結婚式のスピーチで感謝の気持ちが伝わる話し方
結婚式の披露宴の締めくくりに欠かせない新郎のスピーチ(謝辞)や新婦による花嫁の手紙朗読。感動ひとしおの場面ですが、緊張のあまり何度も噛んでしまったり、小さくてよく聞き取れない声や話し方では、どんなに内容が素晴らしくても伝わらず、場が白けてしまいそう......大勢のゲストの前で、上手に話すにはどうしたらいいの? 紳士淑女指導家であり、独自のボイスメソッドもお持ちの上月マリア先生に結婚式のスピーチ・手紙の朗読で「美しく話すコツ」を教えて頂きました。
◆花嫁からの手紙やスピーチで「心に響く話し方」をするには?
オードリー・ヘプバーンが主役を演じた映画「マイ・フェア・レディ」で、発声と発音のレッスンを通して淑女教育が繰り広げられるように、「人の心に届く声」「人を魅了する話し方」を身につけることは、プロトコールの世界ではとても重要とされます。特に結婚式は「モストフォーマル(最も正式)」と位置づけられる場。主役の新郎新婦がゲストへ向けてスピーチをするときには、マナーとしての話し方をきちんと取り入れたいものです。
といっても堅苦しく考えるという意味ではありません。一番気遣うべきは結婚式という特別な場であっても「すべての人に一度で聞き取ってもらえる話し方をする」こと。つまり、はっきり、ゆっくり、最後まで早口にならないことが基本です。さらに、通る声の出し方と滑舌のいい発音を身につけると、言葉が聞く方の心に届き、感動を生むスピーチができるようになりますよ。
"緊張"は美しいスピーチの大敵です。緊張すると上半身に力が入り声帯に負担をかけて「のど声」になって、はっきりと発音できなくなります。とはいえ緊張しないでといっても難しいですよね。そんなとき、ひとつ簡単なコツは、肩の力をストンと抜き意識をヒップ(骨盤)に集中させること。それだけで結婚式という晴れ舞台でも体の緊張が解けて声帯が緩み、声が出しやすい話し方になりますので、ぜひ覚えておいてください。
◆すぐに滑舌がよくなる! 上月式魔法のメソッド
次に、滑舌をよくするためには、舌の筋肉を鍛えることがポイントです。私がボイスカウンセリングのメソッドに取り入れている、即効性抜群のとっておきの方法をお教えしたいと思います。
「カ行」が弱い方は、「カカカコココキキキ」
「サ行」や「ヤ行」が弱い方は、「ィヤィヤィヤィヨィヨィヨィエィエィエ」
「タ行」や「ラ行」が弱い方は、「タダラナトドロ二、ティディリ二」
これを力強く、徐々にスピードを上げながら繰り返し発音してみてください。舌の筋肉が整えられて、滑舌がよくなってきます。本番までに練習しておけば自信もつき、当日はよく通る声で滑舌よく話すことができますよ。
※出典:上月マリア著 「気品」を身につける一番シンプルな教え ワンランク上のエレガントマナー
◆新郎のスピーチはふたりの気持ち。新婦も一緒に話しているつもりで聞いて
最後に、新郎がスピーチしている時の新婦の立ち居振る舞いについても触れておきます。結婚式の最後、新郎のスピーチは、新しく夫婦になったふたりのからゲストへの感謝の気持ちを伝えるもの。新郎が話している間、新婦は共に話しているような心持ちで、少し目線を下げて隣に寄り添っていると、仲睦まじいステキな夫婦に見えるでしょう。ときに新郎とアイコンタクトを取ったり、相槌を打ったりしながら、「私も同じ気持ちです」とゲストに伝えましょう。
ゲストや司会者の話を聞いているときも、自分自身が話しているときも、常に見られていること、中には写真を撮ってくださっている方がいるかもしれないことを忘れずに。どんなときでも姿勢をよく背中を真っ直ぐにして、笑顔でいるのがエレガントな花嫁の話し方条件です。



(社)日本プロトコール&マナーズ協会理事長。ノブレス・オブリージュアカデミー校長。1992年に内面から自分を磨く紳士淑女教育のサロンを開設し、国際的に活躍する人材を育成している。著書に『気品ある女性の生き方』『日本人の礼儀』『どんな場でも「困った人」にならない気配りの習慣』など多数。