。

太字で書いておいてください(笑)」

ーーすごい打算的だ。




明治元年創業って看板に書いてあったんですけど、本当ですか?

「そうですね! さかのぼると江戸時代に前身があって、最初は武士のちょんまげを結ぶための元結(もとゆい)作りから始めたんですよ。でもちょんまげが廃止されて、そこから元結を応用して、水引に移行していったんです。」

ーーまさか武士の話が出てくるとは思わなかった。そこからずっと水引一本ですか?

「それが、当時は本当にいろいろチャレンジしていて、昭和の初期まではカレンダーとか薬も売っていたんです。」

ーー何それ自由すぎる。



創業当初の看板。本当に「薬」って書いてある。

ーーそういえば、「水引」でネット検索したときに、水引業者としては大橋丹治さんの名前がトップに出てきたんですよ。水引をネットで買う人って多いんでしょうか?

「ネットでの売り上げは、16~17%ですね。」

ーー意外と多い! ご祝儀袋なんてコンビニで買えるじゃないですか。

「うちはオーダーメイドの注文を受けているんですが、それがネット売上の8割を占めていますね。」



「これが最初にヒットした「梅結び」という水引なんですけど、梅の部分以外はゴムでできていて、いろんなものにかけられるんです。ある企業からオーダーメイドの注文を受けて、そこから一気に認知されるようになりました。

水引を使った商品って、あまりほかの素材と組み合わせることがないので、珍しがられたんですよね。ゴムだといろんなものを留められますし。


大橋丹治さんのサイト

ーーネットでの販売に乗り出そうとしたのはいつごろなんですか?

「2010年3月にまずAmazonでの販売を開始しました。その後、楽天での販売も開始し、同年11月から自社サイトでネットショップを開始しました。

Amazonと楽天で販売していたころは、全然売れなかったんですよ。

で、しばらく試行錯誤してたら気付いたんですけど、たぶんこういう商品の場合、ネットは商品を売る場ではなく、見せる場なんじゃないですかね。」

ーーそれって、アパレルショップとかがショーウインドウで商品を見せることで、来店数を増やすイメージですか?

「そうですそうです。で、楽天とか辞めて自社サイトに力入れたら、見てくれる人が増えて、売上げも上がっていきました。

ーーまさか水引屋からそんな話が聞けるとは思わなかった。



「ちょっと特殊なことをやっているように思えるのは、私がまったく異業種からこの業界に入ってきたからかもしれないですね。

ーーえ、前職は何されてたんですか?

雑誌の編集をやってました。そのあとアーティストのコンサートグッズの制作や販売を行う会社で勤務して、そこから現職に至ります。」

ーーなにその超異例なキャリア。

「そうなんですよ。超異例だから、この業界のことまったくわかってなくて。だから固定概念もなかったんですよね。」

ーーそれでネット販売にも力を入れられたと。

「苦労もしたんですけど、周りでちゃんとやってる人がいなかったので、需要あるんじゃないかと思いましたね。」

ーーいや商才もすごいですよそれ。ちゃんと結果出しちゃってますから。

「そうですね、他社にはあまりない収益モデルを作れたのはうれしかったですね。」



こうして取材は終了しました!

はるばる5時間近くかけて電車を乗り継いで来た甲斐がある取材でした。水引を作っているところなんて、簡単に見られるものではないですからね!

「え、電車で来たんですか?」

ーーあ、はい。

最寄駅から新宿まで、高速バス出てますよ?

ーーえ、うそ。

「ほんと。しかも4,200円で。

ーー行きの交通費の半額以下......!?  完全に往路が損してる......。

「今度はゆっくりお越しくださいね。」

まとめ

・国内に流通している水引の70%は、長野県飯田市で作られている!
・水引は職人や内職の方の手作りで作られている!
・google検索上位の大橋丹治の専務は超特殊なキャリアの持ち主!
・飯田駅は新宿から直通でバスが出ていて、安いし早い!


以上、長野県飯田市の水引業者「大橋丹治」さんからお届けしました!

水引と言えば長野県、皆さんもぜひ覚えてくださいね!!


ーーーーーーーーーーーーー
飯田市すごく静かで人が優しくてよかった。道に迷ったときにGPSマップ見るんじゃなくて自然と人に話しかけてて、そういう空気にさせる何かがあった。あと飯田市いるよー!って言ったらフォロワーさんから「地元です!」って来るのやっぱり素敵。

- カツセマサヒコ (@katsuse_m) 2015, 10月 20

編集|プレスラボ

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