女性の魅力を引き出して輝かせること。それを“感動”というエンターテイメントに
編集部:湖山さんのヘアメイクは、受注からどんなプロセスで出来上がっていくのか教えてください。
湖山:ベースになるのは、3年かけて今の形に完成したYUI独自のカウンセリングシートです。
すべては、この一枚からはじまりますね。
いつ、どこで挙式されるのか、テーマやコンセプトはお持ちなのか、好きなテイストやふだんのファッション傾向やメイクの感じ、季節感の取り入れ方など、このカウンセリングシートをもとに、細部に渡ってお客さまの情報をインプットしていきます。
すべては、お客様が持っている魅力を、最大限以上に引き出して輝かせるため。まずはそのお客様の中にあるいろんな美しさの要素を理解することからはじまるんです。お客様本来の魅力を無視した変身メイクではなく、お客様らしさを生かしながら、最高の美しさをドラマチックに引き出すお手伝いをするのが私たちの使命。
ブライダルメイクは、お客様ご本人へはもちろん、その場に集ったゲストのかたがた全員への私達からのサプライズプレゼントだと考えています。
会場の扉があいておふたりの姿が見えた時に、ゲストの皆様から「わぁ!!」と憧れと賞賛の声が上げる瞬間をイメージしながら、その方のヘアメイクプランを練っています。
編集部: カウンセリングはどのくらいの期間をかけるのですか? また、どういった希望が多いですか?
湖山:お申し込みいただくのは1年前で、そこから短期間で決まる場合もあるし、決まった後でもご相談ごとなどは、ラインでやりとりさせていただいています。
ご希望に関しては、ご自身がこれ!と決められている場合もありますが、「衣装も含めてトータルディレクションでお任せしたい」とおっしゃっていただくオーダーが一番多いです。
私はヘアメイクだけでなく、身に付けるものひとつにしても絶対妥協をしたくないんです。それでヘアアクセサリーなども自分で買い付けを始めたくらい。(笑) トータルでオーダーしていただけるのがとてもうれしく、やりがいを感じています。
編集部:まるっとお任せ!というオーダーにはどんな風に提案していくのですか?
湖山:お客様との最初の打ち合わせのときに、“この方にはこれだ!”というイメージが浮かびます。カウンセリングを進めながら、そのイメージの解像度を上げていく感じです。
例えば、海外でのフォト撮影依頼であれば、まず海外で映えるスタイルを考えます。海外の空気感を素敵に切り取りたいから、あまり堅苦しくなくリラックス感がある方がいいなと思えば、ウエディングに限定せず海外のリアルファッション系のインスタを見てヒントをもらったり。
もしアイデアが閃いても、それを表現できる小道具がなければ手作りもします。イメージに近づくためには絶対諦めない(笑)。 “世の中にないものを生み出したい”というのが私の目標なので、むしろワクワクしてきます。
自分の強みである王道スタイルも極めながら、時代のトレンドを作りだせる感性も磨きたい。
その2つの力の相乗効果で、ブライダルが“感動”というエンターテイメントになるような。そんなイメージを持って取り組んでいます。