山城葉子 Yoko Yamashiro 進化し続けるウエディングドレスの世界 (第2回)
第2回 日本人が似合う 海外ブランドのウエディングドレス

もし、海外ブランドのウエディングドレスに対して「サイズが大きい」「ドレスに着られてしまいそう」「費用が高そう」というイメージを抱き、試着以前に諦めてしまっている花嫁がいたらぜひ「NUMBER 5(ナンバーファイブ)」に足を運んでほしい。なぜならNUMBER5には、これまでの海外ブランドドレスに対する難しそうなイメージを払拭してくれる工夫と、花嫁にとってメリットがたくさん詰まったドレスが揃っているからだ。
※この記事は2020年11月時点の情報を元に作成されています。
日本人が似合う 海外ブランドのウエディングドレス
―前回は、花嫁が結婚式でインポートドレスを当たり前に選べるようにとの思いから「THE TREAT DRESSING(ザ・トリート・ドレッシング)」を立ち上げたお話を伺いましたが、山城さんのキャリアを語るうえで欠かせないインポートドレスのブランドはありますか?「やはり『VERA WANG(ヴェラ・ウォン)』は欠かせないと思います。私自身が結婚式でヴェラ・ウォンのウエディングドレスを着たのですが、当時の日本ではまだ、伊勢丹新宿店でしか扱いがありませんでした。でも、そんな難易度が高そうなヴェラ・ウォンのドレスを自分のショップでも絶対買い付けたいと思ったんです。ただし、世界一の売上を誇る伊勢丹と、当時まだ博多に1店舗しかなかった『THE TREAT DRESSING』とでは戦いにもならないというか……なかなか卸していただけませんでした。それでも、何度もヴェラ・ウォンに通ってやっと契約できた時は本当にうれしかった。うれしいけれど、問題は山積しています。当時ウエディングドレスは99.9%レンタルという世界なのに、ヴェラ・ウォンはセルドレスです。それでもトリートは“売る”という決断をしてくれて、試着にいらしたお客様には何着目にすすめると効果的か、どんなトークをしたらドレスに付加価値がつくかといったことをメンバー全員で勉強して……数年後には世界で一番、ヴェラ・ウォンのドレスを売るショップになっていました。大顧客になれたんです」

― 一般的に海外ブランドのウエディングドレスは、日本人女性が着ることは難しいと言われることがよくありますが、キレイに着こなすポイントがあれば教えてください
「欧米人の女性は胸やお尻回りにボリュームがあり、日本人女性とは根本的に体型が異なるため、かつては着たいドレスが着こなせないということも多かったように思います。ただ、今はアメリカもヨーロッパも、日本をはじめ、韓国や中国などアジアのマーケットを意識しているので、アジア人女性のサイズを多く作っています。さらに言えば、トリート時代に、日本人の平均的なバスト・ウエスト・ヒップのサイズや総丈を、ドレスを買い付けるブランドにも共有し、サイズを把握してもらっていたので、引き続きNUMBER5でも日本人女性に合うサイズを揃えることができています」
“一緒に作って、もっと売る”海外ブランドとの信頼関係
―山城さんなら必ず売ってくれる、というブランドと強い信頼関係があるからこそ、サイズ調整などの要望がかなっているということですか?
「ドレスを美しく着こなすためにサイズは重要なので、日本人女性向けのサイズ展開はもちろんしていただいていますが、実はデザイン変更の要望も受け入れていただいています。欧米の女性はセクシーなウエディングドレスを好むので、海外ブランドには大胆なデザインのドレスが多いのですが、日本ではあまり好まれません。ですから、ドレスを買い付ける際には、デザインの仕様を日本向けに少し変更してもらっています。でも、デザイナーが表現したいデザインとズレたお願いは絶対しません。“ここを変えて”ではなく“こうしたらもっと良くなる、日本でもっと売れる”と伝えて、話し合って一緒にデザインを完成させるイメージです。そうやって海外のドレスブランドと一緒に、私たちがドレスを売るんだという気概が伝わり、信頼関係を構築してきました。トリートでは、『CAROLINA HERRERA(キャロリーナ・ヘレラ)』や『Oscar de la Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ)』のドレスを扱っているので、それらの隣に“ウチのドレスを置いて!”って言われるようになり、トリートにドレスを置くことが、デザイナーたちの間でもだんだんとステイタスになっていったんです。NUMBER5では、ドレスをどう直してほしいかという細かい要望はある程度スタッフに任せていますが、大事なところは私と通訳、ブランドのデザイナーの3人で詰めています」
お客様に誠実に
―セレクトしたドレスを、どんなスタイルの結婚式で着てほしいですか?「NUMBER5ではドレスの価格を抑えているので、さまざまなスタイルのウエディングで着ていただきたいです。たとえば、軽井沢のような高原での結婚式や、家族だけの少人数ウエディング、挙式はせずに写真だけという花嫁さんにも。NUMBER5では、接客するスタッフに新人はいません。ベテランがプロとしてスタイリングをさせていただいています。規模は小さくてもお客様に誠実に、結婚式が本当にステキな時間になるようなサービスを提供していきたいと思っています」
山城葉子さんがセレクト!海外ブランドドレスをチェック
ベルスリーブが大人可愛い!華奢な女性にオススメDEVINE ATELIER(ディバイン・アトリエ)



「ルーマニアのブランドである『DEVINE ATELIER(ディバイン・アトリエ)』は、繊細な生地や刺繍に定評があります。このドレスは、ベルスリーブが特徴的ですが、当初は袖がもっと長いデザインでした。買い付けの際に、こちらのスタッフの腕の長さを測って渡し、手にかかりすぎると食事のときにジャマだと伝え、袖丈を短めにお願いしました。このドレスはシルエット・素材が軽すぎるので、小規模なパーティやレストランウエディング、軽井沢の会場などにオススメです。袖にボリュームがあるので華奢な人や、細身でも骨格がしっかりしている花嫁さんに似合うと思います」
肩の力を抜いた、ゆるっとしたスリーブが人気
ALEX PERRY(アレックス・ペリー)



「オーストラリアのブランド『ALEX PERRY(アレックス・ペリー)』は、もともとアパレルブランドのデザイナーが立ち上げたブライダルコレクションです。日本での取り扱いは、NUMBER5とあと1社ありますが、こちらは日本であまり知られていないブランドをセレクトすることになった際、スタッフそれぞれで気になるブランドを挙げてみんなで選びました。オフショルダーで、少し肩が落ちたドロップのシルエット、ゆるっとした袖のデザインが人気です。細身の体型の人がスレンダーやマーメイドのドレスを着るとさみしく見えることがありますが、こちらは肩回りにボリュームがあるので、華やかに着こなせると思います」
クラシカルとモダンが融合!パターンの美しさは秀逸
CAROLINA HERRERA(キャロリーナ・ヘレラ)



「アメリカ・ニューヨークの老舗ブランドの『CAROLINA HERRERA(キャロリーナ・ヘレラ)』。もともとはキャロリーナという女性がデザイナーでしたが、数年前からウェス・ゴードンという男性デザイナーに代わり、よりコンテンポラリーなエッセンスが加わりました。こちらのドレスは正面から見るとクラシカル、バックススタイルは背中が開いたデザインが特徴。老舗ブランドならではの上質感、パターンの美しさ、ウエディングドレスとしての普遍的な美しさがありつつ、バックスタイルやボートネックなど今っぽい要素が散りばめられ、軽やかなラッフルの素材も新しさが感じられると思います。ホテルでの結婚式にオススメです」
ゲストとの距離が近いウエディングにオススメ
NEWHITE(ニューホワイト)



「パールのストラップが特徴のドレスは日本初上陸となる『NEWHITE(ニューホワイト)』というブランドのもの。デザイナーは韓国・ソウル出身で、アメリカ・LAにアトリエがあります。ずっとinstagramでチェックしていたブランドで昨年10月にNYで買い付けしてきました。1着目に着るドレスとしてはシンプル過ぎると感じる場合は、2着目も白いドレスを着たい人にオススメです。ゲストとの距離も近く取れるデザインなので、おもてなし重視の会場で、ゲストみんなで楽しみたい花嫁に」
立体的なフローラルジャガードがオリエンタルな雰囲気に
REEM ACRA(リーム・アクラ)
「『REEM ACRA(リーム・アクラ)』のこちらのドレスは、ビスチェがV字の深いカッティングで目線が中心にいくため、二の腕が気になる人にもオススメ。二の腕をすっきり見せたいのなら、隠すより見せてしまうほうが効果的です。フローラルジャガードという立体的な素材を使っているので光の加減で陰影が生まれ、丁寧なウエストのプリーツ加工と相まって、着た時に立体感が生まれます。NYのブランドで、デザイナーは中東・レバノン出身。オリエンタルなテイストのドレスですが、白無垢のような和のイメージも感じられます。ホテルや由緒ある邸宅、上質なレストランでの結婚式にしっくりくると思います」
Profile
山城 葉子 Yoko Yamashiro

YOKO YAMASHIRO Designs CEO、チーフディレクター2002年にホテルやレストラン、ウエディングを手がける「Plan・Do・See(プラン・ドゥ・シー)」にウエディングプランナーとして入社。ウエディングドレスのセレクトショップ「THE TREAT DRESSING(ザ・トリート・ドレッシング)」を立ち上げ、のちに「YOKO YAMASHIRO Designs」を設立。2020年1月に新しいウエディングドレスのショップ「NUMBER 5(ナンバー ファイブ)」をオープン。ドレスやペーパーアイテムなど、デザインを務めるウエディングアイテムは多岐に渡る。

YOKO YAMASHIRO Designs CEO、チーフディレクター2002年にホテルやレストラン、ウエディングを手がける「Plan・Do・See(プラン・ドゥ・シー)」にウエディングプランナーとして入社。ウエディングドレスのセレクトショップ「THE TREAT DRESSING(ザ・トリート・ドレッシング)」を立ち上げ、のちに「YOKO YAMASHIRO Designs」を設立。2020年1月に新しいウエディングドレスのショップ「NUMBER 5(ナンバー ファイブ)」をオープン。ドレスやペーパーアイテムなど、デザインを務めるウエディングアイテムは多岐に渡る。
取材協力
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東京都渋谷区広尾2-7-16
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