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【PREMIUM CREATORS/飯島智子】日本にブルゴーニュの風を!日仏の”らしさ”が溶け合う国際ウエディングの舞台裏を独占取材!

その卓越したセンスで、ウエディングのみならず様々なクリエィティブシーンでラブコールを受けるクリエイティブ・ディレクター飯島智子さん。ファッショナブルでラグジュアリーなウエディングは、どうやって作られるのか?今回はスケール感の大きい、日仏国際ウエディングシーンの舞台裏を取材した。

入念な準備で実現した、かつてないスケールのウエディング



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PREMIUM編集部:今回ご紹介いただくウエディングプランは、かなりのスケール感であったと伺っています。概要を教えていただいてもいいですか?

飯島さん:はい。今回は日本とフランス、それぞれにルーツを持つおふたりのウエディングシーンを担当させていただきました。60名のゲストのうち30名がフランスから、そして残りの日本のゲストも日本各所から集結するという、移動だけでもかなり大掛かりなプランでした。

PREMIUM編集部:フランスと日本各地からゲストが集結。場所を決めるだけでも、大変そうですね。今回はどのようにプランを決めて行ったのでしょうか?

飯島さん:おふたりからは、ふたりの出会いの場所でもある“フランス、ブルゴーニュの雰囲気を感じられるウエディングシーンにしたい”というリクエストがありました。
そのリクエストを叶えつつ、さらに“ふたりにとっての最高のウエディングシーン”まで高めるために、そのリクエストの中にどんな本質が隠されているのかを見極める作業からまずはじめました。

PREMIUM編集部:“リクエストの中にある本質を見極める作業”とは、具体的にはどういった事でしょうか?

飯島さん:はい。ご両家ともにご家族で事業をなさっているからこそ、プライベートだけでなく仕事面でもコミュニケーションをとることが多く、ご家族との関係性をとても大切にされていらっしゃいました。
ゲストについても、遠いフランスや日本各地からご招待なさる方々ですから、おふたりにとって特別な方達のはず。この特別な方達とおふたりとの親密度を理解することこそが私のミッションだと思ったので、おふたりと家族、ゲスト一人一人の関係性を紐解いていきました。

そこから、おふたりの価値観や大切にしていることやご家族との関係性が見えてきて、当日のプログラムを具体的にイメージしていきました。
構成がある程度見えてきたところで、そのプログラムを具現化できる可能性が高いロケーションを絞っていきました。


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PREMIUM編集部:今回の式場は、鳥取の『プリムローズガーデン』を選ばれていますが、決め手となった理由はありますか?

飯島さん: ロケーション選びは、冗談ではなく日本中の式場を探しました(笑)。
『プリムローズガーデン』は、ロケーションの素晴らしさはもちろんですが、地形や気候がブルゴーニュに似ていること、また私が考える理想の1日をお話した際に、担当の方が全面協力すると言っていただけたこともあり、決断しました。

PREMIUM編集部:まるで映画を1本撮影するかのような準備ですね。

飯島さん:(笑)そうかもしれないですね。
この仕事において何かを決断するときに、ご本人以外のキーパーソンを考慮することがとても重要なんです。
ある意味、キーパーソンとの関係性こそがその方の人生でもあるので、そのリアルをどこまで聞き出せるのか、というのが私のミッションだと思っています。

今回のケースは、おふたりにとってのキーパーソンは、ご両家のご両親。
家族としての一体感を感じながらも、それぞれにスポットを当てていく、という事を心がけました。





2つの国の異なる価値観。お互いの魅力を引き立てあって




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編集部 :それでは、映画のような夢の1日の詳細を教えてください!



「ファーストセレモニー」で愛の誓いを

飯島:午後お昼すぎ、シャンパンタワーを使ったファーストセレモニーからスタートしました。
通常でしたら『おふたりの誓い』を行う場面なのですが、フランスのファミリーが無宗教だということもあり、人前式のような堅苦しいものはフィットしないと考え、代わりにおふたりにとって縁のあるシャンパンタワーを使ったファーストセレモニーを行いました。

編集部:セレモニーを屋外にした理由はあるのでしょうか?

飯島:ブルゴーニュでは「どんな時でも外で飲む」という文化があるのでそれにならい、屋外にしました。
このシーンは、日仏のファミリーやゲストが初めて顔合わせするタイミングでもあったので、参列席はシャンパンタワーを中心に、ぐるりと円を描くように配置して、互いのゲストのお顔がなんとなく見えるよう工夫をしました。

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編集部:円座の参列席、素敵だなあ、と思っていました。そういった心配りもあったのですね。

飯島言葉を交わさずとも、なんとなくどういった方達がいるのか、ゲストの全体像がわかると互いに安心しますよね。でも参列席を円座にしたのには、実はもうひとつ理由があるんです。
この配置だと、おふたりが入場する時に参列席を歩けて、ゲストの方々一人一人のお顔を見られるんです。おふたりが両端から別々に入ってきて、真ん中で出会うという流れもドラマティックでしたし、とてもパーソナルであたたかでな瞬間が作り出せたと思います。



日仏どちらのゲストにも喜んでいただける「おもてなし」

編集部:パーソナルでいてドラマティックな演出ですね。その後は、お食事タイム。今回はビュッフェスタイルにしたんですよね?

飯島:はい。日仏どちらの感性も感じられるお料理をラインナップしました。
ビュッフェやテーブルの配置も、日仏それぞれのゲストとの間に自然な交流が生まれるように工夫して。
このシーンでは美味しいお食事をいただきながら、それぞれの国の文化にふれたり、交流が生み出せるようにちょっとしたアイデアやサプライズを盛り込みました。

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編集部:そういった文化交流的な部分は、今回こだわったところでもあるのでしょうか?


飯島:そうですね。フランスの方々へは、ブルゴーニュらしい過ごし方を楽しんでいただきつつ、日本ならではの演出やおもてなしを入れることで、日本を知ってもらう工夫を。
日本のゲストへは、型にはまらないブルゴーニュ的な演出を楽しんでいただきながら、日本的なシーンごとに区切りをちゃんと感じてもらう構成にしました。

フランスと日本は文化、時間の過ごし方の価値観も全く違うので、ことあるごとに「2つの国のゲスト達の感覚をそれぞれ理解できているよね?」という問いを自分自身で確認しつづけることを心がけました。


編集部:日本は日本らしいおもてなしで演出。日本で行うブルゴーニュらしい演出は、どんなところでしょうか?

飯島:フランスのウエディングで伝統的に行われるイベントを意識しました。ヴィジュアルディレクション的なところでいうと、屋外で行ったオープンセレモニーやブラックのクロスをキーとしたテーブルセッテイング、ブルゴーニュの夜を表現したファーストダンスでのキャンドルの演出などでしょうか。

特にガーデンパーティのテーブルセッティングは、ラグジュアリー志向ではあるけれどブルゴーニュらしい抜け感が欲しかったので、クロスをブラックにしました。
そこに、おふたりならではの演出として、ドリンクリストだけを置きました。
もうひとつ、おふたりらしい演出と言えば、飲み物は持ち込みにして提供されるワインのセレクトはおふたりがされ、中には家族とのエピソードが深いワインもご用意しました。皆さん、よく飲まれるのでどんどんボトルが空いていき、その度にお父様がそのワインの説明をする。
そうやって、おふたりにとってのキーパーソンにもスポットライトを当てていく、という演出もこだわったところでもあります。


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リラックスした空間の中で思いがけないドラマも生まれて



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夕暮れにはブレイクできる「カクテルタイム」を

編集部:おふたりにとってのキーパーソンとなる方やゲストにも、それぞれスポットライトを当てる演出で、さらにその場の幸福感や雰囲気が盛り上がりますよね。

飯島:そうなんです。スポットライトが当たる、と言えば印象的だったのがカクテルタイム。カクテルタイムとは日本で言う、一次会と二次会の間の休憩時間のようなもので、フランスでは必ずあるブレイクタイム。そこでちょっとした盛り上がりがありました!

両家のゲストたちが、世代を超えてテーブルを囲んで、お互い翻訳アプリを使って、一生懸命コミュニケーションを取っていたり。自然発生的にそういったことが行われているのを見て、ブルゴーニュのような開放的な雰囲気を演出できたのかな、ととても嬉しくなりました。


編集部:緊張感から解き放たれ、お互いリラックスできたからこその空間ですね。
二次会も同じ場所で開催されたのでしょうか?



19時からはロマンティックな「ファーストダンス」

飯島:19時くらいからファーストダンスが始まったのですが、それがいわゆる二次会のような位置付けです。ブルゴーニュの夏の夜を表現するために、キャンドルだけで光の演出をしました。さらに非日常感を出すために天井をガーランドの布でアレンジして。風が入ってきてなびく布がとてもロマンティックで。
老若男女みなさんが手に手を取りあって踊っている姿は、幸福そのものでしたね。


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編集部:キャンドルの光の中、参加者全員がダンスって、それだけでもう夢!(笑)
国際ウエディングならではの印象ですが、飯島さん的に一番うれしかったことや達成感を感じたのはどんなところですか?


飯島:やはりシーンが変わるたびに、ご両家のご両親様から褒められたことでしょうか。
フランスのご両親からは、「日本のかっちりした感じをフランス流にアレンジして心地よくしてくれてありがとう。フランスのゲストが、みんな笑顔。それがとってもうれしい」と言っていただきました。日本のご両親からも「素晴らしい気遣いをありがとう!」と。
この一大プロジェクトのリーダーでもあるおふたりのご両親は、それぞれのゲストがどう過ごされているか、というのを一番気にしていらっしゃいます。
そのリーダーたちにお誉めいただいたと言うことは、私が表現したことは間違いではないんだなと安心しましたね。










プロフィール

飯島智子

飯島智子さん

早稲⽥⼤学を卒業後、(株)トリートに新卒⼊社。
THE TREAT DRESSINGにてドレスコーディネータを経験し、2019年に同社クリエイティブディレクターに就任。
⽇本初のオートクチュールブランドの買い付けやオリジナル着物の製作、ファッションデザイナーとのコラボレーションコレクションを発表。
また、新店舗の空間ディレクションやブランドビジュアル撮影のディレクションを⾏うなど、世界観をカタチにする業務に携わる。
2023年、独⽴。
クリエイティブディレクターの経験を活かし、完全オーダーメイドのウエディングシーン・フォトウエディングシーンの創造をスタート。
その他、ビジュアル撮影やイベントの空間コーディネート、事業コンセプトの提案など、 ウエディングの分野にとどまらず、ブランディングディレクションを⾏う。

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