甲府のジュエリースゴ技自慢!その① 匠が生み出す曲線美「1DK Jewelry works」

甲府は質のよい水晶が産出したことがきっかけで、水晶研磨と貴金属工芸が発達し「宝石のまち」として知られるようになりました。
その技術は今も職人に受け継がれ、ジュエリーに用いるさまざまな加工技術として発展を続けています。
マイナビウエディングでは、甲府のジュエリーを支える職人のスゴ技に注目した連載をスタート! 第1回目は、匠な技で繊細な曲線美を生み出し、独自の価値観を提供する「1DK Jewelry works(ワンディーケージュエリーワークス)」。地金加工職人、ジュエリーデザイナーでもある代表の後藤晃一さんにお話をお聞きしました。
その技術は今も職人に受け継がれ、ジュエリーに用いるさまざまな加工技術として発展を続けています。
マイナビウエディングでは、甲府のジュエリーを支える職人のスゴ技に注目した連載をスタート! 第1回目は、匠な技で繊細な曲線美を生み出し、独自の価値観を提供する「1DK Jewelry works(ワンディーケージュエリーワークス)」。地金加工職人、ジュエリーデザイナーでもある代表の後藤晃一さんにお話をお聞きしました。
「1DK Jewelry works」のジュエリーは流れるような美しいラインが印象的ですが、どのように作られているのでしょうか?
主に工具などで金属を曲げたり、叩いたりして成形する「鍛造」という製法で手作りしています。ワイヤー状の金線を加工する場合は、金線を芯金(しんがね)と呼ばれる鉄の円柱に巻き付け、曲線のベースを作ってから、ヤットコ(ペンチ)を使って形を整えていきます。最後の細かい調整は指先の感覚が勝負です。芯金は0.8㎜~35㎜まで直径のサイズが異なるものが約50本、ヤットコもさまざまな形状のものがそろい、金種や形状に応じて使い分けています。
形が整ったら高熱を加える「焼き入れ」をして硬くします。金属は熱を加えると元の形状に戻る性質があるので、焼き入れを行うことで、細くても変形しにくい形にすることができるのです。
加工で難しいのはどんなところですか?
自然の延長にあるような曲線を作ることを理想としているので、それに近づけることですね。デザインするときは、曲線の半径と金線の長さのバランスを数式で計算して緻密に設計しますが、扱うのは金属なので曲げても反発する力に左右されてしまうときもあります。手仕事ゆえの難しさですが、そこは職人の腕のみせどころです。細かな調整を加えつつ、有機的な形になるように努めています。

今の技術はどうやって習得したのですか?
宝石装飾の基本については、甲府にある山梨県立宝石美術専門学校で学びましたが、金属加工に関する技術は独学で習得しました。私の父である先代が創業した当時は、小さな工房でチェーンやピアス芯のロウ付けなどの加工を請け負っていました。次第に若者向けのピアスの製造にシフトするようになり、耳に負担をかけない軽量化が課題になりました。「どうすれば、軽やかで美しい形状を作ることができるのだろうか」と、鍛造製法で種類や形状の異なる金線を試しながら、何度も試行錯誤を重ねました。
鍛造製法にこだわったのは、金属に圧をかけることで密度が高くなり、軽さと硬さが実現できるからです。すべて手作業でていねいに作り込んでいった結果、現在のジュエリーの形にたどり着きました。“ジュエリーのまち”甲府といえども、金線を成型加工して作るジュエリーは珍しいんですよ。

独自で開発された技術なのですね。地金に曲線加工をすることでどんなことが表現できると思いますか?
金属は本来シャープで硬い素材ですが、しなやかな曲線を作ることで、軽やかさやエアリー感を表現することができます。一つひとつ手作りなので、機械では作れない唯一無二の美しさが表現できるところも魅力です。さらに、1点ものとしての付加価値を高めることも可能です。近年、金や宝石の価格は高騰し、ジュエリーの製造はこれまでのような量産型が難しくなるでしょう。
これからは、「ここにしかないもの」を生み出す技術とアイデアが重要になると考えています。
すべてを手作業で行うのは大変ですが、そこにこだわることが「1DK Jewelry works」のジュエリーの価値につながると信じています。
今までどんな反響がありましたか?
お客様からは「地金のみのジュエリーを探していてようやく出会えた!」「仕事場でもつけやすい」という声を多くお聞きします。年齢層は、ジュエリーが大好きな大人の女性が多いですね。2011 年にパリでコレクション発表の場を得たときは、日本らしい繊細な加工が評価され、ヨーロッパのジュエリーを真似するのではなく、オリジナリティーを確立することが必要だと再認識しました。
「1DK Jewelry works」のテーマは、「作る者と身に着ける人の特別な共感」です。キッチンでつくったジュエリーをダイニングで振舞う感覚を大切にしながら、技術と発想を磨き続け、これからもお客様と新たな価値を共有していきたいと思っています。
「1DK Jewelry works」のスゴ技がわかるジュエリーを教えてください!
■K10 ツーフェイス リング|GD6014
鍛造製法で成型したため、細くても歪みにくい丈夫な指輪です。切削で表面に凹凸を施したイエローゴールドのグリッタ-ワイヤーと、マット加工で落ち着いた表情のシャンパンゴールドの2つのラインで、異なる色味とテクスチャーが楽しめます。
■曲線美のK18 グラマーレイヤードピアス|GD3050

金具も鍛造製法にこだわり、形状記憶加工で耳から落ちにくいフック式にしました。細いラインですが、鍛造製法により強度・硬度が増しています。つややかな鏡面仕上げも鍛造製法の特徴です。
■金板のK18 コネクティドサークルピアス|GD3080

0.2㎜の薄い金板を輪っかにして一枚ずつつなぎあわせたピアス。成型後に焼き入れの硬化処理をすることでしっかりした強度をもたせています。ボリューム感はありますが軽量で耳への負担が少なくやさしいつけ心地。耳元にエレガントな雰囲気を演出します。
マイナビウエディング編集部から
「1DK Jewelry works」の繊細なジュエリーに触れたとき、見た目からは想像できないしなやかさや強さがあり驚きました。「限られた材料を使って最高のものを作り出す感覚は、料理人に近いかもしれませんね」という後藤さんの言葉も印象的でした。どこから見ても流れるような曲線美は、鍛造製法で一つひとつていねいに仕上げる職人の技の賜物であり、技術が生まれた背景には、価値観の変化や時代のトレンドが影響しています。唯一無二の価値観を大切にする「1DK Jewelry works」のジュエリーに今後も注目していきたいです。[ 1DK Jewelry works(ワンディーケージュエリーワークス) information ]

〒400-0031
山梨県甲府市丸の内1-14-14-102
■OPEN
12:00~17:00
■CLOSED
月曜日・火曜日(日曜日:予約制)
HP:https://1dk-jewelry.shop/
Instagram:1dk_jewelryworks