時計は社会生活に欠かせない道具だが、“人生という時間”を可視化する役割もある。つまり時計とは、ふたりで過ごした思い出を刻んでいくものでもあるのだ。だから結婚という人生の大きな節目に、素敵な時計を手に入れたい。
それはふたりで歩むこれからの時間を、大切にしていきたいという意思表明になるだろう。
時計技術と宝飾技術の融合で、唯一無二の個性を
世は二刀流の話題で持ちきりだ。片方の分野で成功するだけでも十分に偉業である。しかしもう一方の分野でも、しっかりと結果を残す。しかもどちらも最高峰の評価を受けるというのは、やはり驚くべきことだ。なぜそれが可能なのか? それはお互いの能力を相互作用させるから。そして二つの能力の融合が、唯一無二の個性を作るのだ。
そう、時計の話である。
CHOPARD(ショパール)というブランドは、人によって受ける印象が違うだろう。時計好きからすると、CHOPARD(ショパール)は1860年に創業した歴史ある時計ブランドであり、世界で最も美しいクラシックカーレース「1000 Miglia」のオフィシャルタイムキーパー&ワールドスポンサーを担当するなど、スポーティな印象がある。一方でセレブリティから人気のジュエラーで、カンヌ国際映画祭のトロフィー「パルム・ドール」の制作も行っているラグジュアリーメゾンという印象もあるだろう。
ウォッチメーカーとジュエラー。ショパールの本当の顔はどちらなのだろうか? その正解は、両方である。
ラグジュアリーメゾンのはじまりは、時計工房から
そもそもCHOPARD(ショパール)の歴史は、1860年にルイ‐ユリス・ショパールが設立した時計工房から始まる。同社がつくる高精度懐中時計は高く評価され、スイス連邦鉄道に採用されることもあったという。そんな骨太な時計ブランドが、ジュエラーという能力を身に着けたのは、ドイツで宝飾会社を営むショイフレ家が1963年に経営権を獲得したから。そして優れた時計技術と優れた宝飾技術を融合させ、唯一無二の存在となっていく。
その代表例が、1976年に誕生した「ハッピーダイヤモンド」だ。2枚のサファイアクリスタルの間をムービングダイヤモンドが動き回るという独創的な時計は、時計と宝飾の二刀流でなければなし得なかった時計だ。
そして1993年にはステンレススティールとダイヤモンドという斬新な組み合わせの「ハッピースポーツ」が誕生。ダイヤモンドが動くだけでなく、くるくる回転しながら移動する様子は、眺めているだけでも楽しい気持ちになる。それまでのジュエリーウォッチは、ジェムセッティングの技術で勝負していたが、CHOPARD(ショパール)は時計の構造に目をつけ、新しい表現を引き出したのだ。
ショイフレ・ファミリーによる家族経営で二刀流に磨きをかける
では時計部門はどうだろうか。1988年から「1000 Miglia」のオフィシャルタイムキーパー&ワールドスポンサーを開始し、その世界観を投影したスポーツウォッチで男性の時計愛好家から人気を得たCHOPARD(ショパール)。
しかしそれだけでは飽き足らず、高精度ムーブメント製造に特化した時計工場を1996年に設立。創業者の名を冠したL.U.Cムーブメントは、優れた性能を持つだけでなく、そのデザインや仕上げの美しさでも群を抜いていた。それはジュエラーらしい美意識があったからだろう。しかも厳しい品質基準と精度、そして丁寧な仕上げを求められる公的規格の「ジュネーブ・シール」も取得。CHOPARD(ショパール)の時計は、常に技と美が共存しているのだ。
時計業界でも、有名なジュエラーが時計を製造している例は珍しくないし、近年でもラグジュアリーメゾンの時計分野への参入が目立っている。しかしCHOPARD(ショパール)ほど、両輪ががっちりかみ合っている例は珍しい。
こういった時計×宝飾の相互作用が生まれやすいのは、CHOPARD(ショパール)がショイフレ家による独立した家族経営であることも理由になるだろう。CHOPARD(ショパール)の経営は、あまり聞きなれない“共同社長”という形をとっており、メンズウォッチ部門は兄のカール-フリードリッヒ・ショイフレが担当し、レディスウォッチ&ジュエリー部門は妹のキャロライン・ショイフレが担当(アーティスティック・ディレクターも兼務)。もちろん兄妹なので、部門間のコミュニケーションは円滑であり、それがCHOPARD(ショパール)の二刀流戦略を支える強みとなっているのだ。
時計は自分らしさの表現でもあるので、カップルの間で好みをすり合わせるのは簡単ではない。しかしメンズウォッチ、レディスウォッチ共に多彩なバリエーションを揃える、CHOPARD(ショパール)ならそれがかなうのだ。
篠田哲生セレクトウォッチ
ハッピースポーツ
センターセコンド式のシンプルな時計ながら、5つのムービングダイヤモンドによって、華やかな世界を作り出す。ケース径は30㎜と小ぶりだが機械式ムーブメントを搭載。そしてケース素材はリサイクル素材を主原料とする高品質なルーセントスティール™を採用する。自動巻き、ルーセントスティール™ケース、ケース径30㎜。¥1,050,500
▼詳細はこちら
https://www.chopard.com/ja-jp/watch/278573-3011.html
L.U.C XPS フォレスト グリーン
搭載するムーブメントは、自社製の「L.U.C 96.12-L」。地板にローターを埋め込むことで厚みをおさえるマイクロローター式を採用し、ケースの厚みは7.2㎜しかない。深みのあるグリーンダイヤルは、時計界のトレンドカラー。端正な時計ながら、腕元で個性を表現できる。自動巻き、ルーセントスティール™ケース、ケース径40㎜。¥1,749,000
▼詳細はこちら
https://www.chopard.com/ja-jp/watch/168629-3001.html
アルパイン イーグル 41 XP TT
「アルパイン イーグル」コレクションの新作ウォッチ。厚さわずか3.3mmの薄さを誇るこのムーブメントは、精巧なメカニカル全体を視認することができ、ショパール マニュファクチュールが培ってきた専門技術とイノベーションを垣間見ることができる。自動巻き、チタン、ケース径41㎜。¥3,927,000
▼詳細はこちら
https://www.chopard.com/ja-jp/watch/298630-3001.html
writer-篠田 哲生
1975年千葉県生まれ。2002年に独立し、時計記事の取材や執筆を始める。
時計学校を修了し、スイスやドイツへの取材経験も豊富。
近著の「教養としての腕時計選び」(光文社新書)は、韓国と台湾でも翻訳版が出版された。