どんな仕事にも、ドラマがある。

たとえば、あるカップルが婚姻届を一字一字ていねいに書き上げ、緊張した面持ちで役所に届けに行く。窓口の人からの「おめでとうございます」という言葉に安堵しながら、処理が終わるのを心待ちにする。

こうして人生が彩られる瞬間にも、窓口では書類に誤りがないか見守る人の姿があります。

そんな「婚姻届を受理する係＝戸籍係」に勤務するWさんは、どのような一日を過ごしているのか、伺ってみることにしました。

よろしくお願いします。

いま6年目です。うち1年、育児休暇で休んでいましたが......。

異動もあるのですが、私は幸か不幸か、入社してからずっと同じ部署ですね。

私が勤めている役所は人口3万人くらいの街なので、戸籍係は正職員が4人、非常勤職員が2人の合計6人です。これは街の規模によっても変わってくるとは思います。

戸籍と住民登録に関すること全般です。

出社したらメールとスケジュールのチェックから始まって、前日分住民異動の決裁、戸籍届書の記載調査、各種庶務を行います。その間、窓口では住民異動、住民票、印鑑登録、戸籍届書、中長期在留者及び特別永住者事務などを行っており、その二つを同時進行で進める仕事です。

そうですね（笑）。でも慣れてくれば、それが自然になりますので。

もちろん日によって異なるのですが、

5:15起床、シャワー、朝食とお弁当準備

6:30夫と娘を起こす、朝食

7:25出発、保育園送り

8:30始業

12:00-13:00昼休み

17:15終業、保育園迎え

18:00帰宅、夕飯、娘をお風呂に入れる、遊ぶ

21:00娘を寝かす、翌日の保育園準備、テレビを見る、夫帰宅、洗濯

1:00就寝

といったかたちですね。いまは子どもが保育園に通っているので、生活の中心は子どもにあります。日々残業もするのですが、送り迎えの都合で1時間までしかできないので、そこは周りの理解と協力を得つつ......。

これも街の規模によって変わってくると思いますが、この役所の窓口で受理するのは平均して1.2件程度です。郵送されてくるものもありますし、届書用紙をもらいに来る方もいるので、それらを合わせるとと5件くらいですね。

私は必ず言います！　言わなきゃいけないっていうルールはないのですが、自分が出したときに言われて、うれしかったので。ちなみに私は、自分の役場で出しました(笑)。

イラっとするときは、届書をすごく雑に書いてあるとき。基本的には一生に一度しか書かないものなのに、丁寧にかけよ......って思います。逆に微笑ましいときは、とてもキレイに、しっかり書かれているとき。こちらもいろいろと協力してあげたくなるので、たとえば「SNSに入籍報告の写真をアップしたい」というカップルがいれば、こちらもいくらでも撮ってあげたいっ！　って思います(笑)。

正直なところ、多少不備があっても受理できてしまうので、想定しづらいですが......唯一考えられるのは「証人がいない」とかですかね......。

どうしてもその日にこだわるんだったら、不備を直して23:59までに警備室にだせば間に合うよ、と突き返すと思います。自分たちで決めた大切な日なら、その日にきちんと間に合うように準備してきてほしいですからね......。

そうですそうです。 大切な日にしたいなら、下準備はきちんとしてしておくことが大事だと思います。

「接客態度が悪い」、「不親切」、「税金泥棒」と、窓口でお客様からのお叱りはよくいただきます。いろいろなお客さまがいらっしゃいますので......（苦笑）。
仕事のミスは、戸籍や住民登録では許されないです。なので、常に気を張っていますし、特別な事例があれば、書籍などでいくらでも調べます。
そのため、上司から頭ごなしに怒られることはあまりないですね。なにか気づきや注意を受けたら、その都度、業務改善を行うかたちです。おかげで大きなミスもなくここまで来ています。

戸籍係は人数が少ないこともあり、チーム体制で常に知識を出し合って、協力しながら動いています。年齢は22歳から55歳と本当に幅広いですが、和気あいあいとやっていますね。

有休はいまは人が少なくて、忙しいため取りづらいですね......。夏休みは７日間で、6月～9月の間に自由に取れます。そこの融通が利くのはうれしいです。

■みんなはどうした？　婚姻届にまつわるアレコレ

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