時計ジャーナリスト 篠田哲生Selection 【Vol.5】 美しいデザインを愛でる「ブルガリ」

時計は社会生活に欠かせない道具だが、“人生という時間”を可視化する役割もある。つまり時計とは、ふたりで過ごした思い出を刻んでいくものでもあるのだ。だから結婚という人生の大きな節目に、素敵な時計を手に入れたい。
それはふたりで歩むこれからの時間を、大切にしていきたいという意思表明になるだろう。



唯一無二のデザイン性― ローマにインスパイアされた、マニュファクチュール「ブルガリ」


BVLGARI (ブルガリ) 「オクト ローマ」

人は感覚情報の約80%を、視覚から得ているという。つまりいくら内面が優れていたとしても、それだけでは評価されにくいということだ。優れているのが“外見だけ”というのは残念なことだが、たいていの場合は内面の良さが外見の良さにも影響を与えることが多い。中面も外見も美しいからこそ惹かれるし、いつまでも愛される理由となる。

そう、時計の話である。

高級時計の本家本流はスイス。さらに細かく言うと、ジュネーブのあるフランス語圏のエリアこそが、高級時計産業の中心地である。これは時計技術がフランスから伝播したからであり、時計用語にもフランス語が多い。デザインもアールデコなどフランス的なムードがあり、それが高級感や華やかさと融合して、多くの人々を魅了している。

しかしそんな中で、イタリア的美しさを強みとして躍進するのが「ブルガリ」である。
イタリアといえば、ファッションデザインや家具デザインの世界でも超一流というデザイン感覚にあふれる国。その首都であるローマにて1884年に創業したブルガリは、まずはジュエラーとして名声を確立し、現在はレザーグッズやフレグランス、さらにはホテルやレストランも展開するラグジュアリーメゾンとして知られている。そんなブルガリが表現するイタリア的な美意識は、高級時計の世界でも存在感が増している。




ジュエラーとしての「BVLGARI」、そしてホテル「BVLGARI HOTEL TOKYO」の“TOPたる所以”とは

不朽の名作「ブルガリ・ブルガリ」の誕生


そもそもブルガリが高級時計の分野に本格的に参入したのは1975年で、ベゼルに「BVLGARI ROMA」と刻印した100本限定デジタル時計を特別な顧客のために開発したことから始まる。
BVLGARI (ブルガリ)「ブルガリ・ブルガリ」
(左)1975年ブルガリ・ブルガリ ※顧客向けギフトとして限定生産されたデジタルウォッチ
(右)1977年ブルガリ・ブルガリ ※1975年モデルをベースに作られた初代モデル


そして1977年にベゼルに「BVLGARI BVLGARI」と刻字されたドレスウォッチ「ブルガリ・ブルガリ」を発売する。この時計で好評を得たブルガリは、1980年代初頭にスイス時計産業の中心都市ヌーシャテルに「ブルガリ・タイム社」を設立。イタリアのデザインとスイスの時計技術の融合を進める。

さらに2000年には、高度な技術をもつ複雑時計工房を傘下に収め、またダイヤルやケース、ブレスレットの製造会社を買収して時計製造の体制を強化。一流のウォッチメーカーとして確固たる地位を築くようになる。

BVLGARI (ブルガリ)をはじめ、メゾン・式場の歴史と、そのフィロソフィーに迫る

スイスの技術とイタリアのデザインを融合した、美しきウォッチ


ブルガリの時計の特徴は、まずはその外見の美しさにある。ローマのデザインスタジオで生まれる時計のデザインは、古代ローマの建築などがモチーフとなっており、スイス時計とは違った個性を持っている。

代表的なのが「オクト ローマ」。八角形のケースとダイヤルに、丸形のベゼルを組み合わせたデザインは、ローマの建築遺産に対するリスペクトが込められたもの。八角形には永遠や繁栄、幸運といった意味が込められており、ボリューム感のあるケースの存在感や立体的に仕上げたブレスレット、そして絶妙なカラーリングは、まさにイタリア的だ。
BVLGARI (ブルガリ)「オクト ローマ」


もちろんレディスウォッチも人気。「ルチェア」は、イタリア語で “光”を意味するイタリア語の「ルーチェ」を語源とするモデル名をもち、光を放つように中央から装飾が広がるダイヤルデザインや、リューズに施したシンセティックピンクサファイアの鮮烈な配色など、腕もとが華やぐ美しい時計となっている。
BVLGARI (ブルガリ)「ルチェア」


ブルガリの時計の原点ともいえる「ブルガリ・ブルガリ」は、ユニセックスでも楽しめるコレクション。シンプルなラウンドケースにシンプルな形状の針や直線的なラグという組み合わせは、時計の王道デザインだが、ここに太いベゼルを合わせ、ロゴを入れることで個性を演出。50年近く愛され続けるブルガリのアイコンとなっている。
BVLGARI (ブルガリ)「ブルガリ・ブルガリ」


こういったモデルには自社製のムーブメントを搭載。さらにハイエンドモデルでは難易度の高い超薄型機構にこだわり、多くの世界記録と著名な時計アワードを獲得している。

ブルガリはスイス時計のノウハウを吸収し、イタリアのデザインと融合させることで際立つ個性を得た。その外見も内面も美しい時計は、眺めるたびに幸せな気分になれるだろう。

篠田哲生セレクトウォッチ


オクト ローマ
品番:103740

BVLGARI (ブルガリ)「オクト ローマ」

ケースは多面構造なので、各面で光を反射させる。上品なアンスラサイト色のダイヤルには、クル・ド・パリと呼ばれる伝統的な装飾を施す。搭載するムーブメントは、自社製のCal.BVL191。防水性能は100mで、ブラックのラバーストラップも付属。ドレッシーにもカジュアルにも楽しめる、日常使いに適した時計だ。自動巻き、SSケース、ケース径41㎜。¥1,111,000


ルチェア
品番:103877

BVLGARI (ブルガリ)「ルチェア」

ダイヤルの装飾は、マザー・オブ・パール製の小さなパーツを組み合わせて放射状に光が広がるような視覚効果を実現。インデックスにはラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを使用し、さらにリューズにも、カボションカットのシンセティックピンクサファイアとダイヤモンドをセット。美しい輝きに包まれた時計だ。クオーツ、SSケース、ケース径28㎜。¥1,001,000


ブルガリ・ブルガリ
品番:103967

BVLGARI (ブルガリ)「ブルガリ・ブルガリ」

1977年に誕生したアイコンウォッチ。ベゼルに施されたダブルロゴは、古代ローマのコインの外周に彫り込まれた文字からインスピレーションを受けたもの。初代モデルと同じくケースにイエローゴールドを使ったモデルは、タイムレスな魅力が強く、ずっと愛していける。自社製のCal.BVL191を搭載。自動巻き、YGケース、ケース径38㎜。¥2,068,000





writer-篠田 哲生

篠田 哲生氏
1975年千葉県生まれ。2002年に独立し、時計記事の取材や執筆を始める。
時計学校を修了し、スイスやドイツへの取材経験も豊富。
近著の「教養としての腕時計選び」(光文社新書)は、韓国と台湾でも翻訳版が出版された。

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