結婚・出産するとどれぐらい得するのか税務優遇措置について調べてみた

まじめ 結婚式費用・相場・見積り

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「晩婚化」が騒がれて久しい日本。結婚しない理由はさまざまだと思いますが、経済的な要因もかなりのウェイトを締めていると思います。「経済的メリットとかを考えてたら、いつまでも結婚なんてできないよ!」と割り切って婚約したとしても、「どうしたら少しでも得になるか」は考えていたいところ。そこで、結婚するとどれだけおトクになるのか、税務優遇措置について調べてみました。

「配偶者控除」

「結婚すると、得をする」の代表的な制度といえば、税金の「配偶者控除」でしょう。
簡単に言うと、「配偶者を養うなら、税金を安くしてあげるよ!」という、大黒柱が大喜びする制度です。

ただし条件がありまして、控除の対象となるためには、

  • 民法規定の配偶者であること(法的に認められた夫婦であるということ)
  • 納税者と生計が一緒であること(どちらかの収入だけで生活していること。別居可)
  • 配偶者の合計所得金額が38万円以下であること(給与収入が103万円以下であること)
  • 青色申告者の事業専従者で、給与をもらっていないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと

という条件を全て満たしている必要があります。

これらの条件を満たすと、晴れて所得税は38万円控除されます。
(その年の12月31日時点の年齢が71歳以上の場合は48万円)

「103万円の壁」とは

「給与収入が103万円以下」と「合計所得金額が38万円以下」は、厳密には意味が違います。

「給与所得控除額」をご存知でしょうか?
「人は誰でも働くにあたって経費がかかるだろうから、そのぶんは税金控除してあげるよ」というやさしい(?)制度です。

現在では「年間180万円以下の収入の場合、65万円か収入金額の40%のいずれか高い方を控除する」となっており、給与収入が103万円の方の場合、65万円が控除されるわけです。
すると、103万円から65万円を引くことになるので、38万円という金額が出てくるんですね。いずれにせよ103万円を超えないというのが、配偶者控除を受けるためには必要となるということです。

「配偶者特別控除」

「それでもちょっと働きすぎてしまって、103万円を超えてしまったら?」
と不安になった労働意欲たっぷりのあなたにお伝えしたいのが、「配偶者特別控除」です。

「配偶者特別控除」を受けるためには以下の項目が必須です。

  • 控除を受ける人の合計所得金額が1千万円以下であること
  • 配偶者の年間合計所得金額が38万円~76万円の間であること

いずれも、「お金持ちだったら控除してあげないよ」という前提はありますが、でも38万円以上であっても、76万円までは控除してもらえることになります。40万円までなら38万円の控除、45万円までなら36万円の控除、といったかたちで、合計所得金額が上がるほど控除金額は下がっていきますが、突然控除額がゼロになることはないということは覚えておいてください。

結婚すると得する時期

ちなみに「結婚するタイミングによって得する時期がある」というのはご存知でしょうか?

「配偶者控除」は、「結婚した年から控除が受けられる」という仕組みになっています。
その仕組みを考えると、たとえば2015年12月31日に結婚したら、2015年分の所得から配偶者控除をスタートできますが、これが一日ズレて2016年1月1日に結婚するだけで、控除は2016年分からになってしまうのです。

「一年分控除されないなんてもったいない!」という理由で結婚を焦る気持ちもわかりますが、でもいくら節税したいからとはいえ、そんな理由でわざわざ年末に結婚しなくても……と思ってしまうことはありますよね。

また、これは離婚の場合も同様のケースになり、年始に離婚したほうが1年多く控除を受けられるようになります。

「配偶者控除」がなくなるかもしれない理由

ここまで「配偶者控除」と「配偶者特別控除」について紹介しましたが、一方で「配偶者控除」を廃止しようとする声も挙がっています。

「配偶者控除」の制度があると、「お! じゃあパートで働いて103万円ギリギリに抑えるように働くのがいちばん税金は浮くんだね」という発想になり、それ以上働く努力をする人が減ってしまうからです。

高齢化によって労働人口が減少していくなかで、この制度が女性の社会進出のさまたげになっているのではないかという声があるわけですね。

しかし、この制度を撤廃すると、専業主婦層から怒りの声が漏れてくるのは確実。全員が納得いくかたちに納められるのかがポイントになっています。

国民年金の保険料を負担せずに済むようになる

結婚したことにより、社会保険に加入している夫(妻)の扶養に入れば、配偶者は国民年金の「第三号被保険者」になります。

「第三号被保険者」の詳細の定義は、以下のとおりです。

国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者といいます。保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。(日本年金機構ホームページより引用)

ということで、「第三号被保険者」になると、国民年金保険料の支払いは不要になります。

第三号被保険者になった場合、該当届を健康保険の扶養の手続きと同時に夫(妻)の会社から年金事務所へ提出してくれるので、個人的には何も動かなくても問題ありません。

今の若い世代が老後になったころには、年金がもらえるかどうかはわからない状況ですし、結婚することで支払わずに済むのなら、ぜひ届けを出したいところですね。

ちなみにここで出てくる「年収130万円」というのが、国民年金の扶養に入るかどうかのラインとして「130万円の壁」と呼ばれているものです。130万円を超えてしまうと所得税も年金も支払わなければならなくなりますし、できれば抑えたいラインですね。

子どもは16歳になって初めて扶養控除の対象に

結婚後、子どもが産まれると「扶養控除」を受けることができるので、これでまた税金を安くできます。
しかし、平成23年以降は「子ども手当て」が導入されたことにより、導入前は、納税者が0歳から15歳までの扶養親族(以下「年少扶養親族」といいます。)を有する場合、納税者の所得金額から扶養親族1人につき 380,000円の控除を受けることができましたが、今では16歳になるまで控除を受けることはできません。

子どもが16歳になってからは「控除対象扶養親族」に該当するようになるため、38万円の控除を受けられます。19~23歳未満は63万円の控除が受けられるようになります。

結婚に大きく関係するようになった「贈与税」

最近、税金関係で大きく制度が変わったもののなかに「贈与税」があります。
「贈与税」はかんたんに言うと「人から人に財産が移ったときに、財産を受け取った方に税金をかける仕組み」のことを指します。

一見、「贈与」という行為は結婚や出産には関係がないように思えますが、2015年の法改正により、大きく関わるようになりました。

2015年4月から2019年3月までの間に、20歳~50歳未満の方が、「結婚・妊娠・出産・育児」のいずれかを目的に親や祖父・祖母から金銭を受け取った場合に限り、1,000万円まで(結婚については300万円まで)は贈与税を非課税にするといった内容に法改正されたのです。

この制度改正の狙いは、記事の冒頭にも挙げた「晩婚化」の解消を期待するものです。
結婚や出産にはお金がかかりますが、親や祖父・祖母といった直系尊属からの支援を受けやすくすることで、少しでも本人たちの負荷を軽減させようという狙いがあります。

ただ、非課税にするためにはもろもろ手続きが必要です。
まず贈与者が金融機関に行って、子や孫の結婚・子育てのための資金を贈与するための口座開設をする必要があります。また、金銭を受け取った子や孫は、その財産から結婚・出産などの目的のために使用したぶんの領収書等を提出しなければなりません。最後に、目的が達成された(結婚式が終わったなど)際には、税務署での手続きも必要になります。

若干手間ではありますが、これによって抑えられる贈与税の金額は馬鹿にできませんので、「いよいよ結婚式の準備だ! でもお金ないから親からもらおう!」といったテンションになった際には、ご両親に感謝の意を伝えつつ、しっかりと非課税に向けた行動を取りましょう。

「贈与税」と「相続税」

最後に、これは結婚とは関係がありませんが、「贈与税」と似たようなものに「相続税」があります。これらの違いは単純に、財産を渡す「贈与者」が生きているか、死亡しているか、です。

今年の1月からの法改正により、相続税の基礎控除額が縮小されたことで、「相続税」を納税しなければならなくなる人は増えると言われています。すると、「死後、子どもや孫に税負担させるのはかわいそうなので、今から少しずつ財産を分け与えてあげよう」という動きにシフトするはずです。

これによって、現在の「高齢者がお金を持っている」という状況を少しでも打開して、財産を若い世代に移行し、市場に出回るお金を増やそうという狙いもあります。

国の状況に応じて、法や制度も少しずつ変化をしているんですね。

共働き夫婦の場合

「二人とも収入が130万円を超えていて、バリバリ働いている」といった夫婦も増えてきています。

そういった夫婦に何か税務優遇措置があるのかというと、「配偶者控除」などは対象にならないため、結婚の観点から言えば大きな経済的メリットがあるとは言いづらいです。

ただ、たとえば妻が会社員として働いていて、妊娠して産休などに入るとなると、話は変わってきます。

産前・産後休暇(休業)

まず、会社に雇用されて働いている女性が妊娠・出産する場合は、母体保護を目的に「産前・産後休暇(休業)」を取ることが労働基準法で定められています。

「産前休暇」は、妊娠した本人が会社に休業する旨を請求した場合、最大6週間(双子などを妊娠した場合は14週間)の休業を認める制度です。
また、「産後休暇」は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはいけないと定められている制度です。

注意すべき点は、「産前休暇」は、妊娠した本人が届け出を出さない限りは、出産日まで延々と働くことができる点。ボーッとしているといつまでたっても休みに入れないので、気をつけなければなりません。
ヒドい会社だと、ギリギリまで働かせるために、制度のことを教えてくれない可能性もあるかもしれません。

逆に「産後休暇」は、「絶対に休まなければならない法律」になるので、たとえ「よし! 出産終えたし、明日からガッツリ働こう!」とスーパーママさんが張り切っても、8週間は就労することができない制度になります。

出産手当金

上記の産前・産後休暇(休業)中、対象者は働いていないので収入はゼロになるように思えますが、実際は会社の健康保険組合が「出産手当金」というものを支給してくれます。

「出産手当金」の金額は、「標準報酬月額」の3分の2相当になります。
「標準報酬月額」は、その年の4~6月の給与をベースに計算されているもので、ざっくり言うと「4~6月の残業代も含めた給料の平均額」ぐらいの金額を設定しています。4~6月にしっかりと働いていた人は、この金額が高く設定されることになります。

この仕組みを利用して、「出産手当金をいっぱいもらいたいから、4~6月にめちゃくちゃ残業しよう~!」という安易な考えで働くこともできますが、実は健康保険や厚生年金の保険料も、この「標準報酬月額」をベースに金額を決定していることは覚えておきましょう。平成26年3月以降は、休業期間中の健康保険・厚生年金保険の保険料の支払いは免除になりますが、それより前に復帰すると、今度は厚生年金や健康保険料が高くなって自分の首を絞める可能性があるのです。

育児休業給付金

出産後の育児休業中についても、「サラリーマンでよかったパターン」が存在します。

雇用保険に入っている人が育児休業を取得した場合、
育児休業開始から180日目(6カ月目)まで:月給の67%
育児休業開始から181日目以降:50%
が支払われることになるので、「働いていないけどお金はもらえる」という状況を得られます。

育児休業給付金を受け取る資格は、「育児休業に入る前の2年間のうち、11日以上働いた月が12カ月以上ある人」という細かいルールで定められていますが、要するに「2年間がんばって通勤した人」なら受け取ることができます。
※育児休業給付金については、パートアルバイトの方でも、その会社に1年以上勤めていて、復帰後も働く見込みがあれば受け取れます。

会社によっては、ほかにもいろいろお金がもらえるチャンスが……!

働いている会社によっては、上記以外にも福利厚生の一環として、「結婚祝い金」や「出産祝い金」、「育児支援金」などがもらえるところがあります。何も知らないうちに数万円を手にするチャンスを逃す可能性もあるので、サラリーマンの方は、結婚・出産等のライフイベントがあったら必ず担当部署に相談に行くことをおすすめします。

個人事業主にはこういった制度はないので、「正社員で働いていてよかった!」と思える瞬間が訪れるはずです。

ただ、妊娠を機に退職した場合にも、この恩恵は受けられなくなる可能性が高いです。産休・育休制度が整っている会社であるならば、経済面だけを考えると、妊娠・出産したからといってすぐ退職するのはもったいないかもしれませんね。



以上で、結婚、出産における税務優遇措置とその他のお得情報の紹介を終わります。

読んでいただいてわかったと思いますが、「同棲していて、相手は収入が103万円以下だけど、でもまだ結婚はいいかな」と考えている皆さん! 今すぐ結婚したほうがいろいろとお得になる場面がありそうですよ!

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