ゲイバーに行って「結婚したい男の特徴」を聞いてみた

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突然ですが、皆さんはゲイバーに行ったことがありますか?

トーク力とパフォーマンスでお客さんを男女問わず虜にする「ドラァグクイーン」をはじめ、「男性でも女性でもない」という中性的な立場を活かして、仕事や恋愛、人生における悩み相談に乗ってくれるため、人気店ではお客さんが後を絶たないそうです。

「晩婚化」などの結婚に関する問題も山積みな日本を、普段から多くの悩み相談に乗っているゲイバーの店員さんは、どのように考えているのでしょうか。

ゲイバーに取材に行って、話を聞いてみることにしました。

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今回取材させていただいたのは、ゲイバー界の中心地・新宿二丁目に店舗を構えるゲイミックスバー「Campy! Bar(キャンピー!バー)」。

毎日15時からオープンしているそうです。ものすごい健全な時間帯

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取材に応じてくれたのは、同店ドラァグクイーンのLさん(左)と、系列店「ASoBi」のドラァグクイーン・わらじかつ子さん(右)のお二人。ビジュアルが強烈過ぎる。

登場人物

Lさん

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clubイベントでのパフォーマンスはもちろん、イベントオーガナイザー、デザイナー、DJ(ROCK、J-POP、アニソン)など、マルチにこなせるドラァグクイーン。Campy! barでは、主に木曜日担当のウェイトレス。

わらじかつ子さん

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元ウェディングプランナー。その転職歴から人生経験が豊富ということもあって、彼女に人生相談や仕事場での人間関係、恋愛相談をするお客さんも少なくない。Campy! barにはイレギュラーで、ASobiでは週末をメインに担当。

―今日はよろしくお願いします!

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 よろしくお願いします~!

■「婚姻届の証人になったことがある」

―さっそくですが、お二人は、結婚式に参列されることは多いんですか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain結構多いですよ。もう本当、ご祝儀は何百万円と支払ってきました。私たちが出した分を回収できる機会なんて、自分の香典のときぐらいしかないのよ!

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私もこの前、新宿二丁目で知り合った男女が結婚したんですけど、二人とも私の友人だったもんで、婚姻届けの証人になりました。で、その話を親にしたら「あんた大丈夫?」ってめちゃくちゃ心配されて、何を言ってるんだろうと思ってよくよく話を聞いてみたら、借金の身元保証人と勘違いしてたっていう残念な話があったばかりで。でもおめでたい話は本当に多いわよ、この業界にいても。

―そんなに多いんですね!

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainストレート(異性愛者)だったら結構多いのよ。私もストレートの結婚式は、なんだかんだ毎年呼んでもらえてる気がする。この格好で出会った人も多いから、式に呼ばれるときは「女装で行きます」とか一筆書いてるわ

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私たち、これが正装みたいなものだからね。すっぴんで行ったら何も価値ないのよ

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainいつも招待状に「親御さんには『そういう人が行きます』ってちゃんと伝えておいてください」って書いてるもんね。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain親御さんもびっくりしちゃうからね。あと、結婚式の司会とか余興のパフォーマンスで呼ばれるケースもけっこうあるから。こういうお仕事って、ウェディング界隈の添え物みたいなものなのよ。ちょっと派手なパセリみたいな感じ。これから結婚のご予定のある方々、ウェディング業界の皆様、ご連絡お待ちしております。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainやだ! この、営業上手!

■「家に帰ったらご飯ができてる暮らしがしたい」

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―最近は、同性同士の結婚式も認めている結婚式場もありますよね。お二人は結婚式への憧れとかないんですか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain同性婚も挙げられる式場が増えたっていうのは、それを希望しているカップルだったら、すごく嬉しいよね。私が式場で挙げるんだったら、裾が20メートルくらいあるドレスを引きずりながら、バージンロードを歩いてみたいかな。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私は装飾かな。壁紙を張り替えたり、飾りで盛ったりして、さらにオシャレにしたり。風船とかもドンドン飛ばしたいし。ポップなやつもやりたいわよね。あとは、二丁目のメインストリートを貸しきって、花魁道中のように練り歩いたりとか。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainあ~あの人、男に水揚げされたのねって一目でわかるわね(笑)。

―結婚願望とかも、あるんですか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainいっつも結婚したいと思って付き合ってるわよ。遊びじゃないの、本気モード。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私はまだイメージできないかなー。まだ小さいころは、ゲイとか理解していなくて、大人になったら結婚したくなるものだと思ってたんだけどね。でも最終的にはハッピーなかたちを迎えられたらいいなって思うわね。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainあと、「家に帰ったらごはんが作ってある」とかは憧れるかなー。

―急にサラリーマンみたいな意見が出てきた。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私たち、身なりはこうでも、夜は旦那さんだから。帰ってきたらごはんあってほしいよね。でも私は作るのも好きだから兼業主夫でもいいかな。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainどっちにしろ仕事は続けたいわね。仕事辞めたら、病んじゃうと思う。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainあと、こういう仕事してるから、結婚するなら水商売を認めてくれる人じゃなきゃ厳しいわよね。こういうのをひとつの刺激だと思ってノってくれる人じゃないと無理だと思うわ。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainそういう意味で、結婚してくれる人は少ないかも。こういう格好してると男の子とか、避けていくもん。「女装やってんだよね」って言ったとたん、サーっていなくなる。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainゲイって「男性」性の強いものに魅かれやすいから、男性的なアイコンの「ヒゲ」とか「体格がイイ」とか「短髪」っていうものに魅力を覚えやすいの。ドラァグクイーンはそれとは真逆の位置にいる、女性をより誇張した存在だから、例え仕事としてそれをやっているだけでも、嫌がられたりするもんね。

―難しい悩みも抱えているんですね……。

■理想の男性像を聞いてみた

―ちなみに、理想の男性像はどのようなものを描いてるんですか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain一番はやっぱり、安定した収入の人

―急にドライなのがきた。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainやっぱり自立していないと厳しいと思うのよね。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainオネェサン、お金が好きだから……。でも確かに、生きていく上でお金は大事だから、そう思う部分もあるわね。ぶっ飛んだ理想だけど、どっかの国の石油王とかに囲われたいわ。中東辺りの首相や王子が来日するたびに私、ドキドキしてるから(笑)。

―乙女すぎる。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainでも二丁目なんて絶対来てくれないからね。もし来たらすぐ嫁ぐ。すぐに帰化してやる。それでも仕事は続けるけど(笑)。

―気合いがハンパじゃない。

■同性パートナーシップ条例とLGBT

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―4月から渋谷で「同性パートナーシップ条例」が始まって、同性同士でも「結婚に相当する関係」と認められるようになったじゃないですか。これを機にLGBTの方たちの権利が少しずつ認められていくのかなって思うんですけど、どういうふうに考えていますか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain今までは、何年も一緒に連れ添ったカップルがいても、夫婦=家族っていう単位として、社会的には認められてなかったわけだから、そういう意味では、渋谷区っていうエリアで「同性パートナーシップ条例」ができたのは画期的だと思うわ。ただ、まだまだ改善の余地はあって、本気で一生連れ添うつもりの相手だったら、確実に相手に遺産が残せたり、より踏み込んだ家族の形が取れる「養子縁組」を選ぶ人も少なくないわね。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain家族として認められていないと、愛するパートナーが緊急治療室に入ることになっても、病院側から入室を拒否されるケースもあるから、そうなった場合は辛いわ。だから条例ができる前から、こっちの世界では「結婚するなら養子縁組」っていうのが主流だったのよ。

―養子縁組にそんな使い方があったんですね。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainこの界隈じゃ有名よ。私の友達もそういう人多いし。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainいろんな選択肢があるってことなのよね。「同性パートナシップ条例を取りたい」って人もいれば、「養子縁組になりたい」って人もいるし、もちろん「何もしない」って人もいるし。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainそれでもこの先、この条例はどんどん広がると思うんだけどね。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainアメリカは全ての州で同性婚が認められるようになったじゃない? ゆくゆくはああやって選択肢が増えていけばいいわよね。

■同性愛者であることをオープンにできるか

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―自分が同性愛者だって悩みを抱えてる人って多いと思うんですけど、二人はオープンにしてるんですか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain私はオープン。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私は隠していましたね。バレてたかもしれないけど。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain私が同性愛者だって知らない人、誰だろうな……。実家もこの格好で帰っちゃうことあるし……。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainえ!? 実家その格好で帰るの!?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainえ、うん。実家は埼玉だけど、あっちのほうで水商売やってたころは、イベントとかあるとそのまま帰って居間で寝たりしてた。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainそれは強烈。

―「周りには言えないな」って悩んでいる人も多いんじゃないですか?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainあ、そこは、言えないは言えないでいいと思う。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plainうん、公表することだけが正義じゃない

―そこは個人の判断なんですね。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain事情も個人によって違うだろうからね。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain今は時代も変わったし、最初はどう接していいのかわからなかったけど、だんだんと自分たちなりに理解を示してくれる親御さんも多くなったんじゃないかしら? うちなんて大変だったから。ゲイなんて、なかなか受け入れてもらえなかったわ。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain斬新なことやろうとすると、煙たがられるじゃない? 前例がないから不安だったり。携帯電話とかもそうでしょ。一台しかないころは何ソレってなっていたのに、今は持ってて当たり前だから、持ってない人こそ珍しい目で見られたりする。

「同性パートナーシップ条例」ももっと当たり前になれば、もうちょっとオープンになっていくのかもしれないけどね。

■晩婚化についても聞いてみた

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―異性同士であっても晩婚化が進んでるっていうじゃないですか。そこはどう思います?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain女性が経済力を持って、自立できてきた証拠だと思うけどね。「自分だけで生きていけるし、結婚はまだいいわ」って思っちゃうのかなって。だから結婚の意味って、だんだん老後のためのものみたくなってる気がするわ。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain私、こんな格好のまま老人になって二丁目を徘徊してたらどうしよう。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainぜったい迷惑!

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain「わたしのカツラ、どこ?」とか「つけま、もう付けたっけ、私?」とか言ってるのよ自宅で。どうそんなの?

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainつらすぎるわ。

f:id:mynaviwedding:20160714191911j:plain最近は熟年離婚だって多いからね。老後、誰と生きるかっていうのは人生においての主題よね。

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plainそのときまでにパートナーシップ条例とかがもっと進んで、誰でも結婚できる仕組みができればいいわね。

―老後は性別問わず誰にでも訪れますからね。そこで充実した時間を過ごせることは確かに大切かもしれないですね。

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こうして二人へのインタビューは終わりました。

新宿二丁目に初めて行きましたが、見た目のインパクトもさることながら、とにかく喋りがうまい! コミュニケーション能力が小5ばりの筆者でも、ゲラゲラと笑って楽しめました。

そして同性愛者という社会的にマイノリティーでありながら、それを受け入れて前向きに生きるお二人の姿はめちゃくちゃカッコよかったです。のらりくらり生きてるのがちょっと恥ずかしくなりました。

改めてお二人、ありがとうございました!

f:id:mynaviwedding:20160714191903j:plain今度はもっと男らしいレポーターがいいわね。

ー刺さるー!!!!

店舗情報

Campy! bar
東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル1階
年中無休
電話:03-6273-2154
営業時間:15時~LAST
twitter:@Campy_bar

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