結婚式場探しならマイナビウエディング > 結婚式準備最強ノウハウ > マイナビウエディングPRESS > インタビュー 記事一覧 > #1 多様化する時代、誰しもに人生の「節目」を楽しんでほしい。CRAZY WEDDING松田佳大さんが感じる使命

人気記事ランキング

最新記事

インタビュー

#1 多様化する時代、誰しもに人生の「節目」を楽しんでほしい。CRAZY WEDDING松田佳大さんが感じる使命

20210824-020_720_480.jpg

「結婚式」には、想像している以上にたくさんの人が関わっています。表に出る人、裏方の人、業界自体を支える人……。この企画では、さまざまな角度から、どんな風に結婚式のことを考えていてどんな風に結婚式を作っているのか、その想いをリレー方式で伺っていきます。

#2 こんなにも愛されているんだと実感すると、未来だけじゃなく過去さえも変わる。ウエディングディレクター 一色浴果里さんが語る結婚式のチカラ >


自分のアイデンティティとは何か。それをどうやって仕事に生かしていくか

オリジナルウエディングで人気のCRAZY WEDDING。同社でウエディングプロデューサーに始まり現在はマーケティング責任者として事業をリードする松田佳大さんに、自分らしさを生かした結婚式の作り方から、おふたりへの想いの伝え方、結婚式だけでは終わらない人生の「お祝いごと」についての熱い想いを伺いました。

――松田さんは、人材関係の会社の営業職からの転職だったそうですね。ウエディング事業というのは全く分野が違って大変だったのではないですか?

松田:そうなんです。クリエイティブの「ク」の字も知らないような状態でCRAZY WEDDINGに入社し、最初はウエディングのプロデューサーをしていました。同僚には、お客さまのお話を聞いてボロボロ涙を流しちゃうような共感性の高い人とか、コミュニケーションを密にとってお客さまとお友達になっちゃう人とか、いろいろなタイプのプロデューサーがいたんです。男性は僕ひとりだったんですが、ドレスの相談を詳しくしたいから担当を変えてほしいと伝えられたり、結婚式は女性にサポートしてほしいと面と向かって言われたりと、男性ならではの難しさを感じることが多かったです。だから、最初の1、2年ぐらいは、とにかく自分のアイデンティティとはどこにあって、どうやってそれを仕事に生かしていくかを考えていましたね。

――その答えは見つかったんですか?

松田:そうですね。ひょんなきっかけだったのですが、僕は結婚式のコンテンツで「お手紙」を用いる提案をすることが多かったんですね。それは、先輩がやっていてステキだったので真似したのが始まりなのですが、どこか物足りなさも感じていたんです。「ああ音楽を流すタイミングはそこじゃない……」「ここでサービススタッフ全員がピタッと動きを止められたら……」などと、通常なら気にも留めないような細かな部分に固執している自分に気が付きました。そう考えたときに、これは全プロデューサーの中で自分にしかない感覚なのではないかと、ポジティブな思考が湧いてきました。もともと音楽活動を長くやっていた経験があったので、そのような感度が育っているのかもしれないと。そこから「演出が得意なプロデューサー」として自覚を持ち、自信を持ってお客さまに接したことで、次第に自他ともに認めるアイデンティティに変わっていきました。

僕は、自分を他人と差別化することに対する意識が人一倍強いんだと思うんです。そういう意味でも、他社とは違うウエディングを目指したCRAZY WEDDINGで、他者とは違う演出を僕はできるということにアイデンティティを見出すことができました。

――なるほど。些細なことから自分の得意な点、アイデンティティに気づけたんですね。現在結婚式を考えているカップルのみなさんも、参考になりそうな考え方です。

人生の深い部分まで知り合ったおふたりへ、伝えたい「想い」

松田:それと僕のこだわりはあともうひとつ、CRAZY WEDDINGのオーダーメイドウエディングには「会場ファーストミート」というコンテンツがあるんです。当日の空間装飾をすべて作り込んで準備が整ったところで、おふたりがその会場と「ご対面」をするんですが、僕はその演出にもめちゃくちゃこだわりました。というのも、僕がプロデューサーとしておふたりに直接価値を届けられるのはそこまでなんですよね。それ以降は司会者やスタッフ、カメラマンなどのパートナーのみなさまに使命が移っていきます。なので、前日はそれこそ何時間もかけていくつかのパターンの音楽を用意し、自分がどんな想いでその式をプロデュースしてきたか、おふたりへの感謝、期待、願いを伝えきれるような台本を考えました。その結果、結婚式より感動したと言っていただけたり、スタッフにも好評で社内でその様子の動画を共有してもらったりしたのは嬉しかったですね。

――そのとき、松田さんがおふたりに伝えたい想いというのはどんなものだったんですか?

松田:結婚式の当日まで僕たちは、おふたりとともに半年とか1年とかの時間をかけて一緒に向き合って、考えて、想いを込めて作り上げているんですね。そうすると、やはり人生の深い部分まで知り合うことになるので、おふたりが気づいていない自分たちの姿、想像していない未来の可能性とか、僕たちにしか見えてない部分が見えてきたりするんです。ですから、おふたりは大丈夫、きっと未来は明るいからこうやって生きていってほしい!といった願い、願掛けみたいなものですかね。これこそCRAZY WEDDINGの人間にしかできないものだという自負をもってやっていました。

結婚式が終わったあとも、長く付き合っていけるお祝いの場を目指して

――そんな松田さんも今はマーケティングの責任者として、事業をもっと広い視点で見る立場に変わられたんですね。

松田:はい。この夏(2021年7月)に発表した「オーダーメイドウエディング」から「ゲストファーストのウエディング」へというサービス方針の変更も、これが僕にとってはじめてのマーケターの仕事となりました。もちろん、オーダーメイドをすべてやめるというわけではなくて、主軸をゲストファーストな結婚式場「IWAI OMOTESANDO」に移すということ。CRAZY WEDDINGというと、とにかくプロデューサーの裁量に負う部分が多くて、だからこそ多くの人に感動を与えられる”威力”のあるウエディングができたんですけれど、これからはそれだけではだめなんじゃないかという思いがありました。

具体的に言うと、結婚式って瞬間的なもの、長い人生の中で見れば小さな「点」なんです。でも、現代においてはふうふとしての人生は50年以上にも及ぶ。そう考えると、結婚式の”威力”は「花火」のようにドカンと打ち上げるものでは物足りず、じわじわと後から浸透してくるようなものに変えていかなければいけない、と思うようになったのです。だから、新たに注力していくIWAI OMOTESANDOでは、結婚式が終わったらCRAZY WEDDINGとの縁が切れてしまうんじゃなくて、たとえば結婚記念日にIWAIに来て記念写真を撮れたり、家族でご飯を食べたり、また子どもが生まれたらお食い初めができたりと、長く付き合っていけるお祝いの場を目指すことにしました。そういう時をIWAIでたくさん過ごしていただきたいと思っています。今、マーケターとして一番考えているのは、そんな風にしてCRAZY WEDDINGに関わる人達のライフタイムバリューを伸ばしたいということ、それに尽きます。

多様化する時代に応じた選択肢で、人生の「節目」を誰しもが楽しみになるように

――今、結婚するカップルの3割は式を挙げない選択をしているという調査結果もあります。ウエディング業界にいる身としては複雑ではないかと思いますが、松田さんにとって「結婚式」とはどういうものなのでしょうか?

松田:結婚式に限らず成人式などもそうですが、それらはみんな人生の「節目」だと思っています。でも、その節目をお祝いしないと決めている人がいるということは、その方法が今の時代にあわせてアップデートされていない、ということだと思っています。厳密には、多様化する時代に選択肢を用意できていないと思います。僕たちは、結婚式は人生と向き合うことができ、大切な人の存在に気づき、愛情を感じられる本当に貴重な機会だと思っています。だからこそ、この多様な時代に応じたさまざまな選択肢をつくることで、誰しもが楽しみになる節目へとアップデートさせられたらいいな、と。それが自分の使命だと思っています。なかなか自分たちにピンとくる結婚式場が見つからないなと思ったときに、ダメ元で相談してもらえたらこれ以上に嬉しいことはないですね!

編集部より

人材関係の営業職からの転身というと、まるで異分野への挑戦のように思えますが、松田さんの熱い語り口には、その心の底に脈々と流れる、人を楽しませたいというエンターテイナーとしての思いが感じ取れました。おふたりと一緒に結婚式を作り上げてきたプロデューサー時代と、マーケターとなってより広い視点で結婚式、ひいてはお祝い事全般を考えている現在。立場が変わっても、人生の節目を大事にし、結婚式が幸せな人生の一助になってほしいと願う松田さんの熱い想いが伝わってくるインタビューでした。

次回は、そんな松田さんからのリクエストで、「エースホテル京都」でブライダルディレクターとして活躍される一色 浴果里さんにお話を伺います。お楽しみに!

松田佳大さんプロフィール

2016年に「心震える体験をつくるシゴトがしたい」とリクルートキャリアからCRAZYへ転職した後、CRAZY WEDDING大阪支社の立ち上げとともに、約100組の結婚式のプロデュースを担当する。結婚式プロデュースのノウハウを生かし、法人向けブランディングイベントやCRAZYの事業開発などさまざまな企画開発に携わった後、現在は株式会社CRAZYマーケティング室責任者を担っている。

https://www.crazy.co.jp/wedding/

取材・文/定家 励子(株式会社imago) 写真(メイン・プロフィール)/高橋 圭司

< 【挙式・アフターセレモニー編】ニューノーマルの結婚式でも楽しめる演出アイデア13選  |  一覧へ戻る  |  ゲストに聞いたコロナ禍の『参加してよかった』『不満だった』結婚式 >