発表からわずか1年後の2016年、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの初作となったクロノメーター「FB 1.1」モデルが、ジュネーブ時計大賞（GPHG：Grand Prix d’Horlogerie de Genève）の最高賞である金の針賞（Aiguille d'Or）を受賞しました。それから3年を経て、2回目のGPHGへのエントリーを果たしたクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーは、同大賞のクロノメトリー部門において、浸炭スティール製レギュレーターモデル「FB 1R. 6-1」で、再び栄誉を手にしました。
18世紀にフランス国王、および海軍の元で熟練時計師兼技師として活躍した名工フェルディナント・ベルトゥーの真価を忠実に継承しつつ、先進性への追究にたゆまぬ努力と忍耐で挑んできた比類ないメゾン クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの功績を顕彰するにふさわしい今回の受賞となりました。
「明確な卓越性こそ、今日のクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーのストラテジーを体現します」とは、同社の社長を務めるカール-フリードリッヒ・ショイフレの言葉です。
今回の受賞に際し、彼は次のようなコメントを述べています。
「2015年、この“探求の旅”の始まりから、我々のメゾンは、精度の追究を使命としたフェルディナント・ベルトゥーの偉業へのオマージュとなるコンテンポラリーなタイムピースの設計に専心してきました。クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーも同様に、この精度の追究こそが、私どもの製品開発の最も重要な指標となっているのです。まさしく、フュゼ・チェーン機構を搭載したトゥールビヨンムーブメントの卓越した性能は、我々が誇りを持って披露できる技術であり、GPHG審査員の方々にも、この機能を印象付けることができました。今回、浸炭スティール製レギュレーターモデル「FB 1R.6-1」が受賞を成しえたことは、私どもにとって、これまでのメゾンの方向性を確信し、さらなる進歩を遂げるために歩んでいくための良き励みとなりました」。
今回、GPHGにおいてクロノメトリー賞を受賞した「FB 1R.6-1」は、クロノメトリー部門において、唯一のレギュレーターモデルとしてエントリーした作品で、その古典的な文字盤の表示方法自体が、高精度機械式時計としての要件に適合したタイムピースです。
独立表示された時針、分針、秒針は、優れた視認性を誇り、経度の計測こそが最も重要な機能であるマリン・クロノメーターを製作した伝説のフェルディナント・ベルトゥーが抱いていたクロノメーターへの基本概念を忠実に継承しています。
数ある時計規格の中でも最も厳格といわれる「カリテ フルリエ」において、その着用精度を検証するフルリテストのフルサイクルの2回の検査では、浸炭スティール製レギュレーターモデル「FB 1R.6-1」は、素晴らしい結果を示しました。様々な姿勢条件を加えたにもかかわらず、同モデルの精度差は極めて微小であり、36回のテスト中33回で1秒未満の数値を示し、ほぼ半数回のテストにおいて日差0.5秒以下を記録しました。
フェルディナント・ベルトゥーが18世紀に設計したクロノメーターは、文字通り「時を計測する装置」であり、マリン・クロノメーターは、航海中において唯一の計時方法で、唯一の経度を計測できる機器でした。クロノメーターにとっては、精度こそが最も重要な要素だったのです。
精度の追究は、フェルディナント・ベルトゥーの時計製造における根底を成す原理であり、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーのコンテンポラリーなコレクションのエッセンスとして、脈々と現代に継承され、生き続けているのです。
