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【ダイヤモンドの原石】世界最大の原石や種類まで、数億年の時が刻まれた神秘に迫る―

宝石の王様「ダイヤモンド」は、その美しさと希少性から高い価値を持っていることは周知の事実だろう。特に大きく透明度が高い原石が発掘された際には、高額な値段で取引され世界中の注目を浴びることになる。
本記事では、そんな世界最大級のダイヤモンドから原石の種類など、ダイヤモンドの神秘を紐解く。

ダイヤモンドの原石の特徴


ダイヤモンドの原石

ダイヤモンドの原石は、別名「ラフ」とも呼ばれ、地球深部で高温高圧条件下で形成される炭素の結晶体である。実は、原石の段階ではダイヤモンドは輝いておらず、白く濁っている。内部に含まれる不純物や構造によるもので多少の違いはあるが、黄色味がかった白が多いだろう。磨けば光り輝くことから「〇〇はダイヤモンドの原石だ」という表現の由来にもなっている。

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ダイヤモンドの原石は特有の結晶形を持ち、主に八面体の形状を成すことが多い(その他にも立方体や十二面体の形状も存在する)。天然でもっとも硬い物質とされ、その硬度はモース硬度(鉱物の硬度の尺度)で最高の10に値する。その他、熱伝導率が高く、電気を通さないという特性もある。




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3つのグレードに分けられる原石


ダイヤモンドの原石

ダイヤモンドの原石は、その形成過程や発掘場所によりさまざまな種類に分類される。

●ソーヤブル
ソーヤブルダイヤモンドは、最も高品質で希少性が高いダイヤモンド原石のこと。名前の由来は「切ることができる(sawable)」からきており、カッティング次第で宝石としてのポテンシャルを存分に発揮できるもの、という意味である。

ソーヤブルダイヤモンドは、採掘される原石の約20%程度で、主にロシアやナミビアが原産国となる。正八面体で透明度が高く、内包物も少ない。さらに、色の均一性や完璧な結晶構造が特徴である。

これらの特性により、ソーヤブルダイヤモンドは投資価値が高く、市場価格も他の原石と比較して非常に高価である。また、ソーヤブルダイヤモンドはジュエリー愛好家にも人気があり、特に婚約指輪やハイクラスなジュエリーに使用されている。


●メイカブル
メイカブルダイヤモンドは、宝石に加工するために十分な品質と確立された基準を満たすダイヤモンド原石である。「作ることができる(makable)」が由来であり、加工次第では宝石として使える、という意味である。

このダイヤモンドは、内包物が多少あるものの、美しいカットと研磨によって見た目を向上させることができる。そのため、一般的なジュエリーや装飾品に広く使用される特徴がある。

また、価格面でも比較的手頃であり、それ故に多くの市場で需要が高い。

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●ニアジェム
ニアジェムダイヤモンドは、near gemというその名の通り、宝石の品質に近いが完全には達していない原石である。色や透明度、内包物の点で劣るが、一定の加工を施すことで美しいジュエリーに変えることができる原石だ。ニアジェムは、工業用途での使用や、特別な加工技術を駆使して装飾品に仕上げることが求められる。




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さまざまな原石の形


ダイヤモンドの原石

ダイヤモンドの原石は、八面体のものが主流だが、実は多種多様な形状を持つ。代表的な形を見ていこう。

●ストーン
ストーンとは、ピラミッドを上下に重ねた正八面体の原石のこと。主にラウンド・ブリリアント・カットに使用される。

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●シェープ
ストーンに近い八面体の原石だが、やや形に不規則性があるもの。

●クリーベッジ
不規則で凹凸のあるいびつな形をしており、個々に合わせたカットが必要となる原石。

●マクレ
マクレとは、三角形や扇形をしており、ハートシェイプなどに用いられることが多い。

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●クラット
クラットとは、薄い板状の原石のことで、バゲットカットやテーパーカットで使用される。

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原石が採れる代表的な鉱山と採掘方法


ダイヤモンドの鉱山

ダイヤモンドの原石は特殊な環境で生成されるため、採掘できる鉱山は限られている。ここでは代表的な鉱山をいくつかご紹介。

●ミール鉱山(ロシア)
世界有数のダイヤモンドの生産国であるロシアのミール鉱山。輝きが美しいダイヤモンドの原石が採れることで有名。

●キンバリー鉱山(南アフリカ)
南アフリカ共和国の北ケープ州にあるキンバリー鉱山は、いまでは観光地としても有名な地。ダイヤモンドラッシュ自体の面影を色濃く残す雰囲気を感じることができる。

●ジュワネング鉱山(ボツワナ)
ボツワナの鉱山は、大型のダイヤモンドが多く採掘されることが特徴。ダイヤモンド生産は、ボツワナの重要な産業のひとつとなっている。

●ダイヤヴィク鉱山(カナダ)
カナダのダイヤヴィク鉱山は比較的新しい鉱山で、透明度が高いダイヤモンドが採掘できることで有名。


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ダイヤモンドの原石の採掘方法は大きく分けて3つ。

●パンニング
砂金の取り方と同様、川などでザルを用い、砂を洗い流しながら原石を探す方法。もっともアナログで手軽に始めやすいが、大きな原石が見つかることはほとんどない。

●パイプ鉱山
パイプ鉱山とは、大きな機材を使って地下に穴を掘り、爆薬を使って採掘を行う方法。大規模な採掘ができる反面、崩落などの危険も伴う。

●漂砂鉱床(ひょうさこうしょう)
漂砂鉱床は、シャベルやブルドーザーを用いて堆積している砂利を集め、そこから原石を探し出す方法。


長い年月をかけて地中で作られたダイヤモンドの原石は、上記のように採掘され、人の手によって磨かれて、美しい輝きを放っているのだ。

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世界最大の原石は? TOP3

世界最大級のダイヤモンド原石は、一種の奇跡である。大きさ、歴史、そして価値、すべてに圧倒される存在感だ。ここでは、2025年7月時点でTOP3のカラット数を誇る、ダイヤモンドの原石をご紹介しよう。

【第1位】カリナン(3106カラット)


カリナン ダイヤモンド

カリナンは世界最大とされるダイヤモンド原石である。その質量はなんと3106カラット(621.2 g)。カリナンは1905年に南アフリカで発見され、鉱山会社の会長であるトーマス・カリナンにちなんで名付けられており、「偉大なるアフリカの星」とも称されている。

その驚異的な大きさは瞬く間に世界中の関心を集めた。発見当初は、ダイヤモンドの原石らしからぬ透明度と大きさで水晶やガラスなどと間違えられたとも言われている程だ。

その後この巨大な原石は、9つの大きな宝石と96個の小さな宝石にカットされた。慎重に行われたカットの作業途中、職人が極度の緊張で失神するほどだったという逸話もある。

9つの大きな宝石はそれぞれカリナンIからIXと名付けられており、現在はすべてイギリス王室か王族個人が所有している。最も大きな断片であるカリナンIは530.2カラットで、英国王室の王笏に取り付けられており、317.4カラットの大きさを誇るカリナンIIも、王冠に装飾されている。

カリナンダイヤモンドの断片は、現在の市場で推定数億ドル以上の価値を持つとされる。しかしその真の価値は金銭的評価を超えており、イギリス王室の歴史的遺産としても非常に重要なものである。カリナンダイヤモンドは単なる宝石以上の存在であり、その価格もその特別な意味を反映しているのだ。

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【第2位】ボツワナ(2492カラット)


2位以降のダイヤモンドは、時代とともに入れ替わりがある。最近でいえば、2024年にアフリカ南部のボツワナで2492カラットのダイヤモンドが見つかり、記録を塗り替えたばかりだ。

発掘したのは、カナダの鉱山会社ルカラ・ダイヤモンド。この速報が世界を駆け巡った際には、株価が91%も急騰したというから、驚きだ。さらには、この原石は同社が2017年に導入したX線の技術によって発見されたものという点でも、注目を集めている。

野球ボール大のこのダイヤモンドの処遇は未定だが、数千万ドルの価値があると予想されており、今後の行方が注目される。


【第3位】セヴェロ(1758カラット)


2019年4月にカロウェ鉱山から回収された、1758カラットのダイヤモンド原石セヴェロ。「希少な発見」という意味を持ち、こちらもルカラ・ダイヤモンド社が発掘したものである。

大きさはテニスボールほどで、ブラックカーボンの薄い層で表面が覆われた見た目も注目を浴びた。

発掘後はルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が原石を入手し、加工して使用してる。





ダイヤモンドの価値を決める4Cとは


ダイヤモンド

『4C(読み方:ヨンシー)』とは、ダイヤモンドの価値や価格を決定するための重要な基準として使用され、下記4つの要素の頭文字Cをとって呼ばれているものである。

●「カラット(Carat)」:重量
●「カラー(Color)」:色
●「クラリティ(Clarity)」:透明度
●「カット(Cut)」:プロポーション


4CはGIA(米国宝石学会)が制定し、国際的に統一された評価基準として世界中のダイヤモンド取引で目安として使用されており、この4つのグレードが高くそろうほど価値・価格が高くなる。

ダイヤモンドの原石の時点である程度決まるのが、カラット・カラー・クラリティ。カットだけが人の手によって左右されるグレードとなる。

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原石から宝石へ― ダイヤモンドの加工工程


ダイヤモンドの加工

ダイヤモンドの原石が輝く宝石になるまでには、幾つかの工程を経る必要がある。

①マーキング
マーキングとは、原石の内部構造と形状を詳細に分析し、最も効率的なカット方法を決定するマーキングの精度は、ダイヤモンドの最終的な美しさと価値に大きく影響するため、非常に重要である。

②クリービング
クリービングは、マーキングされた原石を分割するプロセスである。ダイヤモンドの分割線に沿って、細かい切り込みを入れ、不純物を最大限取り除くのだ。

③ソーイング
ソーイングは、クリービングされたダイヤモンドの塊をさらに2つ以上に分ける際に発生するプロセスのこと。

④ガードリング
ガードリングのプロセスでは、ダイヤモンドの面(ファセット)を仕上げていき、ダイヤモンドの最終的な形状を決定する。

⑤ポリシング
ポリシングは、ダイヤモンドの最終仕上げを行う工程である。このプロセスでは、ダイヤモンドの表面を滑らかにし、完璧な輝きを引き出すために、微細な研磨剤を使用して磨く。ポリシングは、ダイヤモンドの美しさと価値を最大限に引き出すために極めて重要である。

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このように複数の段階を経て、ダイヤモンドは誰もが憧れる美しい宝石となるのだ。

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〈Pickup〉ダイヤモンドにこだわるハイジュエラー



●Tiffany & Co.(ティファニー)
Tiffany & Co.(ティファニー)
ブライダルジュエリーとして人気を博すTiffany & Co. (ティファニー)は、ダイヤモンドにもこだわりをもつ。代表的なのが、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出した「ティファニー セッティング」。現在でも世界のエンゲージメント リングの代名詞的存在だ。

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●HARRY WINSTON (ハリー・ウィンストン)
HARRY WINSTON (ハリー・ウィンストン)
“ キング・オブ・ダイヤモンド ” と称される、世界最高峰のNYジュエラー、HARRY WINSTON (ハリー・ウィンストン)。世界中のセレブリティから愛されるブランドとしても有名だが、ダイヤモンド選びに対する厳格な基準、長年培ってきた専門知識、卓越したクラフトマンシップなど、妥協を一切許さないダイヤモンドに対する深く強いこだわりも注目だ。



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