生活スタイルや価値観が多様になってきた昨今、結婚式も従来の形式から多種多様なふたりらしい結婚式スタイルを取り入れるカップルが増えてきました。そんな時代の変化に対応して、自由で型にはまらないふたりらしい結婚式「フェス婚」。
今回、まさに型にはまらないオリジナリティあふれる結婚式を実施した追分夫妻に、マイナビウエディング編集部がお話を伺いました!

2021年7月4日に行われた結婚式はなんと「ちょうなん西小」という、廃校をリノベーションした宿泊施設! この状況下でどのようにステキなウエディングをかなえたのか、結婚式を控えるふたりにぜひ参考にしてほしいポイントを深掘りします。



なぜ小学校を改築した宿泊施設で、校舎を丸ごと貸切にした結婚式を?

記憶に残る結婚式が実現できるから。

ゲストの記憶に残る結婚式を作りたいと考えていた僕らにとって、理想的な施設でした。下見 に行ったところ一目で気に入り、施設の体育館を舞台に結婚式を考えることにしました。ただ、具体的なこだわりはなかったため、「では何をする?」と。そんな僕たちを助けてくださったのが、友人に紹介してもらったプランナーさんです。僕らがやっているSNSをすべてさかのぼり、趣味嗜好を丁寧にリサーチしてくださいました。それもあり、提案してくださるすべてが驚くほど的確で。 結婚式のテーマになった「UNITE NOW」という言葉もその一つで、ゲストのみなさんと一緒に結婚式を作りたいという思いを込めています。実際、友人たちに「準備を手伝ってほしい」と声かけしたところ、ありがたいことに30人ほどが快諾してくれたんですよ 。"下見会"と称し現地に一泊し、プランナーさんを中心にみんなでワイワイ打ち合わせをしたのもよい思い出ですね。結婚式当日の、ちょうど1年前のことでした。

すべてをご自分たちで用意されたのですか? 

前日からゲストとともに、すべて自前で準備しました!

はい。当日は二泊三日で施設を貸切にし、前日から準備をはじめました。跳ね上げ式のバスケットゴールを使って天井から布を垂らしたり、椅子やテーブルを並べたり、ゲストのみなさん30〜40人が協力してくださいました。実は僕たちは"会場のファーストミート"をしたので、直前まで様子を見ていないんですよ。目を閉じたまま会場中央まで連れていかれ、初めて見たときは感動の一言でした。ただ、そこには誰の姿もなくて。不思議に思い後ろを振り返ったところ、手伝ってくださった全員が並んでいました。体育館を結婚式用に装飾するのはきっと大変なことだったのに、サプライズまでしてくれて。そんなみなさんへの感謝が溢れ、ふたりで号泣してしまいました。

当日僕たちがやったのは、みなさんにお手紙を書いたことと、下駄箱にお名前のシールを貼ったくらい。あとはドリンク類の買い出しです。近くの量販店でお酒などを300缶ほど購入したところ、スタッフの方に「こんなにたくさん買うお客様は初めて」と驚かれました(笑)。

装飾や衣装のイメージは?

ハワイや海が好きなのでリゾート風に。

ハワイや海が好きだったことから、プランナーさんがアイデアをくださいました。ゲストにもホワイトやベージュのカジュアルな衣装で来ていただくように、お願いしました。引出物代わりのゲストアイテムは、それに合わせた白いサンダルです。オーダーメイドでソールに「Be Happy」と文字を入れてもらいました。当日はそのまま上履き代わりに使ってくれた方もいらっしゃいましたね。お開きの際のプチギフトは、それがちょうど入るサイズの麻袋に。「UNITE NOW」と文字を入れた、オリジナルのものです。

学校ということで、教室の廊下にはふたりの幼い頃からの写真を年齢順に展示しました。また、はじまりの時間をチャイムや校内放送でお知らせしたり、黒板にお料理メニューを書いたり、給食用の銀トレーのご用意も(笑)。お料理はケータリングをお願いしたのですが、自然派嗜好の妻に合わせ、苔玉を模したコロッケなどのユニークなメニューで、ゲストには大好評でした! サーブするスタッフがいないためビュッフェ式にしたのですが、「おいしい!」とおかわりしてくださる方も多かったです。

体育館で行った人前式では、どんな演出をされたのですか?

新郎から新婦への花束と、両親への感謝をつたえる手紙の演出をしました。

親しい友人5人ずつにお願いし、アッシャーとブライズメイドをやってもらいました。衣装はこちらで用意したのですが、みんな喜んでくれました。挙式では彼らに花を持ってもらい、僕を挟んで入場した両親がそれを集めるという演出を。花束になったものを、僕が新婦に手渡しました。新郎の両親にも登場してもらったのは、日頃の感謝を伝えるまたとない機会と考えたからです。想像はしていましたが、そのときの感動はそれ以上でした。パーティでは新婦から両親へだけでなく、新郎からの手紙朗読もありました。少しでも喜んでもらえたのならうれしいです。

実は僕たちの家族も、前日から準備に参加していて、義母がみんなが食べるカレーを作ってくださり、大活躍でした。みんな一緒に作業をしたことですっかり仲よくなって、当日はとても和やかな雰囲気でした。

披露宴も楽しそうですね。体育館ならどんな演出もできそうです。余興などもあったのですか?

新郎新婦参加型の演出や、ケーキ演出をしました!

ダンスをやっていた新婦が友人たちに声をかけ、一緒に踊りました。新郎側の余興では新婦をさらっていく悪者が登場し、「新郎がバスケットゴールにシュートを決めたら、開放してやる」と言われてしまい......という演出をしました。何度か外すことを想定した流れを考えていたのですが、僕が一発でシュートを決めてしまって(笑)。予想外の展開になりましたが、会場は大いに盛り上がりました。

ほかには、ウエディングケーキの演出も行いました。パティシエである友人が、新婦が好きな"陰と陽"という言葉からイメージしたケーキを作ってくれて。実はこの施設の紹介をはじめ、プランナーさんの紹介も、その友人なんですよ。彼には何から何までお世話になり、感謝しかありません。

その方を筆頭に、たくさんのステキなご友人に恵まれましたね。振り返ってみて、改めて思われることはありますか?

このご時世でも実施して良かったです!

準備に協力してくださったみなさんは言うまでもなく、このご時世で僕たちのためにこの140名もの方が来てくださったことが一番うれしかったです。みなさんの記憶に残る結婚式にしたい、みなさんへの感謝を伝えたいと思い行った結婚式なので、その希望がかないました。

お開き後には会場の装飾をクラブ風にアレンジした、二次会をやりました。花火や流しそうめん、バーベキューと広い施設ならではの演出を楽しんでいただきました。ステージ上でDJの友人がノリのよい曲を次々にかけてくれ、すごく盛り上がりましたね。新婦は両親たちがはしゃいでいる姿を目にできたことが、一番うれしかったそうです。「親が楽しんでくれている結婚式ができて、本当によかった」と。僕たちにとって忘れられない結婚式になりました。

誰しもが通い慣れ親しんだ懐かしい小学校という舞台が、まさかの結婚式のステージに変わった、まさにオリジナリティあふれるふたりらしい結婚式をご紹介いたしました。随所に追分夫婦の人柄を感じるエピソードや、家族・友人と協力して一緒に創りあげる型にとらわれないアイデアなど、参考になる点も多いはず。
ぜひ、従来の型にとらわれないふたりらしい結婚式をふたりで見つけて。