ジュエリーが学べる日本で唯一の公立学校「山梨県立宝石美術専門学校」ってどんなところ?

ジュエリーの企業や工房の多くが集まり「宝石のまち」として知られる甲府。ここに、ジュエリーについて学べる国内唯一の公立専門学校があるのをご存知ですか? その名も「山梨県立宝石美術専門学校」。学生の半分は県外からの入学で、日本のみならず海外からも学生が集まっているそうです。年齢層も幅広く社会人経験を積んでから入学する人もいるのだとか。「山梨県立宝石美術専門学校」の教授である花輪啓太先生に、どんな学校なのか詳しくお聞きしました!

「山梨県立宝石美術専門学校」の特徴を教えてください!

「山梨県立宝石美術専門学校」は、山梨県の地場産業である研磨宝飾産業の発展と時代のニーズにふさわしい人材育成を目的に1981年に創立されたジュエリーについて学べる国内唯一の公立の専門学校です。

一番の特徴は、宝飾関連産業が集まっている甲府の地の利を学びに生かせることです。国内外で活躍するジュエリー企業や、本校の附属施設でもあるジュエリーミュージアムが徒歩で行ける距離にあるので、ジュエリーにまつわるさまざまなことを身近に感じることができます。
また、山梨県ジュエリー協会と連携したデザインコンペやジュエリー企業でのインターンシップなど、地元企業からのサポートも充実しています。授業で使う金、プラチナ、商品サンプルといった高価な素材の提供などを受けることもあるんですよ。

さらに、就職先の8割が山梨県を占めるなど、就職に関しても地元からの手厚いバックアップがあります。ジュエリーメーカーから営業・販売はもちろん、企画・デザイン、加工など幅広い分野で数多くの求人があり就職率は毎年ほぼ100%に達しています。


講師にはどんな方がいらっしゃるのですか?

常勤の教員に加えて「現代の名工」として卓越した技術を誇る職人、宝石研磨職人、原型職人、ジュエリーデザイナーなど、業界の第一線で活躍しているプロの方たちを非常勤の教員として迎えています。これができるのも、ジュエリー産地としてのネットワークを生かせる甲府ならでは。
現場を知り尽くすプロの方から指導を受けることは大変貴重な経験ですし、1学年35名の少人数制で講師との距離が近く質問や相談がしやすいのもメリットです。


どんなことが学べるのですか?

「自分でデザインしたものを自分の手でジュエリーに」することを目標に、3年間をかけてジュエリー制作に必要な造形力を習得し、製作方法を学びます。
1年次は、デッサンや塑像などを通して「ものづくり」の根幹になる造形力を養い、2年目からは素材をジュエリーとして形にするためのデザイン・制作の方法を学習。3年次は、これまで学習したことをベースに集大成となる卒業制作に励みます。

校内には、貴金属加工室、宝石加工室、鋳造室、ワックス加工室、ビジネス・デザイン室など充実した設備を整備。広々としたスペースでゆとりをもって作業に打ち込むことができます。


学生の作品 




花輪先生の作品 




資格取得にも力を入れているそうですね

はい。ほぼ全員が在学中に「山梨県ジュエリーマスター認定制度」※の初級にあたる「ジュニア・ジュエリーマスター」を取得します。ほかにも、厚生労働省技能検定制度(貴金属装身具製作)、JJAジュエリーコーディネーター検定資格試験などの受験機会も設けています。

※「宝石加工」・「宝飾デザイン」・「宝飾加工(貴金属加工)」の3つのジュエリー制作分野で、一定基準以上の知識及び技術を持つ方を、山梨県知事が認定する制度


在校生インタビュー

「山梨県立宝石美術専門学校」に入学した理由、ここで学べてよかったことなどをお聞きしました。

S.I.さん 
「山梨県立宝石美術専門学校」を選んだのは、宝石研磨のカリキュラムがあり、ジュエリー分野のスペシャリストから学べる環境が魅力的だったからです。基礎の土台作りから実践までカリキュラムの内容は幅広く「時間がもっとほしい!」と思うほど充実しています。ジュエリー制作に関することが甲府市内で完結するのも魅力ですね。作ることが好き、ジュエリーが好きという気持ちがあればたくさんのことを吸収できる学校だと思います。

N.M.さん 
オープンスクールでジュエリーの加工を経験したことがきっかけで貴金属加工に興味を持ち入学を決めました。長期休暇の間も設備が使えるので、制作に打ち込むことができますし、地元の企業からの材料の提供、求人が多いこともこの学校にしかないメリットだと感じています。基礎からしっかり学べるカリキュラムで、ジュエリーについて何も知らなかった私でも、今では自分の手で自分のジュエリーをつくることができるようになりました。



案内いただいた花輪啓太先生からのメッセージ

甲府出身。東京芸術大学大学院美術研究科を修了後、「山梨県立宝石美術専門学校」でジュエリー学科教授として勤務しています。主にジュエリーメイキング応用、実践選択プロダクトなどを担当しています。

「山梨県立宝石美術専門学校」では、加工する石を自ら選定し、研磨・カットを施し、石の特徴を最大限に活用しながら、思い描いたジュエリーに仕上げることができるようになります。これは、世界中から原石が集まってくる甲府だからできることで、今後ジュエリーにまつわる仕事をする上で大変価値のある経験になるはずです。

「山梨県立宝石美術専門学校」では年に6回オープンキャンパスを開催し、貴金属加工や宝石鑑定の体験ができます。学校生活はもちろん山梨での魅力など直接話を聞くことができるので、ジュエリーが好き、宝石・鉱物が好き、ものづくりに興味のある方はぜひ参加してみてください。また、オープンキャンパスに参加できない方を対象に個別相談・個別見学・リモート説明会も実施しています。詳細は「山梨県立宝石美術専門学校」のホームページでチェックできますよ。


おわりに

公立ならではの、負担の少ない授業料で、ジュエリーの基礎から応用までしっかり学べる「山梨県立宝石美術専門学校」。甲府が地場産業として宝飾技術の高さを保っているのは、ここで学んだ学生さんたちが活躍しているからでもあるのですね。

校舎入口のフロアには「展示交流スペース」として、卒業生や在校生、先生方による作品が展示されています。
「山梨県立宝石美術専門学校」が気になった方は、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。