ダイヤモンドを選ぶ上で知っておきたい基本のエレメントとして、ダイヤモンドの部位があります。ダイヤモンドには多くのカットがありますが、その中でも最も理想的に輝くカットとされ、世界でもスタンダードとされているのが「ラウンド ブリリアント カット」です。
今回は、そのラウンド ブリリアント カットの各部位についてご紹介していきます。研磨が施されたカット面(ファセット)は、なんと全部で57面(または58面)。その繊細で精密なカットの一つひとつの役割を知ることで、ダイヤモンドの輝きがより特別なものに見えてくるはずです。

ダイヤモンドのカットとは

ダイヤモンド最大の魅力は、その美しい輝きにあると言えます。ただ、ダイヤモンドは“もっとも手間のかかる宝石”とも言われ、人類はダイヤモンド原石をカット、研磨するという膨大な手間をかけてその輝きを導き出しているのです。
ダイヤモンドの持つ美しさは、2種類の光学現象〈反射と屈折〉から生まれます。反射はダイヤモンド光沢と呼ばれる光の照り返しであり、屈折とは光が1度ダイヤモンドの中に入り、そこで折れ曲がり表面から出てくる現象を言います。
この現象を最大にするため、研磨師たちの研究と努力により、物理的にダイヤモンドをもっとも美しく見せる「ラウンド ブリリアント カット」が開発されたのです。

ラウンド ブリリアント カット ダイヤモンドのパーツ

ラウンド ブリリアント カットの部位の名称は、ガードルを挟んで上側を「クラウン」、上側と下側との境目に当たる部分を「ガードル」、下側を「パビリオン」と呼びます。


◇クラウン
石のガードルより上部の、王冠のように見える部分。クラウンの角度はダイヤモンドの外観に大きく影響を与えます。

◇ガードル
ダイヤモンドの外周の部分で、クラウンとパピリオンの境界に位置します。ダイヤモンドを枠にセットする際、多くの場合、爪は「ガードル」部分で固定します。なので、ある程度の厚さを持たせることでダイヤモンドが欠けるのを防ぎます。ガードルが薄すぎると、ダイヤモンドを枠にセットするときに欠けやすくなり、厚すぎると、ダイヤモンドの輝きに影響をあたえることも。ガードルは、ダイヤモンドのカットで非常に重要なチェックポイントです。

◇パビリオン
ガードルより下の部分。パビリオンが深すぎると、入射した光がパビリオン側から多く外に漏れてしまい、輝きが少なくなり石が暗くなります。パビリオンが浅すぎる場合は、フィッシュアイと呼ばれる輪状の像(ガードルの反射)がテーブルを通じて見えてしまい、石が鈍くのっぺりとした印象に見えます。

クラウン側のファセット名称

ラウンド ブリリアント カットにはクラウン側に33のファセットがあります。

◇テーブル
ダイヤモンドの1番上にある8角形の平らな面。ダイヤモンドの輝きや美しさに最も影響する部分です。テーブルを大きくカッティングすると、取り込める光の量は大きくなりますが、テーブルが大きすぎるときらめきのバランスが崩れ、虹色の分散光も少なくなってしまいます。テーブルの理想的なサイズは、ガードル直径の5~6割程度です。

◇ベゼルファセット
光の分散に大きな影響を与える8つの面。整ったベゼルファセットからは美しい虹色が見られます。

◇スターファセット
テーブルに接し、星型に広がる3角形のファセットです。

◇アッパーガードルファセット
ガードルに接する16つの3角形のファセットです。

パビリオン側のファセット名称

ダイヤモンドを裏返して見ると、そこにも25ものファセットが並びます。円の中心から外に向かて伸びている細いひし形の8つのパビリオンメインファセットと、16つのロワーガードルファセット、そしてキューレットです。(ラウンドブリリアントカットには、キューレットがあるものとないものがあります。)ダイヤモンドの裏側ではありますが、石を上から見た時にテーブルの真下にくる大切な部分です。

◇パビリオンメインファセット
パビリオンメインファセットは、ダイヤモンドに入った光を反射させるのに重要な役割を果たします。

◇ロワーガードルファセット
ロワーガードルファセットは、ダイヤモンドに入ってきた光を分散させ、美しい虹色の光を発するために重要なファセットです。

◇キューレット
ダイヤモンドの裏面の尖った部分。内部の光を逃がさないようにする役割と、ダイヤモンドを保護するという働きがあります。
キューレットのランクは”None”から”Extremely Large”までの7段階。大きなサイズのキューレットだと漏れる光の量が多くなり、輝きが弱まってしまうので、キューレットのサイズは小さければ小さいほど理想的です。

ダイヤモンドの輝きの仕組み

ダイヤモンドのプロポーション(エクセレントカット)
ダイヤモンドの各部位(ファセット)のサイズや角度、深さ(厚さ)、またそれらの寸法の比率によってつくり出されるダイヤモンドの全体的な形のバランスのことを「プロポーション」と言います。プロポーションによって、目に見える輝きは大きく異なってきます。
現代のカット技法で最も光って見えるとされているラウンド ブリリアント カットでは、プロポーションは5段階でランク付けされ、最も高ランクなのがエクセレントカットです。エクセレントカットのプロポーション(ガードルの直径を100%とした場合)は、以下の通りであり、その数値は厳密に決定されています。


輝きの3原則を最大限に活かす
巧くカットされたダイヤモンドの美しさは息をのむほどであり、58面(57面)ものカットを施すのは、すべて輝きのためと言えます。
簡単に言うと、ダイヤモンドを一定の形にカットすることでダイヤモンド内部に入った光線を出来るだけ多くテーブル面から表に出すことで「ブリリアンシー(明るい白い光)」を、さらに研磨した面の反射である「シンチレーション(光のきらめき)」や虹状の色分散「ファイア(虹色の光)」を導き出すためのものなのです。

「ブリリアンシー」「ファイア」「シンチレーション」というダイヤモンドの輝きの3原則。この3つを最大限引き出すために、ダイヤモンドのプロポーションは考え出されたのです。

ダイヤモンドはカットされて初めて光り輝くことができます。つまり、ダイヤモンドの輝きにおいてカットはとても重要であり、その名称を含め、ダイヤモンドの形の理由や輝きのメカニズムを知ることは、良いダイヤモンドとの出会いにきっと繋がるはずです。
ダイヤモンドを賢く選び、賢く購入するために、ぜひ参考にしてみてください。