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各界のプロフェッショナルが語る、最強ウェディングノウハウ。プレミアム花嫁塾。結婚式評論家が語る「結婚式の本当の価値」とは?  Backstage at the Wedding - 佐伯エリ(結婚式評論家)

「ご祝儀は三万円」でなくてもいい?
「ご祝儀」の本当の意味と新しい スタイルを提案

結婚式をするときに、新郎新婦のふたりも、呼ばれたゲストも密かに気にする「ご祝儀」。「友人なら三万円」が一般常識として浸透していますが、そもそも「ご祝儀」とは何なのか、どうしてこうなったのか、深く考えたことがある人は多くないかもしれません。 今回は、この「ご祝儀」の本質についてお話します。


◆元々の「ご祝儀」はモノだった

「ご祝儀」というと現代では、「結婚式に呼ばれたら包む現金」を指す言葉として浸透しているような気がしていますが、元々ご祝儀とはどのようなものであったのでしょうか。そして、「祝儀」という言葉はどこから来たのでしょうか。


実は現金でお祝いを持っていくようになったのは、結婚式が自宅ではなくホテルや式場で行われるようになってからのことだと言われています。それ以前は、宴席で食べるためのお酒やその土地で採れた季節の野菜や魚などをお祝いの気持ちとして持参していました。今も、ホームパーティなどに招待されたとき、「この日に集まったみんなで食べよう」とデザートやドリンクを持参することもありますよね。それの少し豪華版と言ってもよいかもしれません。


その際にみなさんは何を考えて手土産を選びますか? 「今日のパーティはパスタやピザのイタリアンと言っていたから、合いそうなイタリアワインにしようか? それともジェラートにしようか?」と、ホストが用意してくれたものを引き立てるように、喜んでもらえる顔を想像しながら、あれこれ考えて選ぶと思います。


昔の結婚式で持っていったご祝儀は、高価なお酒や尾頭付きのお魚など、当時は普段から口にすることができなかったような「ご馳走」を、「主催者の負担が少しでも楽になるように」という配慮も込めて持っていった手土産のようなものでした。それが、会場が家ではない場所に移り変わっていく中で「何にでも使えて便利だから。宴席にかかった飲食代の足しになるように」という、これも招かれた側の気使いが反映されて現金という形を取るようになったのです。


つまり「ご祝儀」とは、「お金」や「品物」そのものというよりも、招かれた側の「祝い慶ぶ気持ち・心使いを形にする作法」で、「心を贈ること」と言ってもよいかもしれません。そして主催者は、そのお気持ちに対して、お料理や引出物などで感謝やおもてなしの気持ちをこれもまた「形」にしてお返ししてきたもので、それぞれ、時代の価値観に合わせて少しずつ変化してきました。


佐伯さんフォト1

◆「ご祝儀の相場は三万円」が一般化したのは最近のこと

そんなふうに考えると、ご祝儀とは、主催者側にとってはいただくのが当たり前のものではなく、あくまでも招かれた側が能動的に「お祝いしたい。負担を減らしてあげたい」と思って用意するものということになります。そして、なんとなく現金になっていますが、実は決まったルールや形はないものなのです。


ただ、結婚式にまつわる文化の本来の意味や価値は時と共に薄まっていき、便利でわかりやすいマナーブックなどには一般的に理解されやすい模範解答が紹介されるようになりました。多くの方がそれにならうようになり、「結婚式に呼ばれたら、ご祝儀は三万円包むもの」という形骸化された部分だけが引き継がれてしまっているようにも感じられます。



◆「ご祝儀なしの結婚式」新しいお祝いの形(スタイル)とは?


ご祝儀とは、あくまでもご招待に対して招かれた側から発生するもの。金額も品物も決まりはない。
それはわかったけれど、現実的に、ここまで根付いている「ご祝儀の相場は三万円」という一般的なマナーから外れることに抵抗を持つ方も多いでしょう。しかも、現金ではなくて、品物をセレクトしていたときの価値観に戻ったら。結婚式にお招きいただくたびに、ふたりの好みをリサーチして、プレゼントを買いにいって、というのも現代のライフスタイルでは負担が大きくなってしまうのかもしれません。
また招く側も、現代のルールの三万円は負担が大きくて申し訳ない、と考えるふたりもいるでしょう。


その際に提案できるお祝いのスタイルとして「会費制パーティにする」という方法があります。こちらは最初からご祝儀を辞退して、飲食に関わる分を参列者が自己負担する、というスタイルで、北海道では今も一般的な結婚式のスタイルです。 また、新札やご祝儀袋を用意することが大変、との声から最近「ご祝儀のオンライン決済」といったサービスも登場しています。ただ、このサービスをふたりが自ら立ち上げ、「ご祝儀はこちらからオンラインでご決済ください」としてしまうのは、「ご祝儀をくださいね」と請求しまっているようで、若干優しさ、美しさに欠けるのではないかと私は思っています。でも、会費の決済であればその問題もクリアできますね。


佐伯さんフォト2


◆最後に


結婚式でも他のお祝い事でも、『こうしたら喜んでくれるかな? これくらいの金額(品物)なら余計な気を使わせないかな?』と相手の心情をそっと慮って贈り物をし、『もしかしたら贈り物を用意してくれるかもしれないな。お返しも用意しておこうかな?』と、自然とお互いのことを思いやる文化が根付いていますよね。
ただ一方的に送り付けるのではなく、相手の好みや様子に想いを馳せる様子は、まるで、相手の投げやすいところにグローブを構え、また取りやすいところにボールを何度も投げ合う『想いのキャッチボール』のようにも思えます。


人と人とが優しく関わり合い続けていくために、私たちの心の中から生まれたご祝儀。どうか招く側も招かれた側も、お互いを想い合いながら、お祝いの品、おもてなしの品を用意する、というプロセスの愛しさを感じてください。


写真(メイン・本文中)/Marlgrafica 享丸桂大
写真(プロフィール)/Roots&Routes 小澤 彩聖


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Professional of 結婚式評論家が語る「結婚式の本当の価値」とは?  Backstage at the Wedding
結婚式評論家 佐伯エリ

結婚式場に約15年勤務後、フリーウエディングプランナーとして独立。現在はウエディングプランナーと並行して、ブライダル関連企業にて人材育成コンサルティングのほか、ブランドプロデュースや商品開発、撮影のアートディレクション、イベントやショー、ライブステージの演出なども手がける。

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