出処を知ることはなぜ重要?
原産地と、経由地。ここまでダイヤモンドがどのような経路をたどってブランド・販売店に届くのかを述べてきましたが、その原産地・経由地が果たして“本当かどうか”は、話がまた別です。
なぜなら原石ではなく、すでに研磨された状態のダイヤモンドを購入している可能性のあるブランドがあるため。原産地が不明なのはもとより、研磨メーカーや卸(おろし)など、多くの人の手を経たダイヤモンドである場合も少なくありません。それはそのダイヤモンドが、「紛争ダイヤモンド」や「リユースダイヤモンド」ではない本当の意味でクリーンなものであることを証明できるかが難しいことを意味します。
紛争ダイヤモンド
別名「ブラッド・ダイヤモンド(血塗られたダイヤモンド)」。ダイヤモンドは高価ゆえに、戦争の資金源として扱われる現状があります。ダイヤモンド産出国が紛争地域であった場合は特に、紛争を引き起こした当事者の資金源になっているケースも少なくありません。
そうした紛争ダイヤモンドの流通を抑えるため、現在は「キンバリー・プロセス制度」※などの取り組みが行われています。
リユース・リサイクルダイヤモンド
誰かが身に着けたあとで、買い取り業者に売りに出された中古のダイヤモンドのこと。そのままの状態で再販売されるのがリユースダイヤモンドで、そのままの状態だけではなく、再加工(リカット)される場合もあります。ダイヤモンドは硬く傷つきにくいため、枠などをリフォームしたり再加工したりすれば、まるで新品のような輝きを出すことができます。そのためそれがリサイクルダイヤモンドかどうかを見分けるのは、かなり困難です。
なお、ダイヤモンドの世界3大市場のひとつとして挙げたインドは、技術の高さから世界のダイヤモンドの再加工の多くを担っています。日本の買い取り業者が購入した婚約指輪・結婚指輪で使われるダイヤモンドの多くは、インド人が持つ技術によりリサイクルダイヤモンドとして生まれ変わり、市場で新たに流通しています。
※「キンバリー・プロセス制度」とは
“紛争ダイヤモンドではないことを証明”するための制度。紛争地域で採掘され、武装勢力の資金源となりうるダイヤモンドの流通を防ぐため、2003年に導入されました。輸出するダイヤモンドには紛争ダイヤモンドではない証明書の添付が義務づけられています。
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知っておきたい「紛争ダイヤモンド」「リユースダイヤモンド」とは。最愛の人へと贈るそのダイヤモンドは、信頼に足るものか?