時計ジャーナリスト 篠田哲生Selection 【Vol.8】 “好き“を貫くことで、スタイルをつくった「タグ・ホイヤー(TAG Heuer)」

時計は社会生活に欠かせない道具だが、“人生という時間”を可視化する役割もある。つまり時計とは、ふたりで過ごした思い出を刻んでいくものでもあるのだ。だから結婚という人生の大きな節目に、素敵な時計を手に入れたい。
それはふたりで歩むこれからの時間を、大切にしていきたいという意思表明になるだろう。



モータースポーツを愛して止まないブランド「タグ・ホイヤー(TAG Heuer)」


タグ・ホイヤー(TAG Heuer)

「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、本当にそれが好きなことであるなら、中途半端にあきらめてはいけない。新しい環境や関係になったとしても、好きという気持ちに対して嘘はつかず、まっすぐに立ち向かう。そういった経験は何事にも代えがたい資産になるし、それが自分のアイデンティティになるだろう。

そう、時計の話である。

タグ・ホイヤー(TAG Heuer)というブランドを端的に語ると、“モータースポーツを愛して止まないブランド”ということだ。創業は1860年だが、大きな転機となるのは20世紀初頭に自動車が発明されてから。1911年に自動車に搭載し、燃費などの計算を行う「ダッシュボード・クロノグラフ」を開発すると、一気に自動車業界と親密な関係となる。

1933年には30分積算計と12時間積算計を備えたダッシュボード・クロノグラフ「オータヴィア」を発表。当時人気だったラリーレースでは、多くのラリーカーにホイヤー(当時)製のダッシュボード・クロノグラフが搭載されていたという。

タグ・ホイヤー(TAG Heuer)ダッシュボード オータヴィアダッシュボード オータヴィア

モータースポーツとの蜜月は、1960年代に入るとさらに加速する。当時人気があった「セブリング24時間レース」の公式計時を担当し、さらにアメリカ~メキシコ間で行われていた過酷なレース「ラ・カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」というレースに魅せられ、「カレラ」という名のクロノグラフを1963年に発表。この時計は視認性を高めるためにダイヤルを可能な限り大きくし、また着用感を高めるためにラグを長めにデザイン。その結果、クロノグラフでありながら非常にスマートなデザインに仕上がった。




数々のモータースポーツの公式計時を担当し業界を牽引


タグ・ホイヤー(TAG Heuer)スティーブ・マックイーンスティーブ・マックイーン

さらに1969年には、プロモーションのためにスイス人F1ドライバーのジョー・シフェールに時計を提供。これが現代へと繋がる有名人アンバサダー戦略の始まりとなった。そして同年には世界初の自動巻き式クロノグラフムーブメント「クロノマティック」(キャリバー11)を発表。このムーブメントは4社共同開発で、ホイヤーでは角形ケースの「モナコ」にこのムーブメントを搭載して大きな話題となった。モナコの名は、もちろんF1レースの名物であるモナコグランプリからインスピレーションを受けている。

1971年からはF1の名門チーム「スクーデリア・フェラーリ」の公式計時を担当。正確な計時から導き出された緻密な戦略によってチームは大躍進。2度のドライバーズ王者と3度のコンストラクターズ(製造者)王者に輝いた。そして1992年にはコンピューター会社と組んでF1の公式計時システムの開発を行い、レース計時の世界に高度なデジタル技術を持ち込んだ第一人者となる。

タグ・ホイヤー(TAG Heuer)F1世界選手権オフィシャルタイムキーパー

そして現在は、インディ500やフォーミュラEの公式計時を担当し、またF1の「レッドブル・レーシング」やフォーミュラEの「タグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラE チーム」をサポート。徹底的に、そして多方面からモータースポーツへの取り組みを行っている。



原点を継承するマスターピースの数々


それゆえ時計のコレクションも、ダイバーズウォッチの「アクアレーサー」以外は、モータースポーツと何かしら関係するものばかりだ。

モータースポーツウォッチの原点を継承する「タグ・ホイヤー カレラ」は、シンプルな三針モデルからトゥールビヨン、ポルシェとのコラボレーションなど多種多彩。
タグ・ホイヤー(TAG Heuer)カレラ


1969年に誕生した「モナコ」は、今も初代と変わらぬ角形ケースを継承しており、腕元に個性を加えてくれる存在だ。
タグ・ホイヤー(TAG Heuer)モナコ


さらにF1との深い関係や故アイルトン・セナなど人気レーサーから愛されてきたという歴史を語る「タグ・ホイヤー フォーミュラ1」の人気も高い。
タグ・ホイヤー(TAG Heuer)フォーミュラ1


モータースポーツは、最高峰のエンジニアリングが集まる場所であり、そこにデザインや情熱、スリルなどが複雑に組み合わさることで最高のエンターテインメントを提供してくれる。タグ・ホイヤー(TAG Heuer)はそういった文化に深く根差しているブランドであるとともに、モータースポーツと同様に、最高峰のエンジニアリングや官能的なデザインを時計に取り入れている。“好き”を徹底的に貫いてきたからこそ、ここにたどり着くことができたのだ。




篠田哲生セレクトウォッチ


タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ
品番:CBS2216.BA0041

タグ・ホイヤー(TAG Heuer)カレラ クロノグラフ

1963年にデビューした初代カレラを彷彿とさせるモデル。3時と9時のインダイヤルは黒くて印象を強める一方で、6時位置のスモールセコンドはさりげなくデザイン。さらにタキメーター表示を風防の内側に入れることでベゼルレスにした。その結果、スポーティなクロノグラフでありながら、エレガントな雰囲気もある。自動巻き、SSケース、ケース径39㎜。¥935,000


タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ
品番:CAW211P.FC6356

タグ・ホイヤー(TAG Heuer)モナコ クロノグラフ

1969年誕生のオリジナルモデルに合わせて、リューズを9時位置にセット。これは当時のムーブメント「クロノマティック」が設計の都合上、プッシュボタンとリューズの位置が逆になっていたことに由来する。地中海を思わせる深いブルーのダイヤルも、当時のスタイルを継承。レトロなデザインだが、今なお前衛的である。自動巻き、SSケース、ケース縦39×横39㎜。¥1,127,500


タグ・ホイヤー フォーミュラ1 デイト
品番:WAZ2011.BA0843

タグ・ホイヤー(TAG Heuer)フォーミュラ1 デイト

43㎜径というボリューム感のあるケースに、セラミック製のベゼルやブレスレットの中コマを組み合わせ、都会的なスポーツウォッチに仕上げた。視認性に優れ、デザインも癖がなく、価格もこなれていて使いやすいオールマイティな時計だ。自動巻き、SSケース、ケース径43㎜。¥379,500







writer-篠田 哲生

篠田 哲生氏
1975年千葉県生まれ。2002年に独立し、時計記事の取材や執筆を始める。
時計学校を修了し、スイスやドイツへの取材経験も豊富。
近著の「教養としての腕時計選び」(光文社新書)は、韓国と台湾でも翻訳版が出版された。

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