MENU

品質の証明。ダイヤモンドの「鑑定書(グレーディング レポート)」とは?

この地球上に、同じダイヤモンドは1つとしてありません。たくさんのダイヤモンドが並ぶ中、“ピン”と感じるような、一目惚れのような感覚で、ある1粒のダイヤモンドに出会うことがあります。そんな直感的に選んだダイヤモンドこそ、最良のダイヤモンドなのは間違いありません。
ですが、ダイヤモンドを購入する際には、その品質についてきちんと証明してくれる「鑑定書」があるとより安心です。今回はこの「鑑定書」、正式には「ダイヤモンド グレーディング レポート」について解説します。

ダイヤモンドの鑑定書とは

鑑定書の正式名称は「DIAMOND GRADING REPORT(ダイヤモンド グレーディング レポート)」と言い、ダイヤモンドの品質を把握するにあたり、最も確かなものです。
ダイヤモンドの品質は4つのC(4C)の組み合わせで評価されます。4Cとは、重量を示す〈カラット(carat)〉、研磨の状態を示す〈カット(cut)〉、色を示す〈カラー(color)〉、透明度を示す〈クラリティ(clarity)〉のこと。これは鑑定機関として世界でもっとも権威のある『GIA(米国宝石学会)』により定められた世界共通の基準であり、ダイヤモンドの鑑定書とは、対象のダイヤモンドの4Cの検査結果を記した文書のことです。また、4C以外にも、対象のダイヤモンドの写真や図、各部の寸法や特徴などが記され、鑑定書を見ればその石の情報を正しく把握することができます。
つまり、鑑定書はエンゲージリング購入の際に、そのダイヤモンドが本物であることを証明するのはもちろんのこと、品質の詳細を消費者に明示してくれるツールなのです。

「鑑定書」と「鑑別書」と「保証書」の違い

宝石や宝飾品に付属する書面には、「鑑定書」、「鑑別書」、「保証書」など色々なものがあり、しばしば混同されることがあります。これらは全て違うのものなので、まずは定義をはっきりと理解しておきましょう。

◇鑑定書(ダイヤモンド グレーディング レポート)
鑑定書は、ダイヤモンドの性質やどのような研磨がなされているかなど、品質を評価証明するものです。鑑定書は天然のダイヤモンドにしか付属せず、また、鑑定書が存在するのはダイヤモンドのみで、他の宝石には発行されません。

◇鑑別書
宝石の種類や、天然、合成、模造といった石の起源が記された書類のことを言います。石の重さや屈折率、また、人工処理が施されている場合にはどのような処理かなどが記入されます。鑑定書のように、宝石の品質を評価するものではありません。こちらは、ダイヤモンドを含む全ての石が発行の対象となります。

◇保証書
一般的には購入したジュエリーに付随するものであり、販売店がその内容や価格などを購入者に対して保証する書類です。

鑑定書が発行されないダイヤモンド

鑑定書は、0.15カラット以上、D~Zの色範囲である天然のダイヤモンドルース(裸石)に対してのみ発行されます。つまり0.15カラット以下のダイヤモンドや、合成石や類似石、台座にセットされたダイヤモンド、割れ目の充填やコーティングなどの不安定な処理を施されたダイヤモンドには、鑑定書は発行されません。

ダイヤモンドの鑑定機関の重要性

ダイヤモンドの品質基準である4Cは世界共通ですが、それを鑑定するダイヤモンドの鑑定機関は多数存在します。そして、それぞれの鑑定機関が、独自の様式の鑑定書を用いてダイヤモンドの品質を保証しています。そのため、一口に鑑定書といっても「どこが鑑定したのか」によって、鑑定書の信頼性は異なってきます。
宝石の鑑定や鑑別には、最新の精密機器や高度で専門的な知識が必要になります。鑑定機関の選択が重要である最大の理由はここにあると言えるでしょう。特に、4Cの中でも、カラットとカットは完全に計測することができますが、カラーとクラリティは人間の感覚や経験が評価に影響します。ダイヤモンドの品質をめぐるトラブルの多くは、この“2つのC”で発生するとも言われています。つまり、品質の評価には、鑑定機関の知識や経験値、そして誠実性によって差異が出るということです。だからこそ、一般的に信頼の厚い鑑定機関が発行する鑑定書であることが重要になるのです。

信頼性と評価が高い鑑定機関

アメリカのGIA(米国宝石学会)を筆頭に、スイスのギュベリン、イギリスのFGA、日本ではCGL(中央宝石研究所)、AGT(AGTジェムラボラトリー)などがありますが、ここでは主な2つの鑑定機関について解説します。

◇GIA(Gemological Institute of America/米国宝石学会)
宝石学の教育機関であると共に、鑑別・鑑定機関、更に鑑定に関する研究所から構成される非営利の組織。世界的な品質評価基準となっている4Cを考案した、 世界のダイヤモンド市場において最も権威ある存在です。GIAの鑑定書には、GIAダイヤモンド グレーディング レポートのほか、コンパクトサイズのGIAダイヤモンド ドシエ®、ダイヤモンドの原産地情報などが記載されたGIAダイヤモンド オリジン レポートがあります。

◇CGL(Central Gem Labolatory/中央宝石研究所)
日本におけるダイヤモンド鑑定、宝石の鑑別で最大規模の鑑定機関。世界的な宝石ラボ団体LMHC(ラボ・マニュアル調整委員会)の日本で唯一のメンバー機関であり、日本の業界内における鑑定・鑑別のオーソリティというべき存在として知られています。「ハートアンドキューピッド(H&C)」を対称性のパターンとして世界で初めて鑑定書に取り入れました。

鑑定書の見方

ダイヤモンドの個性がひと目でわかるのが鑑定書です。今回は、GIAの鑑定書について、その見方を詳しく説明します。
出典:GIA(https://4cs.gia.edu/files/GIA-how-to-read-a-diamond-grading-report-EN.pdf)

①鑑定年月日
②レポートナンバー:グレーディングされたダイヤモンドの1つひとつは、ナンバリングされ管理されています。
③形およびカット:ダイヤモンドの外形とファセット(面)の配列が記載されます。
④寸法:ガードルの最小直径と最大直径、上下の深さ(テーブルからキューレットまで)を測定。【『最小直径』ー『最大直径』×『深さ』mm】 で表記されます。
⑤重量:デジタル電子重量計で1カラット(0.2g)の100分の1まで測定し、記載します。
⑥カラー・グレード:GIAのマスターストーンと比較し、ダイヤモンドの色(黄色味)をD〜Zで評価します。
⑦クラリティ・グレード:ダイヤモンドを10倍に拡大し、ダイヤモンドの傷や内包物の有無を確認。内包物の量・数・位置・大きさ・性質・色などを総合的に判断し、グレードを評価します。
⑧カット・グレード:プロポーションをGIA 基準により評価。Excellent(エクセレント)、Very Good(ベリーグッド)、Good(グッド)、Fair(フェアー)、Poor(プアー)の5段階で評価します。
⑨ポリッシュ / 仕上げ項目:ファセットのポリッシュ(研磨)を、上記同様の5段階で評価します。
⑩シンメトリー / 仕上げ項目:ファセットの位置やバランスといった対称性を、上記同様の5段階で評価します。
⑪蛍光性:ダイヤモンドは長波紫外線下で発光することがあります。この発光時の色および強さを、蛍光マスターストーンと比較し記載します。
⑫刻印:ガードルに刻印されている文字や記号、鑑定書番号が記載されます。
⑬備考欄
⑭プロポーションの図示:ダイヤモンドに施されたファセットの角度や比率を、GIA基準により記します。
⑮~⑯クラリティの図示:内包物の特徴について図示した項目です。これによりグレードの裏づけが出来ます。
⑰~⑲グレーディング表:カラー・グレード、クラリティ・グレード、カット・グレードの各ランクが記載されています。

GIA鑑定書が付属するダイヤモンドには、⑫で示されているように、ガードル部分に鑑定書番号がレーザーで刻印されています。これにより、ダイヤモンドが唯一無二のものであるということを証明しています。一方、CGL鑑定書は、ダイヤモンドの画像が付いていることが特徴です。また、美しいカットの証であるハートアンドキューピッドが認められる、トリプルエクセレント(カット、ポリッシュ、シンメトリーの3項目全てがエクセレント評価)のダイヤモンドには、写真付きのサブレポートが付属します。

まとめ

鑑定書は鑑定機関により、書式やデザイン、サイズ、言語などが異なりますが、記載内容は統一されており、原則として内容に相違はありません。ただ、ダイヤモンドの鑑定には高度な専門知識と豊富な経験、最新の専門機器が必要となるため、正確性と信頼性が認められている鑑定機関は限られています。
鑑定書は、ダイヤモンドを安心して購入するために必要な証明書。鑑定書の有無や鑑定機関も、ダイヤモンド選びにとって重要なポイントと言えます。

人気記事ランキング

BRAND LISTブランドリスト

HISTORY最近あなたがチェックした指輪

COLLABORATIONコラボレーション

PICK UP CONTENTSオススメ編集コンテンツ