晩婚化、少子化が社会問題となっている現代の日本。成人式で千葉県浦安市の市長が「
一方で、出産が早ければ早いで眉をひそめる大人は少なくありません。10代での出産は、「子どもが子どもを育てるなんて!」とあらぬバッシングや余計なお節介を受けることもあります。
少子化や晩婚化、初産の出産年齢が上がりつつある今、10代での結婚・出産を選んだ女性たちはこの状況をどのように考えているのでしょうか。10代の母であるこのみさんとみおぱんさんに、リアルな話を伺ってみました。
このみさん 16歳
知人の紹介で旦那さん(22歳)と出会い、15歳で第一子を出産、2015年8月に入籍。現在、1歳4ヵ月の男の子と2ヵ月の女の子の母として専業主婦をしている。4人姉弟の長女で、千葉県で実家暮らし。近々、旦那さんと子ども2人で引っ越し、独立することを考えている。
みおぱんさん 18歳
高校時代にバイトしていた飲食店の店長(23歳)と、高校卒業後の2015年8月に入籍。現在4ヵ月の男の子、旦那さんと家族3人で都内で暮らしている。
周囲は出産ラッシュ!
――妊娠がわかったときは驚きましたか?
「驚きました。驚いたけれど、堕ろすことは考えたくなかったから、産むことに迷いはなかったです。最初の子を産んだときは15歳だったので、16歳になってから結婚しました」
「私も『あー、できたなー』って驚いたけど、できたら産もうと思っていたから迷わなかったです」
――ご両親に反対された......ということはなかったのでしょうか?
「もともと彼と付き合っていることを親に話していたし、何度も会っていたから反対はなかったです。母と一緒に病院へ行って妊娠がわかって、『産む』って言ったら『そうなの』って」
「私はちょっと反対されました(笑)。1回しか彼を会わせたことがなかったし、『順番は守りなさいって言ったよね』って。でも最後は許してもらえましたし、今は子どものこともかわいがってくれてます。『休日は預けてもいいよ』って私の両親も旦那の両親も言ってくれたり」
――友達で出産している女性は他にもいますか?
「います。同い年の親友が最近子どもを産んで、ママ友」
「たくさんいます。友達は出産ラッシュ!」
寝かしつけに格闘する日々......!
――2人の周りは全然少子化じゃないんですね! 育児や家事で大変だと思うことはありますか?
「大変なのは寝かしつけと洗い物。子どもが音に敏感で、カラスが鳴いただけで起きて泣いちゃうから(笑)」
「今は下の子の夜泣きが多くて、あんまり夜寝られないんです。夫が朝5時に家を出るのでそれを見送って、その後でようやく下の子が寝てくれるので寝かしつけて自分も少し寝るけど、7時になると上の子が起きるから私も起きます。夜泣きがあるから、『夜の間に朝ご飯とお弁当をつくっておいていいよ』って旦那に言われているのでそうしているけど、上の子の寝かしつけが終わったら朝まで下の子の夜泣きと格闘......」
――それは大変......!
「下の子は夜行性(笑)。産まれる前から、夜になるとお腹の中で動いてました」
――じゃあ、育児が楽しいと思うときはどんなときですか?
「基本的に楽しい! 子どもができるようになることが増えるのがうれしい。赤ちゃんって最初は笑い方もわからないし」
「私も夜泣きは大変だけど、子どもの成長を見るのは楽しいです」
「ババアになった」と思うことがある
――今は少子化が進んで初婚年齢や第一子を出産する年齢が上がっているって言われます。10代で出産した2人は、早く産んだ方がいいと思いますか?
「体力的に言うなら、早いうちに産んだ方がいいと思う。年を重ねるときついんじゃないかな」
――若すぎる出産の場合、体に負担があるとも言われますが、このみさんの場合は問題なかったですか?
「私は大きな病気をしたことがなかったし、空手を習っていたこともあって、もともと健康だったので問題なかったです。でも、妊娠中はできるだけ動いた方がいいと思っていたら、切迫早産になりかけてしまって1ヵ月半入院しました」
――みおぱんさんは、早く産むことについてどうでしょう?
「私は体力的には若い方がいいと思うけれど、人それぞれだと思う。みんなが一番遊んでいる10代の時期に遊べないから。若いうちに産む良さもあるし、年取ってから産む良さもあるから、どっちでもいいんじゃないかな? 妊娠したり出産したりすると、友達から誘われなくなるし」
「出産した途端に友達と距離が離れちゃうっていうのはある......。あと、自分がババアになったと思う」
――えっ! ババア?
「前みたいに走れなくなったし、息切れするようになったり、抜け毛とか肌荒れしたりとか。あと、たまに同級生の話についていけなかったり、流行りの言葉がわからなかったり」
子育てが一段落したら働きたい
――体も変わるし、生活も一変するということですね。子育てが一段落したらやりたいことはありますか?
「働きたい! 高校時代からバイトして自分で稼いでいたから、旦那のお金で自分のものを買ったり遊びに行ったりするのがイヤなんです。あと、人と関わりたい! 接客が好きだから、飲食で働きたいな」
「私も働きたい。ずっと家にいて子どもと向き合っていると息抜きができないし、あとはお金のために働きたい。実は保育園が見つかったら今すぐでも働きたいと思っていて、今は保育園と仕事と引っ越し先を全部同時に探しているところなんです。子ども服を扱うアパレルとか、調理補助とかがいいけど、無理だったら働ければ 何でもいいです」
「でも、旦那は働くのに反対みたい。外で働くと心配って。『お金ないから働く!』って押し切ってる(笑)」
「うちもそう。なぜか反対されてる」
「イクメン」って言葉が大嫌い
――旦那さんは家事や育児に積極的ですか?
「うーん......(笑)。子ども好きではあるんですけど、育児に積極的かは別かなって思う」
「子ども欲しいと思っていても、育児してくれなかったらしょうがない。夜泣きのときに夫から『うるせーな』って言われたりすると、ムカッとしちゃう」
「妊娠する女の人と違って男の人は体に変化がないから、自覚が芽生えないのかも」
「若い旦那さんは家事・育児をしない人が多いような気がする。『俺は仕事して稼いでるんだから』みたいな......」
「めっちゃわかる! そんなに仕事が大変でイヤなら私が働くし(笑)」
――最近はイクメンていう言葉もあるけれど。
「イクメンって言葉、大嫌い」
「母は育児するのが当たり前って感じなのに。イクメンって言うなら、母も讃えてよって思う(笑)。でもTwitterで人気のあるshin5さん(※)は憧れる! 人気があるのは、ああいう優しい男性が少ないからじゃないかな」
(※)shin5さん(@shin5mt)。妻と妻の連れ子、双子の実子との5人家族の日常をつぶやくフォロワー数20万人以上のツイッタラー。妻や子どもに対する思いやりのあるツイートなどが人気。
まじめに生きていれば暮らせないことはない
――このみさんはTwitterで、10代で妊娠した人から相談を受けていることがありますよね。
はい。『このみさんは妊娠を親に言うとき、どうやって説明しましたか?』とか。そうやって相談してもらえるのはすごくありがたいです。でも、『堕ろした方がいいですか?』とか『この年で産んでいいですか?』って聞かれるのは、それは人が決めることじゃないから困る」
「迷ってる時点でダメなんだよね」
「結婚相手が同級生だったら経済的な問題とかで迷う気持ちは少しわかる。高校を卒業してないと就職が難しいというのもあるだろうし」
「私は、お金がなくても普通に働いていればなんとかやっていけるって思う。自分たちが贅沢しなければ。『子どもが成長するまで○○円もかかる』とかって言われてるけど、まとめて払うわけじゃないんだし、まじめに生きていれば暮らせないことはないはず」
「それは確かに。子どもも育てばバイトとか仕事を始めるし」
「そうそう」
ネットでの批判は、ヒマな人がすること
――とはいえ、子育てをする環境に左右される点はいろいろあるのだと思います。今年の夏からは18歳で選挙権を持てるようになりましたが、子育て環境をよくする意味でも、政治家に言いたいことはありますか?
「わたしはまだ16歳なので何か言える立場じゃないと思うんですけど、でも子育て給付金が廃止されるんですよね。少子化で、政治家の人が『子ども産め』って言ってるのに、なんで止めるの......? 産みにくい社会にしてると思う」
「うちは選挙カーが通ったら絶対子どもが泣くと思う。選挙カーで演説している政治家の人は絶対子どものことを考えてない! 難しいことはよくわからないけど......」
――10代の母として、ほかにも社会に対して変わってほしいなと思うことはありますか?
「前からネットで若いママさんブロガーが叩かれているのを見ていて、何しても誰かが文句を言うの、いちいちうるさすぎるなあって感じていました。
若い子が育児してると『そんなやり方信じられない』とかってすぐ叩く人がいるけど、その子どもが『お母さん好き』って幸せそうにしてるならいいんじゃない?
シングルマザーでもちゃんと育ててる人だっていっぱいいるし、その逆で両親そろっていても子どもが犯罪者になっちゃうこともあるし」
「批判する人は、頑張って育児してる人をちゃんと見てきていないんじゃないのかな」
「育児家事してたら忙しくて周りのママと自分を比べてるヒマもないし、批判ばかりする人はヒマなんじゃないかな。悪口言っちゃいけないって幼稚園で習ったでしょって思っちゃう。自分の基準だけが全てじゃないのに」
「でもときどき、若い子とか若いママの批判ばっかりしているアンチアカウントで正論だなと思うこともある。ネット上で『堕ろします』とか『今日堕ろしまし た』って言ってる子に対して、『そんなのネット上で言ってどうするの?』『公開することじゃない』って。それは確かにそうだなって思う」
子どもを産んだことに後悔はない
――若くして出産することに対して批判も少なからずある中で、結婚や出産を通して成長したなって思うことはありますか?
「ないです......。自分の性格が悪いって気付くことばかり」
――それはどういうことですか?
「子どもが泣き止まなくて、おむつもぬれてないし、ご飯もあげたのにどうして? って理由がわからないときとか、旦那さんとけんかしたときにイラッとしちゃうから。性格が悪いっていうか、自分の器が小さいって気付く」
「子育てって大変だから、子どもを産んでつくづくお母さんってすごかったんだなって思います。私は4人姉弟で、父が早くに亡くなってシングルマザーだったので、本当にすごいなって。反抗してごめんって思います」
「わかる。謝りたくなる。反抗期のとき、家に帰らなかったりしてごめん......って。ママからも『当時はひどかったよ』って言われる(笑)」
「自分の子どもが反抗期になって、『クソババア』とか言われたら泣いちゃうかも」
――自分の器に気付いたとか、自分の一面を発見したっていうのもひとつの成長かも。
「そうですね......うまくまとめてもらえるとうれしいです(笑)」
「成長したかはわからないけれど、子どもを産んだことに後悔はないです。かわいいし、自分の子どもだから。出産後に病院に5日間いたとき、『付きっきりだと大変だから預けていいよ』って言われたけど、ずっと一緒にいたいと思ったし、離れてると泣き声の幻聴みたいなのが聞こえて。自分の子どもが大事っていう気持ちは変わらないと思う」
――子どもが大きくなったら、したいことはありますか?
「サッカーを一緒にしたいかな。旦那がサッカー好きだから」
「何でもいいけど一緒に遊びたい。私は小学校の6年間野球、中学でソフトボールをやっていたので球技がめっちゃうまいんです(笑)。だから一緒にできるとうれしいな」
――お忙しい中、ありがとうございました!
「将来の夢」を聞くと、「今は毎日が必死過ぎて、先のことはあまり考えられない」と答えたお2人。若い体力を持ってしても、やっぱり初めての子育てや家事は大変なよう。
けれど、「子どもの成長を見るのが楽しい!」「産んだことに後悔はない」と言い切る姿からは、子育てに対する大きな喜びも感じられました。
出産が早ければ早いで、文句を言ってくる人は少なからずいるようです。それでも、彼女たちは今日も胸を張って懸命に暮らしていました。
(文・小川たまか/プレスラボ)
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