ヴァンクリーフ&アーペルは、1世紀以上にわたり、宇宙のリズムと調和して生きるという夢を追い続けてきた。メゾンは星々や天体が織りなす壮大なスペクタクルに畏敬の念を抱き、その卓越した専門知識を余すところなく発揮した作品によって、天空の驚異に賛辞を贈ってきたのだ。早くも1929年に、ムーンフェイズを表示する複雑機構を搭載した懐中時計を制作する一方、1950年代には再び夜空へと目を向け、メテオール シークレットウォッチを代表とする作品で、その想いを具現化している。

ミッドナイト ジュール ニュイ ファーズ ドゥ リュンヌ ウォッチ
ミッドナイト作品の42mmのホワイトゴールド製ケースの中では、ブラックのムラーノ アベンチュリンガラスが、まるで夜空のように強い輝きを放ちながら文字盤上に広がっている。ヴァン クリーフ&アーペルのイノベーション部門がこの素材の開発に携わり、深みのある色合いと光沢を宿したブロンズの色調を実現することで、夜空の美しさを余すところなく表現。1日の移ろいとともに、ギヨシェ彫刻を施したゴールドの太陽が次第に姿を消し、代わって、アクリルで描かれた星々に囲まれたホワイトマザーオブパールの月が現れる。ブラックからホワイトへとグラデーション状にペイントされたギヨシェ彫刻のマザーオブパールによって表現された地平線の彼方に、2つの天体がそれぞれ現れては消えていく。日々繰り返される天体の追いかけっこは、ジュール ニュイ ウォッチを特徴づけている24時間回転ディスクの動きによって実現されている。このデイ/ナイト表示は、29.5日という永遠の満ち欠けの周期に呼応して、月の見え方が微妙に変化していくという演出によって引き立てられている。

月が地平線の背後に隠れている時であっても、ケース側面のボタンを押せば、オンデマンドでその姿を確認することができる。アニメーションが作動すると、文字盤が約10秒間かけて360度回転し、地球の衛星である月が、星々をちりばめた装飾を背景に、その姿を現す。
物語は月面を思わせるエングレービングが施されたホワイトゴールド製のケースバックへと続く。ローターの上部に配置されたサファイアクリスタルには、エナメルで地球が描かれている。クリスタルはさらにミニアチュール ペインティングによる惑星で彩られ、ギヨシェ彫刻を背景にやわらかな輝きを放っている。つまりケースバックには、文字盤に表れた視点を反転させる形で、地球からではなく月から眺めた宇宙の姿が描かれているのだ。

ミッドナイト ジュール ニュイ ファーズ ドゥ リュンヌ ウォッチの装飾は、それぞれ独自の速度で回転する2枚のディスクを連動させることによって命が吹き込まれている。ケースの底面を覆う1枚目のディスクは、24時間周期で太陽が月を追いかける様子を描き出している。より控えめな2枚目のディスクは、24時間16分27秒かけて1回転し、地球の衛星である月の姿を、日ごとに、ほとんど気づかせないほど微細に変容させていく。これら2枚のディスクが連動することで、夜空に浮かぶ実際の姿と寸分たがわずに月相が示される。またオートマタ機構により、昼間でも現時点の月相を確認することが可能。この天文学的ムーブメントはすべて、ジュネーブにあるヴァン クリーフ&アーペルの時計制作工房の職人や専門家によって設計され、完成までに4年もの歳月を要した。
この技術的偉業を成し遂げるには、回転ディスクの重量を極限まで抑え、動きをスムーズにして摩擦を回避する必要があった。数か月に及ぶ試行錯誤を経て、職人たちは着用者が望む頻度で月相を確認でき、滑らかに作動するオンデマンド アニメーションを実現したのだ。また、文字盤を構成する各層を極薄に仕上げることで、作品の世界観を鮮やかに映し出す視覚効果を生み出した。リューズひとつで操作できる時刻設定やムーンフェイズの調整機構をはじめ、あらゆる面で人間工学に基づいた設計がなされている。
月の神秘を照らし出す
(写真左から)ウォッチのムーブメントの組み立て/文字盤へのマザーオブパールとブラック アベンチュリンガラスのディスクの取り付け/文字盤へのギヨシェ彫刻マザーオブパールのプレートの取り付け/ケースバックの取り付け

ミッドナイト ユール ディシ エ ユール ダイヨール ウォッチ
デュアルタイムゾーン機構を搭載したミッドナイト ユール ディシ エ ユール ダイヨール ウォッチは、地球上の異なる2地点で刻まれる時間を、洗練された詩情あふれる解釈によって示す。文字盤を見るたび、それが世界へと開かれた窓となって果てしない旅へと誘われるのだ。
38mmのミッドナイト ケースのデザインは、ケースやアワーマーカーにあしらわれたポリッシュ仕上げとサテン仕上げを施したローズゴールドと、文字盤を構成するレリーフ状のエナメルの繊細な色味とが織りなす調和の取れたバランスが目を引く。そのブラウンのニュアンスは、光の当たり具合によって温かみのあるアクセントにも冷たいアクセントにも変化。文字盤には、ヴァン クリーフ&アーペルのひし形のホールマークを想起させるピケモチーフから放射状に広がる、美しいギヨシェ彫刻が施されている。純粋なラインがアシンメトリーな装飾と共鳴し、メゾンのスタイルの真髄を伝える。流麗な書体で綴られたモデル名は、言葉で表現された詩情へのオマージュとなっている。そしてケースバックには、ギヨシェ彫刻の太陽の光を浴びる月の姿がエングレービングで描かれている。
このミッドナイトのケースには、すべて新たに開発しなおした自動巻き機構が収められ、レトログラード分表示に加えてジャンピングアワーを表示するための65時間のパワーリザーブを搭載。文字盤上部の窓に表示される基本の時間「ユール ディシ(ここの時間)」と、下部の窓に表示される2つ目の時間帯「ユール ダイヨール(あちらの時間)」は、2つのセクターギアによって2枚のディスクとレトログラード分針が同期されることで同時に進む。分針が60の目盛りに達すると瞬時に0位置に戻ると同時に、時間表示が次の数字にジャンプ。こうして、新たな旅路を告げる新しいサイクルが始まるのだ。また、操作性を高めるため、ムーブメントの巻き上げ、2つのタイムゾーン設定、分針の調整をひとつのリューズで行うことができる仕様になっている。

ヴァン クリーフ&アーペルは、ミッドナイト ユール ディシ エ ユール ダイヨール ウォッチを唯一無二の色合いで彩るため、ジュネーブにある自社のエナメル工房の職人にその制作を託した。エナメル職人たちはまず、暖色でありながらどこか冷たさを感じさせる色味を帯びたルビーなど、厳選された貴石が持つ光学特性に着目した。そして数々の試行錯誤を繰り返した末に、濃密で深みのあるアンバーブラウンのエナメルによって、このような二色性を再現することに成功したのだ。ミラーポリッシュ仕上げを施したゴールドの背景が文字盤内の反射を高め、光の当たり具合によって微妙に変化する色のニュアンスを際立たせる。
この最初の難題に加え、メゾンのホールマークを想起させるピケモチーフのエナメルへの刻印、外縁に向かって放射状に広がるギヨシェ彫刻といった繊細さを要する作業が並行して進められた。これら2つの装飾に調和の取れた相互作用を生み出すために、エナメルに2つの異なる彩度を持たせることが求められた。塗布したエナメル層の厚みが色調だけでなく、「シャトヤンシー(変彩効果)」と呼ばれる素材内部での光の挙動にも影響を与えるからだ。ヴァン クリーフ&アーペルの職人は、レリーフ状のモチーフを表現するため、吹きガラス技法から着想を得て、それを時計制作の道具に応用。まず均一に発色させるべく、エナメルを500度以下の低温で30時間以上熱した。その後、高温と1000度を超える超高温での2回の焼成を行うことで気泡を取り除き、成形に適した状態に整えた。成形は、手作業で金型をエナメルに押し当てて行われる。さらに最後の焼成を経て、最終的な成形段階に入る。
エナメル:生まれ変わった芸術形態
(写真左から)文字盤用エナメルの最初の焼成/文字盤のピケモチーフのカットと研磨/文字盤の確認/ウォッチケースへのリューズの取り付け

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