エメラルドカットの魅力を紐解く―
エメラルドカットとは? 特徴を解説

ダイヤモンドを含めた宝石には、それぞれの魅力や輝きを最大に引き出すためにファセットカット(面を施すカット)が施される。ファセットカットは、大きくはファセットを多く施すブリリアントカットと、スクエアな大きめのテーブル面を持つステップカットに分けられ、エメラルドカットはこのステップカットの一種だ。テーブル面が長方形(厳密には八角形)、横からみると階段状に見え、光の反射が落ち着いた雰囲気を醸し出す。
エメラルドカットの魅力とは

エメラルドカットのいちばんの魅力は、なんといってもダイヤモンド本来の美しさを堪能できることだろう。テーブル面が大きい分、傷や石内部の不純物やインクルージョンが非常に目立ちやすいゆえに、エメラルドカットにおいてはダイヤモンドそのものの透明感が特に重視される。
これに対して違いが分かりやすいのが、ラウンドブリリアントカットだ。ラウンドブリリアントカットは、多くの小さな面を持ち、光を受けながらきらめく輝き重視のカットだ。
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さらに、クラシカルで落ち着いた雰囲気も魅力的だ。個性的でエレガントなデザインが持つ独自性がゆえに婚約指輪にセットするダイヤモンドのカットとしても非常に人気だ。他のカット方法にはないクリーンな美しさとエレガンスさ、そして落ち着いた輝きが、頻繁に光を放つラウンドブリリアントカットとは異なり、洗練された印象を与え、持ち主のセンスを際立たせるのである。
王族にも愛された「エメラルドカット」の歴史

もともとは名前の通りエメラルドのために誕生した「エメラルドカット」。歴史は古く、1500年代まで遡る。エメラルドはカットの段階で、尖った部分があると欠けてしまったりキズが入ってしまうことが多かった。その欠点を軽減し、エメラルド本来の美しさを引き立てるために発展してきたカット技法が、エメラルドカットであった。エメラルドカットはその美しさから、王族から愛されていたとも言われている。
エメラルドカットが広く認知されるようになったのは20世紀初頭であり、特に1920年代のアールデコ時代に人気が急上昇した。この時代のデザインは直線的で幾何学的なラインが特徴であり、エメラルドカットのシャープでエレガントな形状と見事に調和したからだろう。
今日では、エメラルドカットはダイヤモンドや他の宝石にも応用され、その優雅さと独自性が多くの人々に愛されている。
エメラルドカットのメリット・デメリット

エメラルドカットの最大の長所は、その独特なファセットのデザインによるエレガントでクラシカルな輝きである。このステップカットスタイルは、大きなファセット面を持ち、光を広く均等に拡散させるため、ゴージャスかつ落ち着いた輝きを放つ。そのため、他人とは異なる個性的で上品な指輪を求めるカップルに人気が高い。
またエメラルドカットダイヤモンドは、指を長く見せる効果がある。そのため、手元を美しく演出するにはぴったりの選択肢であるだろう。
さらに、厳密にいうと実はエメラルドカットは長方形ではなく八角形。よく見ると角が落ちているのがわかるだろうか。これは尖った四角が欠けるのを防ぐためで、破損しにくいというメリットがある。本来はダイヤモンドより破損しやすいエメラルドに施されていたカットだったために、このような特徴が生まれた。
一方でエメラルドカットの短所としては、ラウンドブリリアントカットに比べて輝きが控えめであることが挙げられる。そのため華やかさを求める人々には不向きであるかもしれない。