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各界のプロフェッショナルが語る、最強ウェディングノウハウ。プレミアム花嫁塾。結婚式評論家が語る「結婚式の本当の価値」とは?  Backstage at the Wedding - 佐伯エリ(結婚式評論家)

想いをのせて、ゲストに届ける......ふたりらしい「演出」の取り入れ方

「私たち、どんな演出を取り入れたらよいですか?」
このご質問、たくさんのカップルさんから投げかけられます。時代を超えた定番演出と言えばケーキカットや花嫁の手紙、昔からあるものでは、ブーケセレモニーやキャンドルサービス。ここ数年で出てきたものですと、エンドロールムービーやドリップケーキ、果実酒ラウンドなど......次々と新しいものも生まれ続け、何を選んだらよいのかわからない、そう思ってしまうのも無理はありません。この「演出」の捉え方、取り扱い方について今月は触れてみたいと思います。


◆「本質的な意味」を持った演出を取り入れてほしい

演出=コンテンツと捉えられているようで、そのシーンにポンと当て込むイメージをされている方が大変多いようです。S N Sなどの影響もあり、どうしても、情報が見た目から入りやすいからだと思いますが、表面上の情報だけでおふたりの結婚式に入れるか入れないか、を決めてしまうと、大切なものを見失ってしまうことがあります。


結婚式のコンテンツの選び方のポイントは、その演出におふたりの届けたい想いを乗せられるかどうか。結婚式をただのお披露目会ではなく、大切な人に感謝を伝えたい、温もりを共有したい、と思うならなおのこと。取り入れるかどうかを外見から決めるのではなく、本質的な意味を内側から捉えて、乗せたい想いを体現しゲストに届けられる演出、を取り入れて欲しいと私は考えています。


◆コントラバスのソロ生演奏による挙式入場

こちらは、軽井沢で行われた結婚式の様子です。樹高が25メートルはあろうかと思われる大きなシンボルツリーの下でガーデン人前結婚式が行われ、入場シーンでは「生演奏」と言う演出を取り入れました。


演出イメージ1

写真:Dreamin'Dreamer 田原正一



挙式での生演奏は、よく使用される演出ですし、なんとなく勧められるがまま、生演奏を取り入れた、と言うカップルさんもいらっしゃるのではないでしょうか? この挙式、元々はCDを使って音楽を流そうと考えていました。しかし、空間の広さや高さ、また、その「空間を形作る素材」と、CD音源と言う「演出素材」の相性を考えたときに、それでも悪くはないけれど、もっとこのシーンを「美しく磨き上げる(演出する)方法はないかな?」と考えた結果、生演奏にたどり着くことになりました。


このシーンに乗せたかったのは、「新しい家族になることを参列者全員で心に刻みたい」と言う想い。コロナ禍で結婚式を延期され、その間にお子さまも授かり、少しずつ家族になったふたり。本当はたくさんの友人を招き都内で行うはずだったパーティをご家族だけの結婚式に切り替えたのですが、その中で見えてきたのは、自分たちの周りにある一番小さなコミュニティ「家族」の存在意義でした。


演出イメージ2

写真:Marlgrafica 享丸桂大



コントラバスの音色には、派手さはないかもしれませんが、空間の下の方から体の内側に響く、包み込むような温かさがあります。この日まで自分たちを育んできてくれ、そこにずっといてくれた家族。入場の一歩一歩を踏み締める花嫁を見守るそれぞれの胸に「この家族であれる幸せ」が染め重ねられますように。まるで母なる大地から響くような重厚なコントラバスの音色は、おふたりや家族に語りかけるMCのシナリオとシンクロし、そこにいるすべての人を優しく包み込み、このシーンを美しく仕上げてくれました。


◆挙式を入れたフォトウエディング

「え? 挙式って演出ですか?」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。もちろん本来は演出ではなく、儀式です。宗教式なら、それこそ神聖で厳かなもの。こちらのおふたりは「結婚式を挙げたくないからフォトウエディングなのではなく、大勢に注目されることが恥ずかしいからフォトウエディングで」と、写真だけの結婚式を選択されたおふたり。しかも、撮られるのは苦手、自然な雰囲気の写真が残したい、と......。でも、通常のフォトウエディングは、写真を撮る、と言う動作がメインになりますね。緊張しやすく、苦手なおふたりが、リラックスして「自然な雰囲気の写真」を撮るためには......。


演出イメージ3

写真:Marlgrafica 享丸桂大



そこで思い返したのが、結婚式・披露宴・前撮影をされたこれまでのおふたりのお写真。それぞれのシーンをよく見比べてみると、「自然で美しい写真」は挙式の中にありました。それもそのはず、挙式の時間はおふたりが真剣に、人生に向き合って夫婦として生きていく決意を胸に刻み込んでいる時間。人間の持つ想いや愛が、自然とその表情や立ち姿に現れ、その人らしい美しさがにじみ出てくるのです。


そこで、フォトウエディングのラストに、簡易的なものですが人前結婚式を取り入れました。提案した時は少しびっくりされていましたが、結婚式を挙げて欲しいと願っていた親御さまのお気持ちもおふたりは理解されていたので、快くお引き受けくださることに。おかげで、「自然な写真」と「結婚を噛み締める時間」のふたつを体現できることとなりました。


演出イメージ4

写真:Marlgrafica 享丸桂大



◆ケーキカット

こちらは、言わずと知れた定番演出で、個人的に私もステキだなと感じているものです。ただケーキカットに対しては、元々会場のプランに組み込まれているから、と言う理由で、その意味を考えずに、気軽に取り入れている方も多いような気がしている反面、SNSの声などを見ていると「テンプレート」「予定調和」と捉えられてしまうことも残念ながらある様子で......。こちらは「演出方法」を考える必要があるのではないか、と、私は考えています。


以前お手伝いさせていただきました少人数ウエディングでは、90歳になるおじいちゃんおばあちゃんにコロナ禍ながらもそろってご出席いただくことができました。そこでケーキカットのシーンに添えたのは「みなさまどうかおふたりが、本日お越しいただいたおじいちゃんおばちゃんのように、元気にそろって孫たちの結婚式に参列できますように、そんな未来の幸せを願っておふたりのケーキ入刀をお見守りください」と言う言葉。このひと言が添えられるだけで、この日のケーキカットはご家族にとって、とても意味深いものになったような気がしています。


演出イメージ5

写真:Marlgrafica 享丸桂大



どうかみなさまも考えてみてください。おふたりのケーキカットのシーンに、どんな想いを乗せたいのか。そしてその想いをお打ち合わせのときにプランナーさんや司会者さんとも共有しておくことで、人々がたくさん目にしてきた定番演出も、「おふたりが取り入れるべき演出」に生まれ変わらせることができるのではないかと思っています。


◆まとめ

いかがでしたでしょうか? 演出の取り入れ方や選び取り方、すべての演出には、行われる理由や意味を乗せることが、結婚式の完成度を高めます。私が考えるよい結婚式とは、「おふたりやご家族、その他ご参列のみなさまの心の奥からにじみ出た想いや愛が美しく体現され、お互いの心にきちんと届くこと」であり、「演出」はそれを届ける大切なツールだと捉えています。「誰も見たことのないもの」「やったことないもの」「SNSで紹介されていた流行のもの」と言う基準だけを優先して選ぶのではなく「新しさはないけれど、元々そこにあるものをおふたりらしく磨きあげることで自然とかたち作られるもの」も一度並べ、比べてみてもよいと思うのです。


大切なのは「どの演出を取り入れることが、自分たちの想いを体現できるのか」と言う判断基準も持ち合わせて選ぶこと。定番演出も、最新演出も、もう一度その意味や価値をしっかりと見つめ、おふたりらしさと掛け合わせることで、唯一無二の価値ある時間を創造するための選択をして欲しいと願っています。



写真(メイン)/Marlgrafica 享丸桂大

写真(プロフィール)/Roots&Routes 小澤 彩聖


Professional of 結婚式評論家が語る「結婚式の本当の価値」とは?  Backstage at the Wedding
結婚式評論家 佐伯エリ

結婚式場に約15年勤務後、フリーウエディングプランナーとして独立。現在はウエディングプランナーと並行して、ブライダル関連企業にて人材育成コンサルティングのほか、ブランドプロデュースや商品開発、撮影のアートディレクション、イベントやショー、ライブステージの演出なども手がける。

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