甲府のジュエリースゴ技自慢!その③ デザイナーの感性を支える巧の技術「Mondobijoux(モンドビジュー)」

甲府は質のよい水晶が産出したことがきっかけで、水晶研磨と貴金属工芸が発達し「宝石のまち」として知られるようになりました。
その技術は今も職人に受け継がれ、ジュエリーに用いるさまざまな加工技術として発展を続けています。

マイナビ編集部は、”甲府のジュエリーを支える職人のスゴ技”を連載記事でご紹介。第3弾は、ファッションデザイナーのセンスが光るジュエリーブランド「Mondo bijoux(モンドビジュー)」に注目します。ウエディングドレスのレースからインスピレーションを得た「レースシリーズ」について、代表取締役でありデザイナーの山口慎太郎さんにお話を伺いました。




「レースシリーズ」が生まれた経緯を教えてください

モンドビジューを立ち上げる前、私たちはファッションデザイナーとして、ウエディングドレスの製作を行っていました。チャペルから差し込む光をまとい、肌に映る陰影も花嫁の美しさを際立たせるレースはウエディングドレスの象徴と言えます。そのころから、「ウエディングドレスのレースを象ったジュエリーを作ってみたい」と考えていたのです。

モンドビジューのレースシリーズは、そんな思いから誕生しました。色石を花嫁に見立て、K10の地金でウエディングドレスのレースの風合いを表現。1点ものの石とレースが織りなす幻想的な世界観が楽しみいただけます。




「レースシリーズ」は、どのようにして作られているのでしょうか?

甲府の工房に制作を依頼し、型に地金を流し込む鋳造という製法でジュエリーを作り上げています。
私たちが作った平面のデザイン画をもとに、職人さんがCADで立体的な設計図を作成し、ジュエリーの基礎となる“原型”を作ります。それをもとに形成した鋳(い)型に地金を流し込み、固めてジュエリーのベースを成型します。

モンドビジューのジュエリーは、原型を作るところから仕上げまで、制作の過程ごとにその道のプロの職人さんが手仕事で施されています。甲府は、ジュエリーを完成させるすべての工程がそろい、横のつながりも強いため、各工程のやりとりがスムーズなのも魅力です。

以前は、職人さんが一つひとつ手作業で行っていましたが、K10という硬い地金に複雑な加工を要するのは手間とコストがかかるため、この製法に切り替えました。コンピューターでモデルを作ることができる鋳造なら、複雑な模様でも正確に量産することができますし、SDGsが重要視される昨今では、職人技術の継承と同時に継続可能な製法も必要だと考えています。




開発ではどんなところにこだわりましたか?

身につけたときの美しさを際立たせるために、立体感を出すことにこだわりました。これは、”人間の体には平面的な部分がない“という、ウエディングドレス作りで培った感覚です。
花びらを象ったレースで、小さな色石を包みこんだ「オリオンレースシングルピアス」や、レース模様を石に映し込むために、テーブル面と底の部分のキューレットの位置を逆にした「ドレスネックレス」に、その感性が反映されています。

特に「オリオンレースシングルピアス」は、本物の花びらのような立体感から生まれる陰影を主役である色石に投影することが重要です。モチーフにしたのは、1本1本の糸で繊細に織られた「リバーレース」というもので、10Kでどこまで再現出来るかという所が難題でした。


最初、職人さんには、イメージとしてレースの写真をお見せしていたのですが、それだけでは再現しにくいと言われ、急きょ本物のレースを取り寄せ、現物をもとに、陰影をどう表現したいかなど、こちらのこだわりをていねいにお伝えしました。CADの工程を何度も繰り返し、ようやくイメージしていた立体感のある原型が完成。改めて、相手が求めていることをしっかり理解して応えることの大切さを実感しました。




職人さんと綿密なコミュニケーションを取り、実現したジュエリーなのですね

おっしゃる通りです。ジュエリーの制作に疎い私に細かく説明をしていただき、ときにはご意見をいただきました。

たとえば、10Kはほかの物質をまぜて強度を上げるため、ゴールド本来の色よりも薄くなってしまう特性があるんです。私はそのことを知らなかったので、イメージしていたのものとはちがう仕上がりの色味に驚きました。職人さんから「18Kでコーティングすれば、本来のゴールドの色に仕上げることができる」と助言をいただき、ゴールドのキレイな色に再現することができたんです。

モンドビジューのジュエリーには、甲府の職人さんたちの絶対的な技術が不可欠です。



レースシリーズのスゴ技がわかるジュエリーを教えてください!

■オリオンレースシングルピアス

レースの中でも非常に繊細な「リバーレース」から柄を象ったレースで宝石を包んだようなフォルムが特徴です。1本1本の糸で織られたような立体感と、刺しゅうそのものの緻密な世界を職人技術で表現しています。柔らかな光と影が鮮やかな一粒の石に映り込み、どことなくクラシックでエレガントな雰囲気を演出しています。



■ドレスネックレス

一点ものの石をオートクチュールのドレスに見立てたデザインで、幻想的な小さな世界が楽しめます。通常のジュエリーでは表にくる石のテーブル面と、底の部分のキューレットの位置を逆にし、ビンテージレース柄を土台の枠に据えることで、差し込む光のその奥にレースの柄が映り込むように仕上げました。
洗練された華やかさが魅力の、毎日お守りのようにつけたくなるアイテムです。



マイナビウエディング編集部から

ファッションデザイナーという異業種ならではの視点で、ジュエリーの美しさを最大限に活かすモンドビジュー。それを支えたのは、甲府で培われたジュエリー製造のノウハウや技術、さらにイメージをカタチにするお互いの創意工夫がありました。
山口さん曰く「ジュエリーを選ぶ際は、お客さまの五感で感じた直感を大切にしてほしい」とのこと。お店では、今の気持ちやライフステージに合ったジュエリーを案内していただけます。

レースシリーズをはじめ、モンドビジューのジュエリーはオンラインサイトからも購入可能です。ぜひ一度チェックしてみてください!



[ Mondo bijoux(モンドビジュー) information ]

■ADDRESS
〒110-0005
東京都台東区上野5-13-4-301号室

■OPEN
平日 11:00~16:00 ※完全予約制

■CLOSED
土日祝 ※土日祝の対応については要相談

HP:https://mondobijoux.com
Instagram:mondobijoux